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2651 ローソン

東証P
10,330円
前日比
-10
-0.10%
PTS
10,334円
09:30 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
3.63 4.12
時価総額 1361億円
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Pウォーター Research Memo(2):宅配水業界No.1の規模と成長力。天然水の製販一体経営に特長


■会社概要

1. 会社概要と沿革
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は2006年、宅配水ビジネスの成長性に注目した(株)リヴァンプの玉塚元一(たまつかげんいち)氏(現ローソン<2651>顧問)、機関投資家の藤野英人(ふじのひでと)氏、(株)日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝(むらぐちかずたか)氏(現取締役)の3人が中心となって設立された。旧社名はウォーターダイレクトである。創業当初からSPA型※の経営を志向しており、ウォーターサーバーの自社設計から、製造、販売、顧客へのアフターサービスまでを自社で完結させることで顧客ニーズを迅速に把握し、商品開発や販売方法に生かす戦略を取ってきた。2007年に家電量販店の(株)ヨドバシカメラでデモンストレーション販売(以下、デモ販売)を開始したのを皮切りに、全国的に大手小売店でのデモ販売を展開し顧客件数も順調に拡大してきた。2009年9月期に黒字化を達成、以降も成長を続け2013年に東証マザーズ上場、2014年には東証2部に昇格している。2016年7月に同じ光通信<9435>のグループであるエフエルシーと経営統合し、プレミアムウォーターホールディングスとして再スタートを切った。新会社を率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平社長だ。天然水の製造力No.1の旧ウォーターダイレクトと営業力No.1のエフエルシーが統合することで、宅配水業界トップ3の中でも圧倒的な成長力を持つ。2019年3月期の売上高(37,732百万円)は宅配水業界No.1の規模である。

※SPA型:商品企画から製造、販売までを垂直統合させることでSCMの無駄を省き、消費者ニーズに迅速に対応できるビジネスモデルのことで「Speciality store retailer of Private label Apparel」の頭文字を取った造語。


宅配水市場の成長をけん引する存在。ワンウェイ方式が特徴
2. 成長する宅配水市場
宅配水とは、サーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで家庭や事業所などに宅配されるものを指す。2000年以降に普及が開始し、東日本大震災などの影響も追い風となり2012年頃までに急成長を遂げた。その後成長が鈍化した時期もあるが2015年以降成長軌道が回復し、2018年の市場規模は154,000百万円、2014年から2018年の4年間の年平均成長率は6.7%である。配送方式別に見ると、初期にリターナブル方式(容器を再利用する)で市場が形成され、その後1WAY方式(容器が使い切り)がより成長してきた。2018年の市場規模はリターナブルで74,000百万円(前年比2,000百万円減)、1WAY80,000百万円(前年比13,000百万円増)となり、初めて1WAY方式市場がリターナブル市場を上回った。同社は1WAY方式を採用しており、1WAY市場の成長をけん引する存在だ。宅配水業界の同業他社としては、リターナブル方式を主とするナック<9788>のクリクラ事業、アクアクララ(株)がある。


「顧客純増」の強みを生かし「水源開拓」「物流効率化」「設備投資による原価低減」などを優位に展開
3. 強み
同社の強みの根源は、圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」である。この強みがあることにより、水源分散化や物流効率化、無駄のない工場設備投資などが可能となり、好循環が生まれている。

(1) 圧倒的な顧客獲得力による「顧客純増」
同社は宅配水市場の顧客数の増加の約半分を占めており、顧客獲得力がずば抜けている。その特長は、旧エフエルシーがデモンストレーション販売では国内トップクラスの実力だったことに遡る。顧客獲得方法は様々であるが、同社は大型商業施設や大手量販店、ホームセンターなどでのデモンストレーション販売で約6割の顧客を獲得している。同社専用のブースを期間限定で出展し、同社の従業員が対応する。営業ノウハウやその教育もさることながら、従業員の育成とモチベーションを考慮して作り込まれた従業員評価制度があり、能力を引き出す仕組みが充実している。

残りの4割は取次店経由である。家具、金融関連、各種通販、家電量販店、不動産などの多様な事業会社と取引を拡大中である。また宅配水事業を行う他社への製品提供(OEM)も増えている。

(2) 水源の分散化、2019年2つの水源を開拓し5水源体制へ
同社は水の安定供給及び地産地消を狙いとして水源を分散する方針を取っている。これまで、富士吉田(山梨県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)の3ヶ所の水源(工場)から全国の消費者に配送していたが、2018年10月からは朝来(兵庫県)、2019年1月からは北アルプス(長野県)が稼働開始し、全国5ヶ所となった。5つの自社専用の水源を持つことも業界では圧倒的と言えよう。水源を増やすのは、顧客の増加に対応する安定供給能力の確保はもちろん、配送費の抑制の狙いもある。一方で、水源開拓には難しさもある。一定以上の顧客が確保できなければ、工場の稼働率は上がらず製造コストが高くなってしまう。その点で同社は保有顧客を増加させることができるため、水源の開拓にも弾みが付いている。

同社は成分や安全性には独自の厳しい基準を設定している。ミネラルバランス、硝酸・亜硝酸値、水量などの厳しい基準をクリアできる水源は多くはないのが実情である。特に、硝酸及び亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。2018年モンドセレクション金賞及び優秀味覚賞を受賞(6年連続)。富士吉田工場が食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得している。

(3) 地産地消による物流の効率化
宅配水業界にとって、近年の物流費の上昇は大きな経営課題である。同社は1WAY方式の配送を行うため、大手の配送業者に配送を委託しており、売上高に占める配送費の比率は24.4%(2019年3月期)に達する。配送業者からは絶えず値上げプレッシャーがあり、今後も更なる物流費上昇のリスクがある。同社が打ち出す1つの方向性が、「水源の分散化による配送距離の短縮化」である。製造地と消費地が近ければ配送費も抑制できる。5水源体制となっており、南阿蘇工場から九州地域、金城工場から中四国地方、朝来工場から近畿地方と北陸地方の一部、富士吉田工場から東海地方から東(北海道除く)、北アルプス工場から北海道地方へそれぞれ配送する体制が整った。エリア内で、定期的にまとまった物量が確保できるため、トラックの積載効率も高くなり、物流費高騰を回避できる要因となっている。

(4) 無駄のない工場設備投資による原価低減
同社は、製造原価の低減にも取り組んできた。2016年からプリフォーム射出成型機を導入し、容器の内製化を行い、原価低減に成功している。この設備投資は約4億円の投資。容器1本当たり20円削減を想定した投資だったが、大きな設備投資も商品の本数が少なければ、無駄な投資となってしまう。同社では初年度に1000万本出荷し、約1.6億円の利益向上を達成した。投資から3年目には投資回収し、利益を生み出し続けている。このように、顧客純増による出荷規模拡大は様々な面で好循環を生んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《ST》

 提供:フィスコ

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