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3048 ビックカメラ

東証P
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PTS
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18:31 04/25
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時価総額 2,807億円
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BS11 Research Memo(2):地上波キー局の系列に属さない独立系のBS放送局


■会社概要

(1)沿革

日本BS放送<9414>は1999年8月、ビックカメラ<3048>により、日本ビーエス放送企画(株)として設立された。1999年12月に郵政省(現・総務省)にBSデジタルデータ放送の委託放送業務の認定を受けたのを皮切りに、試験的なデータ放送などを経て、2007年12月から本格的にBSデジタルハイビジョン放送(現行のBS11)を開始して現在に至っている。この間、2010年に日本民間放送連盟に加入したほか、2011年には(株)ビデオリサーチが行う接触率調査(BSパワー調査)※に参加するなど、衛星放送業界の中での信用度と存在感を高めてきている。株式市場には、2014年3月に東京証券取引所第2部に上場したのち、2015年3月に1部指定となって現在に至っている。

※接触率調査(BSパワー調査):2010年民放キー局系のBSデジタル放送5社が共同で(株)ビデオリサーチ社に委託して開始した、BS放送の視聴動向調査。BS11は2011年10月から参加し、現在は6社6チャンネルによる共同委託事業となっている。調査内容はいわゆる視聴率調査と類似だが、チャンネルごと及び番組ごとの接触率は非公表となっている。2015年4月から調査方法が「日記式」(紙に記入するアンケート方式)から「機械式」へと切り替わった。現在は「BS視聴世帯数調査」と呼ばれている。

沿革から明らかなように、同社は地上波キー局の系列に属さない独立系のBS放送局だ。また、ファウンダーのビックカメラはその後TV通販事業から撤退したため、ビックカメラ向け売上高比率は約2%(2016年8月期実績)まで低下しており、完全に自立した経営状態にある。このように“独立系”であることは、同社の強みの1つとなっている。

(2)事業モデルと収益構造

a)収入の構造
同社は放送法に基づく認定基幹放送事業者としてBS(放送衛星)を用いたデジタル放送を行っている。現在BS放送のチャンネルは31チャンネルあるが、これらは無料放送と有料放送とに分けられる。無料放送を行っているのは、同社のほかには民放キー局系列の5社とTwellV、Dlifeしかない。すなわち同社は、無料放送であることとキー局系列に属さない独立系であることの2つの特徴を持ったBS放送局である。

無料放送を行っている同社の収益構造は、地上波のテレビ局と同様、広告収入が基本となっている。すなわち「広告枠」が同社の商品であるが、それらは、タイム枠、持込枠、通信販売枠などに細分類することができる。同社の売上高内訳の開示法としては、タイム収入、スポット収入、その他収入に分類されている。2016年8月期実績ではタイム収入が73.3%、スポット収入が24.8%、その他収入が1.9%となっている。その他の収入はアニメ製作委員会への出資に伴う配当金や番組コンテンツ販売による収入などだ。

収入源である広告枠の販売動向を左右するのは、認知度(視聴者によるBS各局及び番組についての認知度合い)で、両者には明確な相関関係が読み取れる。この理由は、広告主がより高い効果を求めて、認知度調査や前出の視聴世帯数調査などの結果を参考にしながらBS局や番組を選定してくるためと考えられる。

同社の認知度は着実に向上してきているが、それでも40%程度とみられ、キー局系列BS先行5社に比較して一段低いレベルにある。それを反映して売上高も、キー局系列5社が14,000百万円~15,000百万円の水準にあるのに対して同社は10,212百万円(2016年8月期実績)にとどまっている。裏を返せば、認知度が高水準に達したキー局系列5社に比較して、同社は認知度向上の余地が大きく、それだけ収益成長余地も大きいと言うことができる。

b)費用の構造
BS放送局の特徴は、放送衛星を通じて日本全国に電波を送ることができるため地上局のネットワーク構築が不要な点にある。それに対して地上波の放送局の場合は、各地に放送用電波塔を建設し中継基地等を経由して電波を届けることになるため、BS局には存在しないネットワーク維持費が原価に加わることになる。両者の差は小さいように見えるが、実際には、放送コストで相当の差があるとみられる。

BS局と地上波局のコスト構造の違いは、商品である広告枠の価格の差にストレートに反映されることになる。すなわち、広告単価がBS放送と地上波放送とでは10倍~20倍の差があると言われている。しかし放送コストが低いため、広告単価がそれだけ低くてもBS放送局の利益率は地上波放送局のそれを上回っているとみられる。

重要なことは、BS放送の広告単価が地上波放送と比べて10~20分の1に固定されているわけではないということだ。同社は年1回若しくは半年ごとに広告単価の改定交渉を行っているが、同社の広告媒体としての価値向上を反映して毎回、年率で約10%の単価引き上げが続いている状況にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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