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3076 あい ホールディングス

東証P
2,428円
前日比
-7
-0.29%
PTS
2,428円
23:01 03/28
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.0 1.56 3.71 56.69
時価総額 1,374億円
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あいHD Research Memo(5):ほぼ予想どおりの大幅増収・増益決算で着地


■決算動向

(1) 2015年6月期実績

a)損益状況
あいホールディングス<3076>の2015年6月期決算は、売上高41,333百万円(前期比11.8%増)、営業利益7,118百万円(同11.2%増)、経常利益8,422百万円(同28.5%増)、当期純利益5,566百万円(同37.7%増)と大幅増収・増益となった。

米国西海岸での港湾ストの影響でシルエット社の売上高(特に年末商戦)が見込みを若干下回ったことから、営業利益は中間決算時の予想をやや下回ったが、それ以外はほぼ予想どおりの結果となった。営業利益の伸び率に比べて経常利益の伸び率が高いのは、株式の買い増しにより日本電計(株)が持分法子会社となったことから、営業外収益に持分法による投資利益1,284百万円を計上したことによる。なおこの持分法による投資利益のうち、約900百万円は「負ののれん」による利益計上であるため今期以降は計上されない。

セグメント別の営業利益及び主要セグメントの状況は以下のようであった。

●セキュリティ機器
売上高は9,847百万円(同8.0%増)となり、営業利益も2,983百万円(同9.4%増)と増収増益を達成した。年間の導入実績は、7,549件(同7.9%増)であったが、このうち約65.5%がマンション向け、残りの34.5%が一般法人、公共施設等であった。

マンション向け売上高(内部消去前)は6,345百万円(同3.7%増)となったが、分譲マンション向けは前年の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動がほぼ解消し、新たに注力を始めた賃貸向けマンション向けも着実に成果が出始めたようだ。マンション向け導入件数は4,641件(同10.8%増)であったが、この内訳は新規が7割、自社更新分が3割となっており、どちらも好調であった。

法人向け売上高(同)も3,571百万円(同16.6%増)と好調であったが、その要因の1つとして某大手食品メーカー工場での毒物混入や大手教育関連企業での顧客情報持ち出し事件などが需要を後押ししているようだ。全体としては契約数の増加もあるが、既存顧客がカメラの台数を増やす傾向も強まっている。学校関連でも同様に、校内だけでなく通学路にもカメラを設置する傾向が強まっていることもプラス要因となっている。さらに大手代理店として今までの富士ゼロックス(富士フイルムホールディングス<4901>)の販売会社に加え、2015年3月からリコー<7752>の販売会社が加わったことも増収要因の1つになっている。

●カード機器及びその他事務用機器
セグメントの売上高は4,212百万円(同25.2%増)、営業利益は974百万円(同3.0%増)となった。営業利益の内訳としては、「カード機器」が444百万円(同0.0%)と横ばいであった。メガバンク関連向けに即時発行機の大口導入があったが、病院向けなどが伸び悩み全体の収益は前期並みにとどまった。

「その他機器」の営業利益は530百万円(同5.6%増)となったが、鉄骨業界向けの専用CADソフトが数年前に発売した新製品等の寄与により増益となった。

●情報機器
セグメント別売上高は13,374百万円(同28.1%増)、営業利益は1,663百万円(同52.4%増)となった。引き続きシルエットが手掛けるコンシューマー向けカッティングマシン関連が好調であったことからシルエットの親会社であるGraphtec Americaの営業利益(内部消去前)が1,394百万円(同26.6%増)となった。国内を担当するGraphtec Japanも160百万円の営業利益(前期は54百万円の営業損失)を計上した。

シルエットの2015年6月期の売上高は6,183万ドル(同23.5%増)と大幅増となり、セグメントの売上高及び営業利益増に貢献はしたものの、長期化した米国西海岸での港湾ストの影響及び新製品開発費用の発生等により、当初の見込みよりは低い結果となった。しかしながら販売ルートとして、今までのamazonを中心とした通信販売に加えて、同社製品を取り扱う大手専門店チェーンが増加しつつあり、このルートでの販売も伸びている。さらに米国以外への輸出も順調に増加傾向にある。

●設計事業
設計事業の売上高は4,995百万円(同3.1%増)、営業利益は718百万円(同6.9%減)となった。上期は民間受注は不振であったが、下期以降は耐震診断関連の民間受注が回復した。この結果、増収とはなったものの上期の遅れが響き、営業利益は微減益となった。この部門は、特別に大きな伸びも期待できないが大きく減少することも考えにくく、安定した業績が続くと予想される。

b)財政状況
2015年6月期末の総資産は44,678百万円(前期末比7,057百万円増)となった。主な要因は、流動資産における現金及び預金24百万円減、受取手形及び売掛金1,347百万円増、商品及び製品1,853百万円増、無形固定資産1,096百万円増(主にのれん1,106百万円増)、投資その他の資産1,779百万円増(主に関係会社株式2,525百万円増)などである。

負債は13,280百万円(同2,265百万円増)となったが、主な要因は、流動負債における支払手形及び買掛金1,336百万円増、固定負債264百万円増など。

純資産は31,398百万円(同4,793百万円増)となったが、主な要因は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加4,303百万円、その他有価証券評価差額金146百万円減など。この結果、自己資本比率は70.3%となった。また自己株式4,693百万円(9,228,252株)を有しているが、「基本的には将来のM&Aに使いたい」と会社はコメントしている。

c)キャッシュフロー
2015年6月期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが4,530百万円の収入、投資活動によるキャッシュフローが3,493百万円の支出、財務活動によるキャッシュフローが1,376百万円の支出となった。その結果、期末の現金及び現金同等物は126百万円減少して15,039百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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