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3076 あい ホールディングス

東証P
2,426円
前日比
+24
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.0 1.56 3.71 54.33
時価総額 1,373億円
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決算発表予定日

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国際情勢緊迫で再注目、「監視カメラ」関連株に“熱視線” <株探トップ特集>


―市場は拡大一途、東京メトロ全車両カメラ設置など注目材料も豊富―

 監視カメラ市場が順調に拡大を続けている。株式市場ではテロ対策などでセキュリティー意識の高まった2016年5月のG7伊勢志摩サミット開催に絡み、監視カメラ関連株はテーマとして大きな盛り上がりをみせた。それ以降は、さほど大きく取り上げられることもなかったが、ここにきてテロの横行に加え国際情勢が緊迫しており再び関心が高まりそうな気配だ。監視カメラ市場の現状と、今後の展開を追った。

●東京メトロは全車両設置へ

 今月3日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの走行する地下鉄車両内で自爆テロが発生、多くの死傷者が出た。事件の背景については錯綜しているが、イスラム過激派との関連も指摘されている。無防備ともいえる走行車両内の事件だけに、日本においても監視体制の強化は急務といえる。

 東京メトロは先月14日、全車両へ「セキュリティーカメラ」の設置を推進すると発表した。18年度以降、順次全車両に展開するとしており、各車両の乗降ドアの上部にカメラを配置し、車内全体が見渡せるようにするという。迷惑行為などの車内での犯罪がたびたび発生していることに加え、テロ対策などさらなるセキュリティー向上の必要性から設置に踏み切った。設置費用は総額で約70億円ということもあり、監視カメラメーカーの動向など気にかかるところだ。東京メトロでは「現時点ではメーカーなどは公表していない」(広報部)というが、これを皮切りに、ほかの電鉄各社の車両内にもカメラ設置が波及する可能性も大きく、マーケットの拡大期待にもつながり、今後関連メーカーには受注思惑が高まりそうだ。

●五輪後は新たな市場が本格化

 テロに加え凶悪犯罪が増加するなか、監視カメラ市場は着実に拡大している。市場調査会社の富士経済によると、監視カメラシステムの市場規模は19年には944億円規模になると予想。そのうち監視カメラは14年には383億円だった市場が、17年には424億円、19年には496億円まで拡大すると予測している。同社では、「17年以降は、首都圏を中心とした再開発や、中・小型の商業店舗向け、工場向け、物流・倉庫向けなどが依然として堅調であり、20年までは市場拡大が予想される。以降は、需要が一巡することで、市場の伸びは鈍化し、画像解析やAIを利用したサービスの提供など、新たな市場が本格化する可能性が高い」と分析している。

●あいHDは「安心パック」好調

 関連銘柄のなかで、全体相場の悪地合いにもかかわらず底堅い株価の動きをみせているのが、あい ホールディングス <3076> だ。監視カメラやレコーダーなどのセキュリティーシステム機器を扱うが、特に既設マンション向けの「安心パック」によるサービス一体型の商品が好調だ。同社では「リプレース(入れ替え)では業界シェアでトップを走っていると自負しているが、獲得していない市場、商圏は残っており、まだまだ伸びしろはある。デジタル化への対応はもちろんだが、従来のアナログ機器も使用しながら臨機応変に対応していく。監視カメラは順調な拡大を見込んでいる」(広報)という。

●「死活監視サービス」で兼松サステック

 また、兼松サステック <7961> はジオテック(地盤改良)や木材加工で知られるが、監視カメラにも注力している。新規ならびに更新需要は底堅く、アナログ高解像度の新商品も好調。全てのカメラが間違いなく動作しているかを監視する、いうなれば監視カメラを監視するセキュリティー機器の「死活監視サービス」にも注目が集まっている。株価はここ調整局面にあるものの、200円近辺には値ごろ感も働く。

 池上通信機 <6771> は、アナログからIPカメラまで幅広いラインアップを持ち、株式市場においては、まさに監視カメラ関連株の中核的存在といえる。ただ、3月24日に業績下方修正を発表。これを受け株価は下落歩調をたどり4月6日には133円まで売られ年初来安値を更新しているが、折に触れて急動意することの多い銘柄だけに注目は怠れない。ほかでは、通信建設業界で培った無線技術ノウハウで監視カメラ導入へフルサポートする協和エクシオ <1951> 、万引き防止システムなどでも力を発揮する高千穂交易 <2676> 、道路・河川の状況確認からマンションの侵入監視まで対応する監視カメラの映像配信システムを手がける西菱電機 <4341> [東証2]などにも目を配っておきたい。

●JIG-SAWはアビジロンと共同プロジェクト

 ここ急速に普及しているのがネットワークカメラに代表されるIPカメラだ。前述の富士経済の調査でも「監視カメラは、従来型のアナログCCTVカメラからネットワークカメラを主体とするIPカメラへのシフトが続いている」と指摘している。そうしたなか、IPカメラを巡り、さまざまな取り組みも進んでいる。JIG-SAW <3914> [東証M]が3月30日、高精細監視カメラシステムを手がけるカナダのアビジロン社と、ネットワークカメラのセキュリティーを担保し、閉域ネットワークを活用したセキュアネットワークカメラサービスの提供に向けた共同プロジェクトを開始したと発表した。サイバー攻撃が多発するなか、監視カメラ画像データを、インターネット網に出さずに、閉域ネットワーク内に設置した分散型エッジコンピューティング基盤を活用することで、監視カメラやネットワークビデオレコーダーへの不正アクセスを大幅に軽減できることになるという。

●再び出番接近の気配

 一方、こうした動きがあるなか、現状はまだ移行期であることを背景に、IPカメラとアナログ両面で攻勢をかける企業も多い。ある業界関係者は「確かにIPカメラなどデジタル化は加速しているが、設置に対する費用面などからアナログ機器のニーズもまだまだ根強い。当分は、(統計・調査などで)言われているよりアナログ機器の需要は続くのではないか」と話す。

 監視カメラ設置に助成金を出す自治体も増加しており、市場は拡大一途の様相だ。「監視社会」という批判もあり、もちろんプライバシー保護という大きな課題も忘れてはならない。ただ、凶悪犯罪の増加に加え、テロの横行、緊迫化する世界情勢を背景に、20年には東京五輪を迎える日本にとっては、安心・安全は最重要課題である。セキュリティー関連、とりわけ監視カメラ銘柄には再び出番が近そうだ。

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