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2715 エレマテック

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エレマテック Research Memo(9):「センシングと通信のソリューションの提供」をキーワードに高成長を目指す


■エレマテック<2715>の中長期の成長戦略

3. マーケット別の成長戦略と進捗状況
2020年3月期の業績目標である売上高250,000百万円のマーケット別内訳として同社は、Digital Electronics142,000百万円、Automotive33,000百万円、Broad Market75,000百万円としている。実現のためには、それぞれのセグメントで、決して低くはない成長率を達成しなければならないが、同社は「モジュール品販売を中心に更なる拡大を図る」としている。

同社はマーケット別に戦略を掲げているが、全マーケットに共通の戦略として「センシングと通信のソリューションの提供」を掲げている。これはIoT及びICTの時代において最も基本的な領域についてしっかり商流を確保しようということだ。その上で3つのマーケットごとに重点項目を掲げている。

(1) Digital Electronicsにおける戦略と進捗状況
同社はDigital Electronics部門についての現状認識として、1)スマートフォン成長率停滞及び競争激化、2)IoT関連デバイスの需要増加、3)有機ELの用途拡大、などを挙げている。その上で、重点項目として車載向け表示装置、モバイル用筐体・内蔵部品、有機EL関連部材、強化ガラスなどの領域を挙げている。

2018年3月期はスマートフォン市場が成長熟して低成長を続けるなか、有機EL搭載が本格化したことで同社が得意としてきた中小型液晶向けの部材供給は一段と落ち込むことが見込まれている。これに対して黒物家電(大型液晶パネル用部材)やTOY・ホビーなどの製品分野の伸長が見込まれるが、Digital Electronics内部の増収だけでは補いきれず、セグメント売上高は前期比減収となる見通しだ。

重点項目の中では、スマートフォン用強化ガラスの需要回復やモバイル筐体、車載向け表示装置などは堅調に進捗しているとみられるが、有機EL関連部材については、同社の顧客先企業自体の対応が遅れていることもあり、本格的な動きが出てくるのは来期以降になるとみられる。

弊社ではDigital Electronicsについて悲観する必要はないと考えている。同社の売上高は2016年3月期に過去最高(経常利益は2015年3月期が過去最高)を記録した後、2018年3月期まで200,000百万円の大台をキープして推移している(2018年3月期は予想値)。この間、同社のスマートフォン関連売上高は、中小型液晶パネル用部材を中心に、2年間合計で約30,000百万円の減収になる見通しとなっている。スマートフォン関連銘柄と言われた同社がこれだけのマイナス影響を他の市場向けの増収でほぼ吸収したという点に、同社の強さが如実に表れていると言えるだろう。業績面での変動はあったものの、同社の“業績安定性”という特長はまだ失われていないと弊社では評価している。スマートフォン向け商材の減収が来期も続いたとしてもそのインパクトはかなり縮小するとみられる一方、他市場向け製品の増収が期待されるため、2019年3月期のDigital Electronicsセグメントの売上高は前期比増収に転じる可能性は高いと弊社ではみている。

(2) Automotiveにおける戦略と進捗状況
Automotiveマーケットについて同社は、運転支援分野の需要増とコネクテッドカー分野の開発強化の2点を注目すべき市場の変化と捉えている。その上でADAS(先進運転支援システム)向け商材の拡充、HMI(Human Machine Interface、人間が機械を操作するためのスイッチやボタン、ハンドルなど)・加飾ビジネスの拡大、海外Tier1/Tier2部品メーカーとの直接取引拡大を重点項目としている。

2018年3月期第2四半期の売上高は前年同期比26.7%増となり、通期見通しは34.0%増へと上方修正されたことで、Automotiveについては極めて順調に進捗していると弊社では評価している。順調な事業拡大の背景には豊田通商とのシナジーもあるとみられるが、一番の要因は同社自身が有する電子材料商社として築いてきた強みと地道なスペックイン活動ではないかと弊社では考えている。

取扱商材は他のセグメント同様非常に幅広く、スマートフォンのような象徴的な商材があるわけではないが、ヘッドライト関連部材、HMI(Human Machine Interface)関連部材、ガラス、光源、放熱シート、樹脂成型品、オプティカル品など幅広い商材で売上げを積み上げている状況だ。

自動車業界ではADASやサイドミラーレス車などが今後一段と進展するとみられる。その際に重要性を増してくるのがカメラなどのセンシングデバイスや中小型液晶パネルなどのモニター類だ。液晶パネル用部材はDigital Electronicsセグメントに計上されることになるため、わかりにくいが、自動車向けセンサー類はAutomotiveに計上される。このセンサー類については、既にTier1自動車部品メーカーとの間でも取引が開始しており、ADASなどの進展にしたがって同社の事業も成長が続くと期待される。

(3) Broad Marketにおける戦略と進捗状況
Broad Marketについては、市場の多様さを反映して、海外生産拠点の多角化の必要性を認識している。また、成長分野としてはIoTの進展でセンシングデバイスの需要が伸びるという認識を有している。そして、重点項目としてはアフターマーケット向け販売の強化や家電向けモジュール品の拡大、医療・産機向けモジュールの拡大を掲げている。

Automotive同様、Broad Marketも2018年3月期第2四半期は増収となったほか、通期見通しも上方修正された。取扱商材や対象市場の範囲が広いため何か1つでセグメントの業績動向を説明できるものはないが、全体としては順調に進捗していると判断できるだろう。

今第2四半期の動きで弊社が注目したのは産業機器等だ。前述のように、これまではスマートフォン関連という内容(モバイルの振動用モータ)だったが、今期からFA機器メーカーとの取引が拡大した。こうした動きがさらに拡大すれば、Broad Marketの取引先の多様化がさらに進み、収益の安定性が一段と増大するとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MH》

 提供:フィスコ

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