貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2484 出前館

東証S
332円
前日比
+6
+1.84%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.07 2.32
時価総額 440億円
比較される銘柄
ディーエヌエ, 
サイバー, 
メディアドゥ
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

ラクーン Research Memo(5):積極的な先行投資を行い、収益拡大のペースは加速か


■決算動向

(1) 2016年4月期第2四半期累計の業績概要

6月10日付で発表されたラクーン<3031>の2016年4月期の連結業績は、売上高が前期比8.4%増の2,229百万円、営業利益が同17.1%増の393百万円、経常利益が同12.2%増の367百万円、当期純利益が同18.7%増の239百万円となり、過去最高業績を連続で更新した。主力のEC事業で「スーパーデリバリー」の流通額が前期比0.6%増と伸び悩んだことにより、会社計画比では若干下回ったものの、Paid事業や売掛債権保証事業がいずれも好調に推移したことが増収増益要因となった。

営業利益率は前期比で1.4ポイント上昇の17.7%となった。売上原価率が1.7ポイント上昇したものの、販管費を抑制したことで販管費比率が3.0ポイント低下したことが利益率の上昇要因となった。販管費では、人件費(給与・役員報酬で前期比57百万円増)が主な増加要因となっている。なお、当期は東証マザーズから第1部へ市場変えを行ったことで、営業外に上場関連費用22百万円を計上している。

(2)事業セグメント別動向

a) EC事業
EC事業の売上高は前期比2.3%増の1,583百万円、セグメント利益は同4.5%減の223百万円となった。売上高は「スーパーデリバリー」の流通額が前期比0.6%増の9,587百万円と伸び悩んだものの、会員店舗数や出展企業数の増加による月会費、基本料収入の拡大で増収となった。引き続き質の高い会員小売店及び出展企業の獲得に注力し、2016年4月末の会員小売店舗数は同8,002店舗増の52,372店舗、出展企業数は同73社増の1,138社と順調に拡大した。なお、会員店舗数の中には「SD Export」の無料会員約5,000店舗も含まれている。一方、利益面では2015年8月に開設した「SD Export」の立上げ費用やプロモーション費用等の増加を主因として減益となった。

商品流通額の伸び率を四半期ベースで見ると、第1?3四半期まで前年割れが続いていたが、第4四半期には前年同期比5.2%増と4四半期ぶりにプラスに転じている。海外向けが増加してきたこともあるが、国内流通額が同2%増とプラスに転じたことが大きい。第1?3四半期までは一部の大口会員の流通額の減少の影響もあって、平均で3%程度のマイナスとなっていたが、第4四半期にはこの影響を埋めてプラスに転じたことになる。商品力のある出展企業の獲得に成功したことや、Web展示会の開催によるに販売増効果なども寄与したと見られる。Web展示会とはメーカーの新商品の半年前セールとなるものである。

一方、海外流通額(「SD Export」と「スーパーデリバリー」の海外購入者向け)は前期比60%増となった。このうち「SD Export」での流通額は、利便性の向上を図るため3月に新たな決済手段として「ペイパル」を利用できるようにしたほか、同月には安価な輸送手段として日本郵便(株)が提供する航空便や船便なども利用できるようにするなど、利便性の向上に取り組んできたことで着実に増加してきている。ただ、商材掲載点数が約15万点と「スーパーデリバリー」の4分の1程度の水準にとどまっていることから、代理購入サービスを使って「スーパーデリバリー」経由で購入するケースが依然、大半を占めている状況にある。なお、海外向けの商材としてはアパレル・雑貨が中心だが、特に和食器や日本製の調理器具の販売が伸びているようだ。また、事務用のペン、マスキングテープ等のステーショナリーも売れている。

「COREC」の事業については2014年9月より有料プランの課金を開始しているが、引き続き知名度の向上と会員数の獲得に注力する段階と位置付けている。会員数拡大に向けた取り組みとして業務提携を推進しており、2016年3月より「COREC API」の提供も開始している。こうした取り組みにより2016年4月末の会員数は、前期比3,613社増の5,903社と順調に拡大しており、早晩1万社を超えるものと予想される。

b) Paid事業
Paid事業の売上高は前期比30.9%増の352百万円、セグメント利益は20百万円(前期は16百万円の損失)となり、サービス開始以降初の黒字を計上した。ECサイトの決済代行サービスとして業界での認知度が年々向上しており、加盟企業も1,700社超と前期比で約300社増加した。全体の取扱高は前期比27.7%増の13,404百万円、このうち「スーパーデリバリー」以外の外部取扱高が、同74.4%増の6,465百万円と全体の5割程度を占めるまでに急拡大していることが高成長の要因となっている。

業務提携も積極推進しており、2015年6月にロックオン<3690>、同年9月に(株)イーシー・ライダーと相次いで業務提携し、これら企業が提供するEC支援サービスの利用者(BtoB向けECサイト運営企業)向けにサービスの提供を開始したほか、同年11月には夢の街創造委員会<2484>が運営する「仕入館」、同年12月にはLINE@でのサービス提供も開始し、取扱高の拡大につながっている。

また、Fintech分野に関する最新の技術・サービス等に関する情報収集を目的としてSBIインベストメント(株)が運営する「FinTechファンド」に25百万円の出資を行った(上限100百万円)。

c)売掛債権保証事業
売掛債権保証事業は売上高が前期比17.3%増の666百万円、セグメント利益が同50.7%増の111百万円となった。当期は福岡に新たに支店を開設するなど引き続き営業力強化に取り組んだほか、サービスメニューの拡充や事業所用家賃保証サービスが好調に推移したことで、保証残高が順調に拡大した。利益面では前第4四半期に一時的に保証履行案件が増加した反動もあって、大幅増益となっている。なお、4月の熊本地震の影響による保証履行は1百万円と軽微にとどまった。

4月末の保証残高は前期比41.0%増の9,123百万円と大幅伸長した。このうち、外部取引による保証残高は同43.2%増の7,899百万円と全体の8割強を占めている。保証残高の伸びに対して増収率が低いのは、保証料率の低いパッケージ割引プランや事業所用家賃保証サービスが伸びたことによる。事業用家賃保証サービスについては、2014年4月からサービスを開始し、保証残高が2015年4月末の380百万円から2016年4月末には1,600百万円超と約4倍に急伸した。保証料率は0.2?0.3%と低いものの、保証履行の発生は比較的少ないリスクの極めて低いサービスとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均