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2485 ティア

東証S
456円
前日比
+1
+0.22%
PTS
454.2円
09:56 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 1.32 4.39 230
時価総額 103億円
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決算発表予定日

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ティア Research Memo(10):新中計では東京でのサロン出店を年間3店舗ペースで拡大していく方針を打ち出す


■今後の見通し

2. 中期経営計画
ティア<2485>は中長期目標として、店舗数200店舗、売上高165億円を目標として掲げており、その実現を目指すべく中部エリアでの経営基盤強化と、関東・関西エリアでの収益力強化並びに出店を加速していく経営体制の構築を進めていく方針となっている。こうした目標を達成していくため、同社は期初に3ヶ年の中期経営計画を発表している。

経営数値目標としては、最終年度となる2020年9月期に売上高13,770百万円、経常利益1,390百万円、葬儀件数11,160件としている。売上計画の前提としては、既存店売上高を前期並みの水準とし、新店稼働による増収分だけを増収要因として見込む保守的なものとなっている。同様に経費についても2年目以降の既存店を前期比横ばいとし、新店稼働に伴う経費の増加及び新卒の採用計画、広告宣伝費の増額等を積み上げた数字となっている。

1年前に発表した前回の3ヶ年計画との比較で見れば、出店ペースを加速することが大きな違いとなっている。前回の計画では新規出店を年間9店舗(うち直営4店舗、FC5店舗)としていたが、今回は11~12店舗(うち直営会館3店舗、葬儀相談サロン3店舗、FC5~6店舗)に増やしている。最大市場である東京の店舗戦略として、サロン形式での収益化の可能性を探ってきたが、1店舗目について進出後1年がたち収益化の目途が立ってきたことから、本格的に出店を拡大していくこととした。

同社は中期経営計画を達成していくための重要施策として、以下の4点を挙げている。

(1) 利益成長を持続させつつ継続的な出店とFC事業の業容拡大
出店戦略としては前述したとおり年間で直営会館3店舗、葬儀相談サロン3店舗、FC5~6店舗の合計11~12店舗を出店していく。地盤となる中部エリアでは直営、FC合わせて年間5~8店舗を計画しており、域内シェアを拡大していくことで経営基盤をさらに強化していく方針だ。また、直営では東京でのサロン展開を年間3店舗ペースで進めていく。定期的なイベント開催や勉強会など地域に密着した営業活動を継続していくことで会員数を増やし、オープンから2~3年で黒字化を目指していくことになる。

一方、FCについては中部エリアのほか、神奈川県及び茨城県でのFC店舗の早期収益化に取り組むとともに、太平洋ベルトラインを重点開発エリアとして、新規クライアントの獲得に向けた提案営業を推進していく予定となっている。ただ、国内景気が堅調に推移するなかで、クライアントが見つかりにくいのが現状で、既存クライアントによる出店に期待がかかる。

なお、設備投資については年間800~1,000百万円と営業キャッシュ・フローの範囲内で実施する計画となっている。このため財務基盤も今後、大きなM&A案件が出てこない限りは強化されていくものと予想される。

(2) 業界環境の変化に対応した営業施策とブランド力の向上
核家族化の進展などにより葬儀に対する価値観も多様化し、葬儀スタイルも家族葬などの小規模葬や、葬儀そのものを行わない直葬といった需要が都市部を中心に年々拡大している。こうした業界環境の変化に対応するため、同社においてもニーズに合わせた様々な葬儀プランを開発すると同時に、コンタクトセンターにおけるユーザビリティ向上、小規模葬に対応するための既存会館の改装(中部エリアで年間2~3店舗)などを進めていく計画となっている。さらには、差別化戦略として創意工夫を凝らした葬儀の提案力にも磨きをかけていく。

ブランド戦略に関しては、社長のメディアでの発信力に加えて、地域でのイベント開催などによるPR強化やIR活動の継続(個人投資家向け説明会を年間20回以上)などにより、全国レベルでの認知度向上に取り組んでいく。

(3) 戦略的な商品開発とM&A
商品戦略では2012年10月に葬儀付帯品を各会館へ配送するための物流センター(ティア・ロジスティック・センター:TLC)を稼働したのに加え、商品調達手法や取扱商品の見直しを行うことで商品原価率の低減を推進してきた。今後もTLCの機能拡大(直接仕入先の開拓、FC店舗向けの配送拡大等)や、葬儀関連の一部業務の内製化等により原価低減を推進していく方針となっている。特に、業務の内製化については現在、外注しているセレモニーアテンダントサービスや生花業の内製化に取り組む可能性がある。

M&Aに関しては多くの中小零細の葬儀事業者において経営者の高齢化が進んでおり、事業承継問題が深刻化するなかで、M&A案件が増加していくことが予想される。こうした状況をチャンスと捉え、M&Aを第3の成長エンジンとできるよう社内に専門組織を設置し、専任スタッフによりM&A案件の検討を進めている段階にある。ただ、直近では同社の条件にかなう案件がほとんどなく、具体的に動きが出始めるまでにはしばらく時間を要しそうだ。

(4) 中長期を見据えた人財の確保、育成
葬儀サービスは究極のサービス業であり、今後の持続的な成長を図っていくためには、人財の採用だけでなく確保・育成が今後はより重要になってくると同社では捉えている。実際、足元では新入社員の離職率が約5割と高いこともあって人員の増員ペースが計画を下回っている。このため、2017年9月期より同社独自の人財教育機関「ティアアカデミー」における研修項目を新卒社員・中途社員・FC社員ごとに見直し、新卒社員については研修期間を3ヶ月から8ヶ月に延長する取り組みを開始している。研修期間中に葬儀サービスが究極のサービス業であることの理解力をより深め、仕事としてのやりがいを植え付けることで、現場配属後の離職率低下につなげていきたい考えだ。また、同社では社員のスキルアップを図るため、経験やスキルに応じて7段階の等級別に社内の検定試験を実施している。

今後の新卒採用計画については、2017年春の実績11名に対して2018年は19名、2019年以降は40名ペースでの採用増を計画しており、店舗数の拡大に備えて人員体制の拡充を進めていく方針となっている。新卒採用については従来、名古屋を中心に行ってきたが、2017年より新たに東京でのリクルート活動も開始しており、今後の採用増が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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