貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2471 エスプール

東証P
324円
前日比
-3
-0.92%
PTS
324円
20:53 04/16
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.0 3.21 3.09 27.61
時価総額 256億円
比較される銘柄
ウィルG, 
トランスコス, 
パーソルHD

銘柄ニュース

戻る
 

“もったいない大国”汚名返上へ、深刻「食品ロス」削減関連株に脚光 <株探トップ特集>


―始まった官民の取り組み、解決策は新市場を形成できるか―

 まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」の問題が深刻化している。環境省の推計では、2015年度に国内で排出された食品廃棄物は約2842万トンで、そのうち食品ロスは約646万トン。これは東京都民が1年間に食べる食品の量に匹敵し、国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量の2倍に相当する。こうしたなか、食品ロスを常態化させない仕組み作りに乗り出す企業が増え始めており、新ビジネスとして市場が形成できるかどうかが注目される。

●SDGs達成に向け政府・企業が本腰

 食品ロスの原因はさまざまで、事業系では製造・流通・調理の過程で発生する規格外品や返品、売れ残りなど。商慣習として、小売店などが設定するメーカーからの納品期限および店頭での販売期限は、製造日から賞味期限までの期間を3分割して設定される場合が多く(いわゆる3分の1ルール)、最初の3分の1が過ぎる前に小売店に納品できなかった場合や、3分の2の期間までに販売できなかった商品が廃棄されていることもロス発生の大きな要因となっている。また、食品ロスの約半分は家庭から排出されており、環境省の調査では家庭から出る生ごみのうち、手つかずの食品は10.3%、食べ残しは13.6%に達していることが報告されている。

 15年に開かれた国連サミットでは、持続可能な開発目標(SDGs)として「30年までに小売り・消費レベルで世界全体の1人当たりの食品廃棄を半減させる」ことが求められており、政府は関係省庁が連携するかたちで商慣習の見直し支援や消費者への啓発活動などを推進。東京都は8月1日付で「チームもったいない」を立ち上げ、サントリー食品インターナショナル <2587> や伊藤園 <2593> 、日清食品ホールディングス <2897> 、イオン <8267> など72企業・団体(10月11日時点)が参加している。このほかにも、京都市や長野県松本市などが各種施策を掲げ、横浜市はリクルートホールディングス <6098> 傘下のリクルートライフスタイルと、食べきれない料理を持ち帰るためのシェアバッグを配布する取り組みを10月25日から来年4月30日にかけて実施する予定だ。

●エスプールは余剰在庫の有効利用サービス開始

 消費者庁によると、1人当たりの年間の食品ロス量は約51キロ(年間の1人当たりのコメの消費量に相当)で、市町村および特別地方公共団体が一般廃棄物の処理に要する経費(し尿処理を除く)は年間約2兆円と多額のコストがかかっている。食料自給率が40%を切っている日本で、大量の食品が廃棄されていることは大きな問題といえ、解決に向けた具体的な取り組みを打ち出す企業が増えている。

 例えば、LINE <3938> は来年春から、事前注文から決済までをLINEひとつで完結するフードテイクアウトサービス「LINEテイクアウト」を開始する計画。消費者の利便性向上のほか、同サービスに登録しているレストランや総菜店は、想定外の出来事や急なキャンセルなどによって余剰商品が発生した場合でもタイムリーにディスカウント情報を告知することができ、食品ロス軽減につながる効果が期待されている。

 また、エスプール <2471> [JQ]子会社のエスプールロジスティクスは8月、販売終了商品や賞味期限が迫っている商品などを特別価格で提供できるフードシェアリングプラットフォーム「KURADASHI.jp」を運営するグラウクス(東京都品川区)と業務提携。余剰在庫を有効利用できるサービスを電子商取引(EC)通販企業向けに開始した。

 同月には、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> が、食品ロス削減のためのシェアリングプラットフォーム「TABETE」を運営するコークッキング(東京都港区)と資本・業務提携。マーチャント・バンカーズ <3121> [東証2]は、コンビニエンスチェーンやファストフードチェーンに、カット野菜を納めるメーカーが利用する廃棄物リサイクルプラントに対する投資を始めている。

●アルファクスFS、大倉工業などにも注目

 食品ロスを削減するためには賞味期限を延ばすことも重要で、ここで決め手になるのが酸素を通さない食品フィルム。この素材で強みをもつのが、酸化を防ぐ機能があるEVOH樹脂(エチレン‐ビニルアルコール共重合体)を手掛けるクラレ <3405> と三菱ケミカルホールディングス <4188> の2社だ。また、ガスバリア性のある包装フィルム「エコラップバリアー」を手掛ける大倉工業 <4221> のビジネス機会拡大も見込まれる。

 これ以外では、食材の過剰な発注を抑えることができる食材発注システムにも商機がありそうで、これを手掛けるインフォマート <2492> 、アルファクス・フード・システム <3814> [JQG]、シンクロ・フード <3963> 、NEC <6701> などにも注目したい。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均