信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
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2488 JTP

東証S
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前日比
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PER PBR 利回り 信用倍率
16.3 1.88 2.42
時価総額 62.3億円

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「AI関連株」繚乱、待つのは“史上最大”大相場か―― <うわさの株チャンネル>


―ソフトバンクファンドが鳴らした号砲、広がった“AIテーマ買い”―

 東京株式市場は騒がしい5月相場となっている。「セル・イン・メイ」を裏付けるほどの売り圧力に晒されているわけではないが、薄氷を踏むような不安定感は拭えない。トランプ米大統領のロシアゲート疑惑を受け、18日に日経平均株価はマドを開けて急落、典型的な“アイランドリバーサル”を形成し市場関係者の緊張感も高まったが、本家本元の米国株市場が頑強な動きをみせていることで、空売り筋が闊歩するような地合いともいえない。

 こうした“宙ぶらりん”の状態に置かれた東京市場では、騰落レシオが既に150%近くにまで上昇していることもあり、主力株を避けて中小型の個別株テーマ物色の動きが再燃している。そのなか、2017年の最強テーマともいえる人工知能(AI)関連に位置づけられる銘柄が軒並み急動意しており、市場関係者もにわかに注目度を高めている。

●ソフトバンクの巨大ファンドが動き出す

 20日に、ソフトバンクグループ <9984> がAI分野中心に照準を合わせた10兆円規模の巨大ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の発足を宣言したことが号砲となった。「AIが人類史上最大のパラダイムシフトを起こす」と公言する孫社長の思惑が、あたかも株式市場に舞い降りたかのように、テーマ買いの動きが一気に広がった。

 直近IPO銘柄でAIやビッグデータ解析による情報提供サービスを展開するユーザーローカル <3984> [東証M]が満を持して切り返し、一時880円高の9150円に買われたのをはじめ、AI技術を駆使したデータ制御を手掛けるJIG-SAW <3914> [東証M]、AIを活用したビッグデータ解析やアプリ収益化支援などで高実績を有するメタップス <6172> [東証M]、ディープラーニング分野の研究開発を進捗させるブレインパッド <3655> 、経営コンサルでAIを活用した業務効率化に強いシグマクシス <6088> [東証M]などが上値指向を明示。さらに、フォーカスシステムズ <4662> 、サイオステクノロジー <3744> [東証2]、ホットリンク <3680> [東証M]、メンバーズ <2130> 、日本サード・パーティ <2488> [JQ]、データセクション <3905> [東証M]、FRONTEO <2158> [東証M]、ジャパンシステム <9758> [JQ]、ロックオン <3690> [東証M]など一連の銘柄群がここぞとばかりに咲き乱れる様相となった。

●AIに征服された完全情報ゲームの世界

 ソフトバンクがビジョン・ファンド発足を発表した20日といえば、現在の将棋界の頂点に君臨する佐藤天彦名人と、AI最強ソフト「PONANZA」との対戦で耳目を集めた電王戦第2局が行われた日でもある。これが人間対AIの事実上のファイナルマッチでもあったが、結果はPONAZAが圧倒、2連勝となった。過去に遡れば昨年3月に、グーグルが開発したAI「アルファ碁」が囲碁の世界トップ棋士である韓国の李世ドル(イ・セドル)氏との5番勝負で4勝1敗と完勝しており、これを契機にAI関連株が大きく株価の居どころを変えた経緯がある。今回の電王戦の結果は、関係者の間では既定路線とみられていたが、将棋の世界でもAIが人間の頂点のレベルを超えたことが現実に証明されたことは、ひとつのエポックメーキングといってよさそうだ。

●安倍政権のホンキで欧米に追いつくか

 あらゆるものをネットでつなぐIoTや、「レベル4」に向け日進月歩する自動運転、再生医療やゲノム編集などのバイオテクノロジー、仮想通貨が普及加速の兆しにあるフィンテックなど、株式市場を彩る有力テーマに横串を通すようにAIは絡む、いわば魔法の杖だ。今後あらゆる産業においてAIはさまざまなシーンで付加価値をもたらし、時に融合してイノベーションを巻き起こす源泉となっていく。

 安倍政権ではAIやロボットの活用を主軸とする第4次産業革命の実現を目指す構えにある。経済産業省が検討する「新産業構造ビジョン」では、AI市場などへの参入を図る企業を支援するための関連法制を18年にも一括して改正する方向にあることが伝わっている。欧米の後塵を拝している新産業ビジネスの強化・育成に本腰を入れる方針で、AIやビッグデータの普及を加速させるにあたり税制面や金融支援に加え、必要な事業規制の緩和にも政策当局は積極的に取り組む姿勢をみせている。改正案では「パテント・トロール」などAI関連特許を巡り金銭獲得を目的とした訴訟リスクに対応した裁定制度の新設も図るなど、布石を着々と進めているもようだ。「東京五輪開催年に向け、技術大国である日本が官民を挙げて欧米にキャッチアップするステージに入った」(国内中堅証券)との見方が、今後のAI関連株に対するマーケットの体感温度の上昇を暗示している。

●エヌビディアとアマゾンの最高値飛翔がAIの象徴

 一方、今回のAI関連株人気の復活は、「トランプ米大統領のスキャンダル思惑とは全く別の流れで、米国を起点とする新たなビッグウエーブが東京にも及んだ」(準大手証券アナリスト)との見方も強い。米国では半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が2000年以来の最高値圏で推移、こじれたトランプ相場とは距離を置きながら圧巻の上昇パフォーマンスを演じている。そのなかで、画像処理半導体(GPU)を手掛けるエヌビディア(NVIDIA)はAI関連のキーカンパニーとして注目され、ここ再び上場来高値圏を舞う展開にある。エヌビディアは今月10日にトヨタ自動車 <7203> と自動運転分野で提携することを発表、ソフト・ハード両面でAI技術をトヨタに提供し自動運転の開発加速に向け貪欲な姿勢をみせている。

 また、同様に最高値街道を走る米アマゾン・ドット・コムに対するマーケットの視線も熱い。米国の家庭で需要が急速に立ち上がっているAI搭載スピーカー「スマートスピーカー」が世界的にも注目されており、同社はその市場開拓の先駆者だ。AIエンジンの「アレクサ」を積んだスマートスピーカー「アマゾン・エコー」が大ヒット、これに米グーグルも追随して「グーグルアシスタント」を搭載した「グーグルホーム」は年内に日本で発売することを発表しており話題を集めている。市場関係者によれば「米アップルもお馴染みの『シリ』を載せたスピーカーの開発を進めており、6月6日に予定されるアップルの新製品発表イベントで、スマートスピーカーの発表が噂されている。東京市場でもこのスケジュールを意識したかたちでAI関連や音声認識関連株の物色人気に拍車がかかる可能性がある」(ネット証券アナリスト)と指摘されている。

 AIが人間の叡智を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)の時代は、当初イメージするよりも速いスピードで我々の日常に追いつき同化する可能性がある。これまで人間が持っていた価値観そのものも大きく変化する可能性があり、その“来るべき時”を少しずつ前倒しで投影しているのが今の株式市場といえるかもしれない。とするならば、AI相場はまだこれからその神髄を発揮することになる。

(中村潤一)

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