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3041 ビューテHD

東証S
720円
前日比
-21
-2.83%
PTS
726.1円
09:52 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.6 5.63 1.89
時価総額 36.6億円
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決算発表予定日

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ビューティ花壇 Research Memo(2):積極的なM&A等により事業規模の拡大と多角化を推進


■会社概要

1. 会社沿革
ビューティ花壇<3041>は、代表取締役社長の三島美佐夫(みしまみさお)氏により、1974年5月に生花祭壇の販売、生花の卸売を目的として、熊本県熊本市において個人商店として設立された。事業規模の拡大を目指して、1997年1月に有限会社、2000年には株式会社に組織変更し、東京への進出を果たした。

その後、順調に業績を伸ばして、2006年には東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場するとともに、台湾での生花祭壇普及を目的として、出資比率50%にて美麗花壇股フン有限公司を設立した。

2007年にはブライダル市場への生花サービスを強化するため、(株)クラウンガーデネックス(現(株) OneFlower)を100%子会社として熊本県に設立した。M&Aにも積極的に取り組み、2012年2月に昇建設(株)(熊本県)、4月に(株)SHF(京都府、旧(株)システムハウス福知山)、6月に(株)ビンク(東京都)、2013年4月には(株)花時(沖縄県)、10月にマイ・サクセス(株)(千葉県)を相次いで子会社化するなど、事業規模の拡大と多角化を進めてきた※。2015 年6 月にも就労継続支援事業を行う(株)キャリアライフサポート(熊本県)を連結化している。

※ただし、昇建設(2015年5月27日付)及びビンク(2017年1月31日付)については株式譲渡により非連結化している。


しかしながら、想定以上に急激な単価下落や円安に伴う仕入原価の高騰等が業績に影響を与えたことから、2016年6月期からは中期経営計画に基づき、市場環境に対応した低価格帯商品の推進と原価低減の強化を図ることで業績の回復と向上に取り組んできた。さらには、「業界のコストリーダー」として業界再編を手掛ける戦略を掲げ、スケールメリットを生かした更なる低コスト化の実現によりシェア拡大を目指している。

2016年2月には千葉県成田市にてローズヒップ・バラ・菊などを生産する(株)アグリフラワーを設立し、事業の六次化に向けて花卉の生産事業にも参入した。

2016年10月に東証マザーズから東証2部へ市場変更となった。

2018年6月期からは、改めて3ヶ年の中期経営計画をスタート。「生花祭壇事業」を軸とした戦略により、スケールメリットの享受と物流の活性化を実現する方向性をより強く打ち出している。


主力の「生花祭壇」のほか、「生花卸売」や「ブライダル装花」を含めた生花事業を展開

2. 事業概要
ビューティ花壇<3041>の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等を提供する「生花祭壇事業」、子会社で展開する生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する「生花卸売事業」を中心として、同じく、子会社で展開する「ブライダル装花事業」、「その他の事業(システム開発事業等)」などで構成されている。

(1)「生花祭壇事業」
「生花祭壇事業」は、売上高の56. 7%を占める(2017年6月期)。葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービスの提供を行っている。営業拠点は、熊本、福岡、東京、埼玉、神奈川、宮城、大阪、長野に加えて、2016年9月1日には成長が期待でき、物流面での効率が良い成田営業所(千葉県)を開設。また、2017年10月にも海老名営業所(神奈川県)を開設し、関東エリアにおける顧客へのリードタイム短縮(収益性向上)や地域シェア拡大を図っている。今後も既存拠点エリア内、その他エリアへの積極的な拠点展開を実施する方針である。生花祭壇の受注件数は年間22,994件。地域別構成比では、関東が44. 7%※と大きく、九州が24. 6%、東北15. 4%、関西15. 1% となっている(2017年6月期連結ベース)。

※長野支店は関東に含めて表示。


(2)「生花卸売事業」
「生花卸売事業」は、売上高の25.8%を構成しているが、社内売上分(生花祭壇、ブライダル装花事業向け売上高)を含めた売上高構成比で見ると36.1%と高くなる(2017年6月期)。中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者など複数の段階を経ずに、国内外の生産者から直接仕入れる独自の調達ルートにより、自社の「生花祭壇事業」や「ブライダル装花事業」を含め、全国の葬儀関連会社や生花小売店へ卸販売している。

