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3041 ビューテHD

東証S
741円
前日比
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業績
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100株
PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 37.6億円
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ビ花壇 Research Memo(6):2019年6月期は新規拠点の開設を進めるも単価下落や仕入原価増が利益を圧迫


■業績動向

2. 2019年6月期の業績
ビューティ花壇<3041>の2019年6月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の5,874百万円、営業利益が同88.3%減の19百万円、経常利益が同81.9%減の30百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が5百万円(前期は77百万円の利益)と増収ながら大幅な減益となった。また、売上高、各段階利益ともに計画未達となっている。

売上高は、「生花卸売事業」が新規顧客獲得等により大きく伸長したものの、主力の「生花祭壇事業」が受注単価の下落等により微増収にとどまった。また、「ブライダル装花事業」も低調であった。なお、売上高が計画未達となったのは、「生花祭壇事業」の下振れによる影響が大きい。

利益面では、特に「生花祭壇事業」における一時的な仕入原価の高騰に加え、人件費の増加や新規拠点の開設費用等により大幅な営業減益となった。

財務面では、新規拠点の開設等により固定資産が増加した一方、それに伴う「現金及び預金」の減少等により総資産は前期末比4.6%減の2,176百万円と縮小。一方、自己資本も剰余金の配当により同5.8%減の555百万円に減少したことから、自己資本比率は25.5%(前期は25.9%)とほぼ横ばいで推移した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1)生花祭壇事業
生花祭壇事業は、売上高が前期比0.1%増の3,369百万円、セグメント利益は同20.4%減の478百万円と微増収ながら減益となった(売上高は3期連続で過去最高を更新)。一方、計画に対しては売上高、利益ともに未達となっている。売上高は、受注単価の下落傾向※1が続くなかで、顧客ニーズに沿った営業戦略(小規模化への機動的な対応や価格競争力の強化)の確実な実行や新規拠点の開設※2等により受注件数※3の伸ばしたものの、結果として微増収にとどまった。特に、九州エリアにおける環境変化(互助会による内製化等)による影響や取引先の見直しなども計画未達の要因となっている。また、利益面では、国内天候不良の影響等による仕入原価の高騰に加え、人件費の増加や新規拠点の開設費用等により大幅な減益となった。

※1 生花祭壇(単体)の平均単価は前期比1.5%減の57,023円。特に、関東エリアにおける平均単価は同2.6%減の51,615円と落ち込みが大きい。
※2 2019年6月期は、2018年7月に高松支店、8月に甲府営業所(山梨県)、9月に筑後営業所(福岡県)、11月に柏営業所(千葉県)を開設した。
※3 受注件数(単体)は前期比2.5%増の20,642件。


(2)生花卸売事業
生花卸売事業は、売上高が前期比16.6%増の1,649百万円、セグメント利益は同19.1%減の19百万円と増収ながら減益となった。計画に対しては、売上高が超過したものの、利益では未達となっている。売上高は、営業力強化策が奏功し、新規顧客獲得(20件)や取扱量の増加が増収に寄与した。特に、産地からの直接仕入れの強化により、マレーシア産のスプレーマムやタイ産のデンファレ等の取扱量が増加したようだ。一方、利益面では、第2四半期後半における一時的な市場要因※1により輸入卸売部門の利益率が低調に推移したことや、新規採用による人件費の増加により減益となった。したがって、これまで取り組んできた物流体系改革※2による大量物量の実現に向けてはまだ道半ばと言えるが、前述した一時的な市場要因を除けば、業務効率化などにより収益体質の着実な改善がみられるところは評価すべきポイントである。

※1 暖冬に伴う一時的な需給バランスの緩みによる単価の下落。
※2 フューネラル主要品目の取扱拡大(フューネラルに特化した少品種大量仕入れの実現)や、従来からマイ・サクセスが抱えてきた市場出荷依存体質から、同社が強みとする顧客への直接販売への移行などを進めている。


(3)ブライダル装花事業
ブライダル装花事業は、売上高が前期比3.2%減の395百万円、セグメント損失は2百万円(前期は15百万円の利益)となった。計画に対しても、売上高、利益ともに未達となっている。売上高は、少子化の影響や「ナシ婚」の増加等に伴い、ブライダル業界の市場規模が縮小傾向にあるなかで、新規顧客との取引をスタートさせたものの、既存取引先との契約満了による影響を受けたほか、リテール部門においても母の日のEC売上が伸びず、結果として減収となった。一方、利益面でも、減収による押し下げのほか、新規顧客への人材補強や既存取引先への人材派遣利用により人件費が増加したことから、セグメント損失に落ち込んだ。

(4)その他の事業
その他の事業は、売上高が前期比6.8%増の459百万円、セグメント損失は23百万円(前期は18百万円の損失)と増収ながら、セグメント損失幅が拡大した。計画に対しても、売上高、利益ともに未達となっている。売上高は、セレモニーサービスやSHFなどが堅調に推移したものの、計画には届かなかった。一方、利益面では、花卉の生産事業を行うアグリフラワーを連結範囲に含めたことにより、セグメント損失幅が拡大した。

3. 2019年6月期の総括
以上から、2019年6月期を総括すると、業績面では、受注単価の下落や一時的な外部要因(天候不良や需給バランスによる相場変動など)による仕入原価の高騰などにより計画を下回る結果となったほか、2019年1月に基本合意書を締結したM&A案件についても条件が折り合わず解消となったものの、「生花祭壇事業」における積極的な拠点展開や「生花卸売事業」における業務効率化の推進など、今後の事業拡大に向けた基盤づくりについては一定の成果を残したと評価しても良いだろう。また、実験的に進めている花卉の生産事業(アグリフラワー)が順調に立ち上がってきたところも、業界の課題となっている仕入原価の低減(及び安定化)に向けて明るい材料と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《ST》

 提供:フィスコ

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