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2485 ティア

東証S
458円
前日比
-8
-1.72%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 1.32 4.37 18.16
時価総額 103億円
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決算発表予定日

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ティア Research Memo(8):「ティア」ブランドの全国シェアは1%強でシェア拡大による成長余地は大きい


■今後の見通し

3. 2021年9月期の事業戦略と中長期見通し
(1) 2021年9月期の事業戦略
ティア<2485>は毎年3カ年の中期計画を発表していたが、2020年はコロナ禍で先行きの見通しが不透明だったことから、発表を一旦取りやめていた。次期中期計画については2021年9月期の決算と同時に発表する予定となっている。中長期的な成長戦略についての基本的な考え方は従前と変わらない見通しだ。2021年9月期は「ティアを超える新生ティア!!」をスローガンに掲げ、以下の戦略テーマに取り組み、2022年9月期以降の再成長に弾みをつけていくことになる。

a) 出店戦略
出店戦略については、直営会館による出店継続とFCにおける計画的な出店により、中長期目標である会館数200店舗体制の実現とその後の持続的な成長を目指していくことになる。2021年9月期の直営店についてはドミナント戦略を推進し、東海エリアで4店(うち、1店舗は移転リニューアル)の出店を計画している。関東・関西地区においては、コロナ禍の状況を見極めながら、2022年9月期以降出店を再開する方針となっている。

一方、FC事業については2021年9月期において新規クライアントを含めて6店舗(うち、中部地区で3店舗)の出店を計画していたが、コロナ禍が長引き先行きの見通しが不透明となってきたことから、出店時期を2022年9月期以降に先送りする可能性が出てきているものの、羽曳野店と豊田土橋店についてはすでにオープンさせている。

b) 営業戦略とブランド戦略
営業戦略としては、既存店会館の契約更新対応とリロケーションの推進による効率化を図っていくほか、終活支援体制の構築に取り組んでいく。また、ブランド戦略としては、Webマーケティング手法の多様化を推進していくと同時に精度向上を図り、新たな顧客層の開拓に取り組んでいく考えだ。

c) 商品戦略
商品戦略としては、環境変化への迅速な対応と葬儀付帯業務の内製化を推進するほか、ポストコロナの世の中における新常態に対応した商品の開発などにも取り組んでいく。また、子会社のティアサービスにおいて湯灌・エンバーミングの外部販売サービスを強化していく。

d) 人財戦略とICT戦略
人財戦略については、既存社員向け研修内容の充実とPDCAサイクルに則った新卒採用プログラムの実践、THRCでの新入社員の早期育成に取り組むことで強固な組織力を構築していく。人財の育成が進めば、出店ペースを加速していくことも可能となる。

また、ICT戦略としてハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応と、次世代基幹システム構築のための準備を開始し、新常態に対応した仕組みづくりも進めていく方針だ。

(2) 中長期見通し
葬儀業界の市場規模がここ数年は年間約1.8兆円で安定して推移するなか、同社は「徹底した人財教育による質の高いサービス」と「葬儀費用の完全開示や適正費用による提案力」などで顧客からの支持を集め、業界全体の伸びを上回るペースで成長を続けている。顧客基盤となる「ティアの会」会員数も年間3万人を超えるペースで伸び続けており、今後も市場全体が伸びないなかにあっても、同社はシェア拡大によって持続的な成長が可能と弊社では見ている。

名古屋市内では1998年に1号店をオープンして以降、16年目でシェア20%を獲得し、2020年にはトップシェアを取る月も出始めるなど、今なお上昇傾向にある。葬儀業界は地域ごとに強固な顧客基盤を持つ葬儀社が多いため、他地域でシェアをスピーディーに拡大していくことは難しいものの、顧客満足度の高いサービスを提供し続ける限り、シェアを拡大していくことは可能だろう。実際、関西エリアや埼玉県では着実にシェアを拡大しており、東京都内ではサロン展開によって実績が徐々にではあるが積み上がり始めている状況にある。FC店も含めた「ティア」ブランドの葬儀件数は、国内全体の葬儀件数の伸びを上回る成長を続けている。国内の葬儀件数全体に占める同社グループのシェアはまだ1%強程度しかなく、まずは東名阪エリアにおいて出店数およびシェアを拡大してくことで、収益成長を図ることは十分可能と見られる。

事業リスクとしては、葬儀単価の動向が挙げられる。核家族化や少子化の進展により葬儀スタイルも家族葬など小規模に済ませるケースが増加し、コロナ禍によってその傾向も一段と強まる状況にある。こうした領域では参入企業も多く顧客獲得競争が激化し、葬儀単価が回復しないリスクも想定しておく必要がある。ただ、国内の潜在的な葬儀需要は高齢者人口の増加を背景に、2040年頃には現在の1.2倍の規模にまで拡大する安定成長市場であり、今後も葬儀を単なる「哀悼の儀式」としてだけではなく、「哀悼と感動を与える儀式」として顧客に感謝される「究極のサービス」を提供していくことで他社との差別化は可能で、中長期的に見れば業績は安定成長が続くものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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