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2928 RIZAPグループ

札証A
399円
前日比
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PTS対象外銘柄
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.83
時価総額 2,219億円
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健康CP Research Memo(3):RIZAP事業は、COMMIT2020達成の最大のけん引役


■中期経営計画「COMMIT2020」の概要と進捗状況

(2) RIZAP事業の動向

RIZAP事業は同社の100%子会社であるRIZAP(株)が手掛けるパーソナルトレーニングジム事業だ。RIZAP事業の全社売上高に占める割合は、2015年3月期実績で約25%、2016年3月期予想ベースで約33%と見られ、COMMIT2020達成の最大のけん引役と期待されている。

a)2015年3月期の業績動向
RIZAP事業の入会者は一定のペースで着実に増加が続いており、2015年3月末には累計会員数が29,000人を突破した。また月間利用者も2014年10月には7,000人を超えるまでになったが、人的キャパシティの問題もあってその後は頭打ちが続いた。しかし同社は、トレーナー人材の新規採用と研修に十分な時間をかけ、受け入れ態勢が整った2015年初頭にTVコマーシャルを増やしたところ、大きなヒットとなり、2015年3月の月間利用者数は8,000人を突破するに至った。その結果月商も急拡大し、2015年3月の月商は1,200百万円を突破した。

こうした順調な会員数及び売上高の拡大によって、2015年3月期のRIZAP売上高は10,000百万円を超え、全社売上高(39,101百万円)の約25%を占めるに至った。2016年3月期には、約600人の専任トレーナーが期初からフル稼働で事業展開できることもあって、一気に前期比倍増の20,000百万円の売上高を目指すものと推測される。利益面でも、RIZAPを含む美容・健康関連セグメントの営業利益が全体の約90%を占めている現状から、RIZAPは採算性の高い事業となっていることがわかる。

2016年3月期に入ってもRIZAPの業績はさらに加速している。一部マスコミによるネガティブな記事の影響が懸念されたが、ふたを開けてみれば、累計会員数(6月に35,000人突破)、月間利用者(6月に10,000人突破)、月商(6月に15億円突破、)及び物販(5月に3億円突破)の経営指標がいずれも右肩上がりで推移して過去最高を記録するに至った。

b)RIZAPの強み
RIZAPはテレビコマーシャルの影響などからダイエット効果やボディメイクに注目が集まっているが、それではRIZAPの本質を見誤る可能性がある。RIZAPが行うパーソナルトレーニングや低糖質ダイエットというメソッド自体は以前から存在していた。RIZAPはそれらの運営手法と効果発現について健康コーポレーション<2928>独自のノウハウ開発とデータ蓄積を行い、高収益性実現と大規模展開に成功した。それがRIZAPの真の価値と言える。

一般的なスポーツジムと比べてRIZAPの限界利益率は非常に高い。これは、完全予約制というパーソナルトレーニングの特質を、「少ない立地の制約⇒低い不動産コスト」、「少ない設備投資負担⇒減価償却費負担減少」、「トレーナーの時間の有効活用⇒人件費負担の減少」などと、収益性アップに結び付けることに成功しているためである。そして、高い限界利益率で得られた豊富な資金をTVCMに投下し、さらに利用者を増やすというポジティブ・スパイラル(正の循環)を創り出している。

c)成長シナリオ1:「シニア&ヘルスケア」
パーソナルトレーニングの特質を出店モデルに活かしたことで急成長を実現したことを成功の第1弾とするならば、成功の第2弾はパーソナルトレーニングをダイエット以外に応用することの取り組みである。それに対する同社の解答の1つが「ヘルスケア」である。

RIZAPにおけるシニア層の割合はわずか3%台にとどまっており、一般的なスポーツジムと比較して極端に低い。これはRIZAPというサービスの訴求先、訴求方がダイエットを念頭に置いていたため当然とも言える。すなわち、同社は、パーソナルトレーニングというメソッドをまずはダイエットとボディメイクに活用し、優れた出店モデルを考案することで成功してきた。

しかし同社はシニア層のマーケットとしての大きさを無視していたわけではない。開業以来、RIZAPのプログラムをシニア層の健康増進に活用すべくデータの蓄積・分析に取り組んできた。その結果、比較的早期から、パーソナルトレーニングをヘルスケアや介護予防に利用し、それをシニア層へのマーケティングにつなげる戦略に到達している。同社の事業戦略、あるいは経営力が優れていることは、拙速にシニア向けマーケティングをすることなく、更なるマーケティング戦略の練り上げを行ったことだ。それが医療機関との連携であり、医療機関の医学的見地に基づいた助言を活用することで、RIZAPのヘルスケア分野での有用性に関し、お墨付きを得ることに成功したと言える。

同社は上述の有吉クリニックとの間で、提携サービスを2015年2月に開始し、収益ポテンシャルなどをモニターしてきた。その後、殺到する提携希望の医療機関のうち7医療機関との事業提携を行い、2015年6月25日にリリースした。内容は有吉クリニックとの提携と同様のものであり、医療機関からの送客、シニア層向けサービスについて医学的見地に基づいた助言、豊富なデータを駆使した医学的見地を活用したエビデンス開発などが挙げられている。同社は、こうした提携医療機関の数を、今期中に100施設まで増やす計画であることを明らかにしている。(提携医療機関数はその後増加し、8月初旬時点で10機関となっている)

弊社では、同社のヘルスケア的視点からのシニア層取り込みという事業戦略は、RIZAPの成長可能性を広げるうえで非常に有効なものであると評価している。医療機関からの送客実績は、現状ではさほど大きいものではなく、収益インパクトも限定的であるとみられる。しかし仮に100の医療施設から平均的に10人の送客があれば、1,000人程度のシニア層が利用しているという状況が想定される。これらの顧客の家族・友人という広がりを考えると、シニア層の割合を高めるという同社の目標に対して、極めて大きなプラス効果をもたらし得るものと弊社では期待している。

d)成長シナリオ2:海外展開
同社はRIZAPの海外展開にも積極的だ。2015年6月に香港店を予定どおり開設し、既存の上海、台湾、シンガポールと合わせて海外は4拠点となった(国内は7月17日現在55店)。同社は、2015年度末までに海外を最低でも10拠点体制にまで拡大する計画だ。

目下のところ各拠点の経営状況は好調のようだ。上海店は既に黒字が定着しているもようだ。2014年12月にオープンにした台湾とシンガポールはともに集客が好調で、収益の黒字化は視野に入っている状況と思われる。特に台湾では、需要の強さに対してキャパシティが圧倒的に足りないため、施設拡大を検討している状況だ。

同社は海外展開については国内同様、自社展開する方針だ。RIZAPという高収益モデルの展開において、わざわざFC化や現地合弁によって収益を減らす必要がない、という考え方に基づくものだ。RIZAP事業の魅力の1つに、初期投資の少ない点がある。これは、仮に失敗した場合のダメージが小さいことを意味する。その点で、同社が志向する自社展開策は、十分説得力があると弊社では考えている。

海外展開で弊社が注目するのは欧米市場の開拓だ。これまではアジア市場への進出のみで、ローカルカスタマーの取り込みに十分な成功を挙げている。欧米市場においても、RIZAPの需要は十分期待できるだろう。しかし欧米でのローカルカスタマーの取り込みにおいては、アジア市場ほどスムーズにはいかない状況も起こり得よう。人種の違いやライフスタイルの違い、ボディメイクへの考え方の違い、といった要素があるためだ。もっとも、この点については同社自身も研究を重ねているもようで、過度な懸念は不要であるというのが弊社の考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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