貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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2432 ディー・エヌ・エー

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「自社株買い」過去最大のブーム到来、外国人に代わる買い主体へ <株探トップ特集>


―高まる株主還元姿勢、アナウンス効果で株価も上昇、いま注目の銘柄を探る―

 自社株買い実施企業が急増している。東京株式市場は6月に入ってからも相場に力強さに欠ける展開が続くが、そのなかで異彩高が目立つのが自社株買い発表銘柄だ。相次ぐ自社株買いの発表で2018年度に続き19年度の設定金額は過去最高に達する見込み。この背景には、株主への利益還元姿勢の高まりや、自社株の割安さを示すアナウンスメント効果への期待などがある。“過去最大のブーム”と呼ばれる自社株買い急増の背景と注目銘柄を追った。

●三菱地所、ソニー、ディーエヌエーなど注目の自社株買いが続々登場

 東京株式市場が「自社株買い」に沸いている。金融情報サービスのアイ・エヌ情報センター(千代田区)の調べによると18年度の自社株取得枠設定の金額は約6兆9702億円とこれまで過去最高だった15年度の同6兆4950億円を上回った。直近の今年4~6月(~17日)も、3兆6927億円に達した。既に昨年度の50%超の水準にあり、今年度も過去最高更新は確実な情勢だ。

 また、東京証券取引所が発表する主体別売買動向では、自社株買いの状況を反映する事業法人の買い越し金額は年初から直近まで1兆7000億円台と日銀を除けばトップの買いセクターとなっている。事法はかつての外国人に代わる買い主体に浮上している。

 連日の自社株買いの発表ににぎわう東京市場だが、その内容も「初顔」や「連続実施」といった企業が目立つ。例えば、三菱地所 <8802> は5月に発行済み株式数の4.68%に相当する6500万株、1000億円を上限とする同社として初となる自社株買いを発表した。ソニー <6758> も2月に同2.36%相当の3000万株、1000億円を上限とする自社株買いを発表。利益還元を目的とする自社株買いを初めて行った。伊藤忠商事 <8001> は、昨年12月に続き今年2月、そして6月と立て続けに3度の自社株買いを発表している。ディー・エヌ・エー <2432> は、発行済み株式数の26.14%相当となる3800万株、500億円を上限とする自社株買いを発表し、市場関係者を驚かせた。

 更に、自社株買いが株価上昇の契機となったモデルケースが、ソフトバンクグループ <9984> だ。同社が2月に同10.3%相当の1億1200万株、6000億円規模の自社株買いを発表してから5月末までの下げ相場のなか、日経平均に対して約2割アウトパフォームしている。

●米国を彷彿させる株価低迷時の自社株買い、今夏に一段の盛り上がりも

 では、増配などに比べなぜ自社株買いが選好されるのか。「企業としては、自社株買いにより割安さを示す、アナウンスメント効果を狙っている面が大きいだろう。また、配当は一度水準を引き上げると減配がしづらい。その点、自社株買いは柔軟性や機動性に優れている」と準大手証券のアナリストはいう。更に「4~6月決算が明らかになる7月下旬以降、自社株買いの発表は再度、活発化しそうだ」とみている。

 自社株買いは発行済み株式数を減らすことになり、一株当たり利益(EPS)や株主資本利益率(ROE)の改善に寄与する効果がある。初の自社株買いに踏み切った三菱地所では、「自社株の割安さもあるが、来年度から始まる新中期経営計画に向けて資本政策の転換を進めている。足もとで投資物件の資金回収時期にあたり、改善するキャッシュフローを自株買いに回すことによりROEなどの改善を図ることを目的としている」(広報)という。伊藤忠では、昨年10月に「中長期的な株主還元方針」を発表しており、自社株買いに関しては1億株程度の実施をメドとして、キャッシュフローの状況を考慮したうえで継続的に実施する方針を発表している。立て続けの自社株買い発表も「この株主還元方針に沿ったもの」(同)だ。

 更に、自社株買い増加の背景には、金融庁によるコーポレートガバナンス・コードで政策保有株が問題視されるなか、政策保有株の売却に対して東証の立会外取引(ToSTNeT)を活用した自社株買いで対応している面もありそうだ。

 東海東京調査センターの庵原浩樹シニアストラテジストは「米国では株式市場が低迷するなか、企業が自社株買いを相次いで発表し、それがきっかけとなり相場が反発することはよくある光景だ。日本企業の株主還元姿勢には改善余地は大きい。それだけに、日本でも米国と似たような状況が生まれつつあるのかもしれない」と期待している。以下、自社株買い発表を契機に上昇が期待される有望8銘柄を紹介する。

■ソーバル <2186> [JQ]~人工知能(AI)IoT分野に対応したビジネスに経営の重心を置き、組み込みソフトの受託開発や技術者派遣を展開。自動運転関連分野などで受注実績。20年2月期の経常利益は前期比1.6%増の6億4200万円を見込む。4月に発行済み株式数の3.67%に当たる30万株、4億5000万円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は10月10日まで。6月3日公表時点で金額ベース進捗率は49.0%。

■菊池製作所 <3444> [JQ]~精密部品・金型を主力に手掛け、マッスルスーツなどの開発で注目。20年4月期の経常利益は前期比97.3%増の2億3400万円を計画。3月に発行済み株式数の3.00%に当たる37万株、3億円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は10月31日まで。6月3日公表時点で金額ベース進捗率は64.2%。

■No.1 <3562> [JQ]~情報セキュリティー商品を取り扱い、オフィスのネットワーク環境をガードする「WALLIOR壁闘士」などが注目されている。4月に発行済み株式数の3.04%に当たる9万5000株、8200万円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は20年2月20日まで。6月5日公表時点で金額ベース進捗率は60.4%。

■ワコールホールディングス <3591> ~婦人下着最大手。前期に計上した減損損失の一巡により20年3月期の税引前利益は前期比5.4倍の120億円の予想。5月に発行済み株式数の2.92%に当たる190万株、50億円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は12月31日まで。6月7日公表時点で金額ベース進捗率は12.4%。

■フェイス <4295> ~携帯コンテンツ配信サービス事業の企画と開発、音源音声信号処理技術の開発とライセンスなどを提供。近年音楽市場が拡大傾向にあるなか、先行投資や開発費などの負担一巡で、20年3月期の経常損益は前期の赤字から3億円の黒字を見込む。5月に発行済み株式数の5.05%に当たる67万株、5億円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は7月1日~20年5月20日まで。

■大幸薬品 <4574> ~「正露丸」で高い知名度を誇り、感染管理事業が成長ドライバー。20年3月期経常利益は前期比3.4%増の19億5000万円を計画。5月に発行済み株式数の3.0%に当たる43万株、8億2000万円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は10月31日まで。6月7日公表時点で金額ベース進捗率は15.2%。

■アイダエンジニアリング <6118> ~サーボ駆動式プレス機で世界2強の一角。20年3月期は製品ミックス改善などで販管費の増加を吸収し経常利益は前期比10.5%増の65億円を計画。6月に発行済み株式数の3.99%に当たる260万株、20億円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は7月1日~10月31日まで。

■ミマキエンジニアリング <6638> ~インクジェットプリンターの世界的メーカー。20年3月期は販管費や設備投資に伴う減価償却費の増加などを見込み、経常利益は減益予想だが、来期以降の回復に期待。6月に発行済み株式数の3.35%に当たる100万株、10億円を上限とする自社株買いを発表。買い付け期間は20年6月16日まで。

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