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ダイナック Research Memo(7):“選ばれる”ブランドを目指し収益基盤の強化をテーマに3つの施策に取り組む


■中長期の成長戦略と進捗状況

1. 2018年3ヶ年ローリング中期経営計画の概要
ダイナック<2675>は中期経営ビジョンとして『“選ばれる”ブランドへ』をスローガンに掲げ、顧客、株主、従業員といったすべてのステークホルダーのロイヤルティ確立を目指している。

その実現に向けて同社は、毎年3ヶ年ローリング中期経営計画の策定と実行に取り組んでいる。同社はリーマンショック後から2016年まで『経営基盤の整備』を中期経営計画のテーマとしてきた。それが一定の成果を出したことで、2017年からは『成長に向けた収益基盤の強化』をテーマに掲げている。2018年2月発表の新3ヶ年中期経営計画でもこのテーマを引き継ぐとともに、その実現のための3つの取り組みについても従来から基本的に変更はない。詳細は後述するが、同社が注力する3つの取り組みは、それぞれ、着実に進捗している。

一方、業績計画については、2017年12月期の実績や足元の事業環境などに照らして見直しを行い、現在の厳しい事業環境が今後も継続することを前提に、各年の増収率及び経常利益率の見通しを従来よりも厳しく変更した。2020年12月期の業績計画は売上高38,400百万円、経常利益990百万円、経常利益率2.6%となっているが、これは1年前のローリング中期経営計画における2018年12月期の業績計画とほぼ同水準の数値であり、一気に2年間先送りされた形となっている。弊社では、今回の新ローリング計画は、今後よほどのことがあっても達成可能な、非常に保守的な業績計画だと評価している。

2. 『事業ポートフォリオの進化による収益力強化』の進捗状況
“事業ポートフォリオ”というのは直営ビジネスと受託ビジネス組み合わせのことを言う。これらは業態や地域、客層、需要ドライバーなどが異なる。これら2つの事業をそれぞれ存在感のある規模で展開するダイナック<2675>は、業界内において稀有な存在であり、それだけで優良な事業ポートフォリオを有していると評価できる。

このポートフォリオを“進化”させるとは、直営と受託の2つの構成比を変化させるというよりも、それぞれのビジネスを“深化”すなわち深掘りすることだと弊社では理解している。実際の同社の動きも、直営、受託それぞれのビジネスにおいて、新たな業態の開発や領域の拡大に力点が置かれている状況だ。

2017年12月期においても、事業ポートフォリオの進化という点では明確な進捗がみられた。

(1) 直営ビジネスの進捗状況
直営ビジネス、すなわちバーレストランの運営においては、2017年12月期は新規出店が4店と、過去5年間で最も少ない年となった。しかしながら、直営ビジネスにおける同社の基本戦略である、高付加価値化・専門化・多様化といった戦略に沿って、将来につながる“パイロット店舗”を着実に出店できたという点で、意義深い1年であったと弊社では評価している。

高付加価値化という点では、同社のフラッグシップ業態である「響」の大型店舗を大阪・中之島フェスティバルプラザに出店したことが挙げられる。これまで同社は関西における高価格帯和食では「燦」(さん)を展開してきたが、「響」による進出で、関西地区のアッパークラスの需要を掘り起こす狙いがあるとみられる。

一方、「お茶の水 鳥どり」、「イタリア食堂 ポルチェリーノ」、「伊東の魚イタリアン イトゥバル」は、いずれも専門性を追求した進化型業態の店舗だ。「お茶の水 鳥どり」と「イタリア食堂 ポルチェリーノ」については前回のレポートで詳述したとおりだ。(2017年9月6日付レポート参照)。「伊東の魚イタリアン イトゥバル」は、単なる魚メインのイタリアンではなく“伊東市の地魚”というストーリーを付加した点が新たな試みであり、かつ付加価値となっている。

同社は、2018年12月期はこうした進化型業態の出店を一気に加速する計画だ。期初段階において年間の新規出店数を8店と計画しているが、すでに8店すべてについて物件の確保ができているもようだ。その中の第1号店が2018年1月29日に東京都港区のカレッタ汐留にオープンした「萬鉄(VIN TETSU)」だ。鉄板料理を中心とするコース和食とワインセレクションが売り物となっている。2018年はさらに、新規出店に加えて4店舗の業態転換を計画している。退店も7店が予定されているため、店舗の純増は予定1店にとどまるが、潜在的な収益力は大きく上昇・改善することが期待される。また弊社では新規出店数の上振れの可能性もあるとみている。

(2) 受託ビジネスの進捗状況
同社の受託ビジネスの中核はゴルフクラブレストランであり、その点は現在も変わりはない。しかしここでも着実に“進化”の動きが出てきている。その典型的なケースが道の駅の運営受託だ。同社は2013年に「道の駅 まくらがの里こが」(茨城県古河市)の運営を受託した。同施設は茨城県内最大級の売上げを記録するまでに成長し、運営者としての同社に対する信頼が大きく向上した。その結果、新規プロジェクトに際しての同社に対する声がかりも増加し、様々なプロジェクトの情報が入るようになってきている。同社は案件ごとの収益性等を吟味しながら入札等に臨むため、道の駅の受託件数が一気に増加するわけではないが、潜在的ビジネスチャンスが拡大していることは疑いない。2018年には2号案件として「道の駅 パレットピアおおの」(岐阜県大野町)がオープン予定となっている。

主力のゴルフクラブレストランについては、年間5件の新規受託を目標としている。2017年12月期は2件にとどまったが、2018年12月期は1月に2場のレストランがスタートした後、4月にもさらに2場がオープン予定であり、順調に受託契約の獲得が進んでいる。受託ビジネスでは「信頼と実績に基づく業容拡大」を戦略としているが、信頼と実績が新たな受託につながる、“正の循環”が順調に回っている状況にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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