3076 あい ホールディングス 東証1 15:00
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卸売業
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2015年10月09日16時11分

あいHD Research Memo(4):M&Aに対する明確な方針と素早い経営判断が強み


■会社概要

(3)特色、強み

上記のようにあいホールディングス<3076>は各種製品の販売や保守サービスを行っており、それぞれの製品やサービスに特色や強みはあるが、企業として本当の同社の強み(特色)は以下のように要約される。

a)強いリーダーシップ
同社の最大の強みは、代表取締役会長(CEO)である佐々木氏のリーダーシップ、経営手腕である。同氏は1994年にドッドウエル ビー・エム・エスの経営トップに就いて以来、常にM&Aを成長戦略の重要施策として掲げてきたが、同氏のM&Aについての方針(例えば、粗利の低い事業は行わない、市場規模が大きく大企業が参入しやすい事業は行わない等)は30年前からまったく変わっていない、つまりブレがない。このようにまったくブレのない経営方針を貫いていることがまさに同社の強みであり、利益成長の原点になっていると言えよう。

b)速い意思決定
また各種の経営判断が早く、それを素早く実行する、すなわち経営の意思決定が速い点も同社の強みだろう。例えば、米国での事業であるシルエット社の買収の際、リーマンショック後の市況が悪い状況で、極めて短期間に将来性を判断しM&Aを行った点などであろう。一方で、M&Aや業務提携などはすべてが順調にいくとは限らない。予想に反して内容が悪かった場合も多々あるが、このような場合、同社は躊躇することなく不調な子会社の売却や業務提携の解消に踏み切る。これによって更なるリスクの増加を回避し、次の投資をしやすくするのだ。このように迅速に重要な経営判断、実行ができるのも同社の強みだ。ちなみに同社の取締役は社外を含めて4名だけであり、この点も素早い意思決定を行える要因の1つだろう。

c)強い営業力
もう1つの同社の強みは営業力、とりわけセキュリティ機器における営業力だ。ここ数年で同社の営業のスタイルは、女性も含めた「提案型営業」へ変わりつつある。さらに販売ターゲットも以前の法人向け(金融機関、学校、公共施設、商業施設等)中心から、同社製品の強みを生かせる既設の分譲マンション向けに絞り込んだ。

このような事業環境下で、営業社員の採用、教育にも力を入れてきた。特に新卒を中心とした営業社員の採用に経営トップ(佐々木氏)自らが関わりユニークな人材を多く採用してきた。これらの人材に同社独自の教育を行ってきた結果、現在のような強力な営業部隊が育ってきたのだ。近年のセキュリティ機器の売上増は単に機器の性能や価格によるだけでなく、このような営業力による面も大きい。現在の「頭と心を使う営業」は、セキュリティ機器だけでなく、将来M&Aによって得るであろう新しい事業にも生きるはずである。このような営業力の強さも同社の強みである。

d)強固なサポート体制
また、十分な保守・サポート体制を有していることも同社の特色だ。同社は、事務機器の法人向け販売やカッティングマシンの製造販売など、プロ向けに事業を展開していた。プロ向けに培われたサポート力は、コンシューマー向けに始めたシルエット(事業)でも、アメリカにおいてユーザーからサポートに対する高い評価を獲得するなど、実力を発揮している。現在でも、セキュリティ機器の販売やカード機器等の販売においても保守サービス部門を自社内で有しており、顧客へ直接サポートを行っていることも強みである。今期から本格参入するラベルプリンタ市場においても、同社のサポート体制が生きるものと思われる。

e)バランスの取れた事業ポートフォリオ
記述のように同社の事業は多くの分野に分かれているが、基本的にはこれらの事業が同じ考え方に基づいてバランスよく分散されているのも同社の特色と言えるだろう。同社の営業利益はここ数年大きな伸びを示していることから、同社は「成長企業」と見られがちであるが、実は同社の基本的な考え方は「安定的な事業を継続すること」、つまり成長率は決して高くないが安定的に利益を生む事業を継続的に行うことが同社の基本的な考え方である。

しかし安定しているが成長率は高くない事業だけでは全体の収益は伸びないので、ここにM&Aによって新たな事業を加え、全体の成長率を高めていくのが同社の戦略・方針である。これらの新規の成長事業もいずれ伸び率は鈍化するが、その後は安定的な事業となるのが同社の事業の特色と言える。つまり同社が行っている事業群は、半導体製造装置や工作機械のように、ある数年は売上高や利益が2倍、3倍と伸びるが、その数年後には半減あるいは数分の1に急減するような事業ではない。同社の事業が急減や半減がないのは、単に製品を売り切るだけでなく、必ずその後に保守や消耗品の販売等などの継続的な需要が出てくる事業だからである。同社のM&Aはこのような基本線に沿った事業をターゲットに実行されているのだ。

同社の現在の事業ポートフォリオは、成長率は低いが安定的に利益を生む事業が根底にあり、その上に成長事業(例えば現在で言えばマンション向けセキュリティ事業や米国でのカッティングマシン事業)が乗っている。さらにこの上に新たな事業(例えばラベルプリンタ)が加わってくるが、数年後には現在の成長事業は安定事業に変わり、新たな成長事業が伸び率をけん引していくのだ。この結果、全体の最低収益レベルを上げながら成長率を維持することになり、これを繰り返していけることが同社の特色であり強みと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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