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フルスピード Research Memo(5):16/4期は2期ぶりに増収増益の見通し


■業績動向

(3) 2016年4月期の業績見通し

フルスピード<2159>の2016年4月期の連結業績は、売上高が前期比9.1%増の13,000百万円、営業利益が同40.5%増の800百万円、経常利益が同46.1%増の780百万円、当期純利益が同26.1%増の560百万円と期初計画を据え置いており、2期ぶりに増収増益に転じる見通しだ。

第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で56.4%、営業利益で56.3%と直近3年間の平均進捗率(売上高57.0%、営業利益52.3%)と比較すると順調に推移していると言える。下期のクライアント動向がまだ不透明なこともあり、計画を据え置いたとしているが、SEM広告ソリューションの回復基調が続いていることや、「AdMatrix DSP」の売上も好調を持続しており、計画を上回ることも十分予想される。

なお、下期以降の注力施策として「アドテクノロジー事業の強化」「事業の選択と集中」「訪日インバウンド事業の強化」の3点を掲げている。

○アドテクノロジー事業の強化
アドテクノロジー事業については、「AdMatrix DSP」が順調に育ち始めている。一方で、従来同社が弱かったスマートフォン広告市場での販売強化を図るため、2015年10月末にライヴエイドよりスマートフォン向けアドネットワークサービス「AID」の事業を115百万円で取得した(人員の異動はない)。

売上規模については非開示だが業界では5~6番手に位置しており中堅クラスとなる。配信先となるアプリメディア数はゲームアプリを中心に1~2.0万件程度と豊富で、独自フォーマットによる広告形式などが特徴となっている。また、配信エンジンの性能※も、業界最大手であるファンコミュニケーションズ<2461>のnendとほとんど変わらない水準にあると言う。同社では「AID」の性能を社内の開発リソースを使ってさらに高めながら、その他のアドテクノロジーサービスとの販売シナジーを図ることで、事業規模をさらに拡大していく方針だ。なお、事業買収に伴って発生するのれん費用は97百万円で、5年均等償却(今下期は約10百万円の見込み)となる。

※ここでは、クライアント側から見た費用対効果のこと。CPC(1クリック当たりコスト)やCPA(顧客獲得コスト)を指標としている。

アドテクノロジー広告市場は年々成長を続けているが、その内訳を見るとスマートフォン向けの比率が上昇しており、今後はPC向けに代わって主力市場に成長していくことが予想されている。このため、今回「AID」事業を取得して同領域を強化していくという戦略は理に適っていると言えよう。

○事業の選択と集中
事業の選択と集中では2015年10月にSEM運用最大手のアイレップ<2132>と協業し、リスティング広告の運用で業界最大規模となる合弁会社、(株)シンクスを同年12月に設立すると発表した。同社の出資比率は49%となり、持分法適用関連会社となる(人員はアルバイトを含めて数名異動)。アイレップ<2132>は大手ナショナルクライアントを多く持ち、同社は中小企業が主力となるため、顧客はほとんどかぶらない。なお、シンクスは運用業務のみであり、販売に関しては従来どおりで、売上高への影響はない。

合弁会社設立の背景には、業界内での慢性的な競争激化による収益性改善の停滞がある。同社ではアイレップ<2132>と協業することにより、業界No.1のリスティング広告の運用品質を実現すると同時に、成長領域であるソーシャルメディア等のネイティブ広告事業へ社内リソース(10名程度)を振り向け、強化していく方針となっている。

具体的な取り組みも動き始めており、2015年12月に広告とPRを融合させた新サービス「戦略的ブランドニュース」を共同ピーアール<2436>と開発し、サービス提供を開始した。企業のメッセージを「コンテンツ」に変えて、「広告」の手法を活用して適切なターゲットに対してメッセージを配信するサービスとなる。具体的には、SNSやキュレーションサイト上のネイティブ広告となるコンテンツの制作とメッセージ配信を行っていくもので、顧客の相互紹介なども含めて今後の売上げ拡大が期待される。

○訪日インバウンド事業の強化
年々、増加を続けている中国からの訪日観光客向けをターゲットとした広告支援サービスを強化している。中国では旅行前に買う商品をあらかじめ決めておくという特性があることから、旅行前の段階からプロモーション活動を開始し、旅行中、旅行後とそれぞれの過程において様々なプロモーションサービスを展開している。

具体的には、親会社のフリービット<3843>と共同開発したフリーペーパー「Go日本」を中国現地でSIMカード販売と同時に配布しているほか、大手LCC航空機内にも配置している。また、インターネットの動画プロモーション「アイチーイー」やSNS「WeChat」「Weibo」でのプロモーションに加えて、ここ最近ではスマートフォン専用アプリ「Go日本」の注目が急速に高まっている。同アプリは関連会社の亜智遊(北京)信息科技有限公司(出資比率20%)が中国、香港、台湾における訪日観光客向けに開発したもので、サービス開始以降既に20万件のダウンロードを突破し、観光客向けの有力なプロモーションツールに育ちつつあり、早晩100万件に達する勢いとなっている。

「Go日本」アプリが人気を博している理由は、中国人目線で企画された独自コンテンツを毎日更新していること、翻訳機能・乗換案内サービス、SNSメディアとの連携機能、口コミ評価ランキング検索機能など、ユーザーにとって利便性の良い機能をそろえていることが大きい。2015年11月には日本での本格的な営業展開を進めるため、合弁会社、(株)ゴージャパンを設立(出資比率20%)しており、中国観光客の集客に課題を持つ店舗運営企業など(飲食店など)を中心に広告事業を展開していくほか、アプリのプロモーション及びアプリ内のコンテンツの企画・制作支援を行っていく予定となっている。

同アプリについて、同社業績への直接の影響はないものの、広告販売していくうえで「Go日本」アプリを他社との差別化ツールとして活用していきたい考えだ。また、将来的には亜智遊(北京)信息科技有限公司がIPOを目指しており、キャピタルゲインを得られる可能性はある。

なお、従来より中国でリスティング広告サービスを行っていた子会社については単月ベースで既に黒字化しており、売上高も数億円規模まで拡大している。今後は日系クライアントだけでなく、ローカル企業の開拓も展開していく予定となっている。さらに、中国の訪日インバウンド事業で蓄積したノウハウを生かして、2017年4月期以降は東南アジア圏への進出も目指している。ベトナム、シンガポールやインドネシア、マレーシア、タイなどが候補となっており、フリービット<3843>のリソースも活用しながら、インターネット広告サービス事業を展開していく予定だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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