2437 シンワアート JQ 15:00
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2016年03月04日16時25分

シンワアート Research Memo(10):アジアの富裕層を日本のオークション市場に取り込む


■成長戦略とその進捗

シンワアートオークション<2437>は2014年5月期より新中期経営計画(5ヶ年計画)をスタートした。成長戦略の柱は、オークション事業の拡大と新規事業の育成による安定収益源の確保、アジア戦略の3つである。日本の美術品オークション市場の再生に貢献するとともに、「アートから始まる富裕層向け総合サービスカンパニー」へと事業ドメインの拡充により、安定収益源の確保と財務基盤の強化に取り組む計画である。最終年度である2018年5月期には売上高14,500百万円、本体純資産15,000百万円、戦略子会社純資産15,000百万円と大きな飛躍を目指している。

(1)オークション事業の拡大

同社は、長期間にわたるデフレ経済の下で停滞してきたオークション市場の回復、ひいては本来あるべき市場規模に再評価されることを目標に、「日本近代美術再生プロジェクト」と銘打ち、資本力を駆使した大きなプラットフォームを構築することでオークション事業の拡大に取り組む方針である。具体的には、同社がマーケットメイク機能※を果たすことで市場に厚みを持たせ、取引の活性化と市場の拡大に結び付ける戦略である。加えて、自ら取引の当事者となることは、富裕層とのネットワークを構築するうえでもプラスの効果が働くと考えている。同社は、日本の美術品オークション市場は最低でも1,000億円~2,000億円の規模が適正な水準と考えており、その市場規模を支えるためには、最低10,000百万円以上の純資産を確保し、安心できるプラットフォームの運用を目標としなければならないとしている。

※マーケットメイク機能…同社が、当事者として取引に参加することで市場の流動性や効率性を高める手法。
2016年5月期上期はおおむね堅調に推移したものの、アベノミクスの中だるみから取扱高が伸び悩むなど大きな進展は見られなかった。ただ、美術品価格の緩やかな上昇傾向や引き合いの動きなどから市場全体に回復への兆しが見えており、同社としてはプラットフォーム構想の実現に向けて「日本近代美術再生プロジェクト」を着実に進めていく方針としている。

(2)新規事業の育成

エネルギー関連事業は、節税効果及び安定的な収益を期待できる投資案件として投資ニーズが拡大するなかで、積極的に太陽光発電施設の開発及び販売に取り組んだことにより、2015年5月期には本格的な業績貢献を実現した。今期(2016年5月期)も引き続き順調に事業が拡大している。

今後は、節税効果の縮小や固定買取価格の低下等を背景として、太陽光発電施設に対する投資ニーズの動向と投資ニーズが一巡した後の収益モデルの転換がポイントとなるだろう。同社では、投資ニーズは今期がピークとなる可能性が高いものの、来期も引き続き根強い需要が期待できるという見方をしている。また、投資ニーズが一巡した後は、売電事業の拡大のほか、太陽光発電施設の中古オークションなど2次流通市場への展開等により、高い水準で業績の安定化を図っていく方針としている。また、風力発電などへの参入も視野に入れているもようである。

また、メディカル事業は、既存の診療報酬ファクタリングについては一旦凍結としたが、ホスピタルネットワークを生かした医療ツーリズムに注力している。今期は、事業モデルの基盤となる決済プラットフォームの構築など大きな前進を図った。今後は、医療ツーリズムを目的とした中国・アジアからのインバウンド旅行者へのマーケティングととともに、決済プラットフォームに加盟する医療機関の開拓に取り組むことで、来期以降の本格稼働を目指している。

一方、新たに開始したキャプティブ設立コンサルティングは、エネルギー関連事業における顧客企業への展開(クロスセル)を推進している。日本では大手企業以外での利用実績はほとんどないものの、効率的なリスクマネジメントや投資収益面でのメリットも見込めることから、事前の市場調査などを通じて手応えをつかんでいるようである。個人事業主等を対象とした新たな市場の創造となることから、どのくらいの業績貢献が期待できるのかに未知数な部分もあるが、ある程度の実績が見えてくれば将来に向けた事業拡大のイメージがつかめるものと考えられ、今後の動向に注目したい。

(3)アジア戦略

アジア戦略は、ASIAN ART AUCTION ALLIANCEとの連携強化により、アジア圏でのプレゼンスを高めることである。特に、アジアの富裕層を日本のオークション市場に呼び込むことや、オークション以外にも医療ツーリズム等による事業拡大をもくろむ。

弊社では、オークション事業におけるプラットフォーム構想の実現には時間を要するものと捉えており、ここ数年で大きく拡大したエネルギー関連事業の伸びも一巡する可能性があるが、富裕層マーケティングにおける強みを生かした独自の新規事業が順調に立ち上がってきており、持続的な成長の実現は可能であると判断している。今後も「富裕層向け総合サービスカンパニー」として富裕層ニーズを的確に捉えた同社ならではの事業展開に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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