また、2013年10月に子会社化したマイ・サクセスとのシナジー創出による原価低減にも注力しており、生花輸入業務の移管及び一本化することによるボリュームディスカウント(通関コスト等)の享受のほか、産地との交渉力向上や販売チャネルの拡充などで連携強化を進めている※。ただ、シナジー創出を追求する過程において、抜本的な物流改革に向けた事業再編(取引先との取引内容の見直し等)に着手したことから業績は一旦縮小する形となっている。今後は、フューネラル主要品目の取扱いを拡大する方針であり、新たな商材の開発や顧客の予算に合わせた商品設計を進める一方、産地開拓(東南アジア、南米等)にも取り組む。

※同事業は、2016年7月1日よりマイ・サクセスへ承継(集約)している。


(3)「ブライダル装花事業」
「ブライダル装花事業」は、売上高の8.8%を構成する(2017年6月期)。主に結婚式場(ホテルや専門式場のほか、ゲストハウスやレストランウェディングを含む)に対して、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOneFlowerで展開している。熊本県を中心とした九州エリア、東京都を中心とした関東エリアを主要基盤としているが、2013年1月には事業譲受けによる拠点の新設(兵庫県芦屋市・栃木県小山市)を行い、事業拡大を図った。さらには、東京都江東区(豊洲ワークスタジオ)や神奈川県横須賀市の葉山エリアに営業拠点を開設している。今後も、各エリアの同社グループ拠点をベースとしたエリア展開を目指しており、特に市場規模が大きく、かつ成長の期待できる大都市圏(東京・大阪)に注力する方針である。

(4)「その他の事業」
「その他の事業」は、2012年4月に子会社化したSHFが展開するシステム開発や、2012年12月に設立した(株)セレモニーサービスによる冠婚葬祭コンサルタント事業、2015年6月に子会社化したキャリアライフサポートによる就労継続支援事業のほか、不動産管理などで構成される※。なお、SHFは葬儀関連会社に対する基幹システムの提供を行うとともに、名札書きシステム及びモバイル端末を用いた電子カタログや簡易見積りシステム、建築業者向けCADシステムなどの開発を行っている。

※セレモニースタッフの人材派遣サービスを展開するビンクについては、2017年1月31日に保有株式の株式譲渡により非連結化。


低価格戦略により「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立

3. 企業特長
(1) 差別化と価格競争力
同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートを生かした価格競争力にある。特に、低価格戦略により「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立してきたことは、環境変化への対応や今後の事業拡大に向けて大きな強みとなっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者などの複数の段階を経ずに、国内外の生産者からの直接調達ルートを確保することで、安価でスピーディな仕入れを可能としている。また、足元では産地との旧来型の取引慣行の一部見直し等により輸入卸売部門が一旦縮小する形となっているものの、コスト削減のための海外調達にも意欲的に取り組んでいる。さらには、同じ規格であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なるため、全国の相場動向を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。今後は、生産から加工、販売の統合によるサプライチェーンの構築(事業の六次化を含む)や大量物流の実現などにより、スケールメリットを生かした更なる低コスト化を目指している。

(2) M&Aによる水平展開
同社は、M&Aを軸とした周辺事業への水平展開により、規模拡大と主力事業とのシナジー創出にも注力している。まだ、十分な成果を発揮できているとは言えないが、逆に今後の伸びしろとして、その進捗状況に注目すべきである。

2007年5月に参入した「ブライダル装花事業」は、「生花祭壇事業」と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両、設備などの経営資源をうまく融通し合うことで営業経費の削減を図ることができる。2012年9月から、熊本支店の生花祭壇事業を会社分割し、子会社のOneFlowerへ承継させ、葬儀とブライダルの統合によるシナジー創出に取り組み始めた。今後は、各支店でも順次、同様の体制へと移行する計画である。

2012年4月に子会社化したソフトウェア開発会社のSHFは、モバイル端末ツール(葬祭カタログに簡易見積りソフトを搭載)に、同社の祭壇や供花を組み込んで、全国の葬儀関連会社への売り込みを図るほか、葬儀関連会社向けに各種業務支援システムを提供しているが、同社と顧客層が重なっていないため、クロスセルによるシナジー効果が期待される。現在のところ十分な成果を生み出しているとは言えないものの、今後に向けては顧客をシステムで囲い込むことができる点で大きな武器となる可能性が高い。

また、2015年6月に連結化した就労継続支援事業を行うキャリアライフサポートは、サプライチェーンの統合を人材面で支える役割を担う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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