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2427 アウトソーシング

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アウトソシング Research Memo(1):上期業績は計画を上回る大幅な増収増益。更なる成長に向けて公募増資を実施


■要約

アウトソーシング<2427>は、メーカーの製造ライン向けに人材派遣及び業務請負を行う「国内製造系アウトソーシング事業」や、メーカーの研究開発部門及びIT、土木建築系企業向けに技術者派遣等を行う「国内技術系アウトソーシング事業」を展開するほか、米軍施設向け事業や海外展開にも積極的に取り組んでいる。海外を含めた人材提供数(外勤社員数※1)は約7.4万人に上り、技術・製造系では業界最大の規模を誇っている(2018年6月末現在)。旺盛な人材ニーズを背景として、業界全体が好調に推移しているなかで、景気変動の影響を受けやすい事業特性からの脱却や今後の環境変化への対応を図り、事業構造が進んでおり、「国内技術系アウトソーシング事業」や「国内サービス系アウトソーシング事業」、「海外事業」に注力している。また、創業以来の「国内製造系アウトソーシング事業」においても、独自の事業モデルであるPEO※2スキームによって、これまでの短期の生産調整領域から長期事業領域での人材ニーズの創出と顧客の囲い込みに取り組んでおり、同社ならではの成長戦略は順調に進展している。2018年10月には、更なる成長に向けて公募増資を実施し、財務基盤の強化を図った。

※1 外勤社員とは顧客メーカーにおける現場作業従業者の総称で、稼働中の派遣契約社員も含む(同社の定義を使用)。
※2 Professional Employer Organizationの略(詳細は後述)。


2018年12月期の上期業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比31.5%増の139,099百万円、営業利益が同41.3%増の4,908百万円と期初予想を上回る増収増益となり、売上収益、利益ともに過去最高(上半期ベース)を更新した。国内においては、「国内製造系アウトソーシング事業」がPEOや外国人技能実習生等の高付加価値スキームにより伸長したほか、「国内技術系アウトソーシング事業」についても新卒採用や独自スキームによる技術者採用が奏功した。また、「国内サービス系アウトソーシング事業」については、グループシナジー創出により国内米軍施設向けが大きく拡大している。一方、海外においては、労働力が潤沢な国から逼迫(ひっぱく)する国へとグローバル規模で人を流動化するスキームの確立や安定的な公共関連サービスの伸びにより、「海外製造系及びサービス系事業」及び「海外技術系事業」がともに好調に推移した。利益面でも、新卒採用の拡大に伴う配置前教育コストやM&A関連費用など、今後の成長に向けた先行費用を積極投入したものの、事業規模の拡大や高単価受注の拡大により大幅な増益を実現している。

【3Q決算フォローアップ※】
第3四半期の連結決算においても、引き続き売上収益、利益ともに過去最高(3Qベース)を更新した。売上収益が前年同期比33.6%増の221,058百万円、営業利益が同38.4%増の9,283百万円となり、順調な進捗が確認された。

※同社は、2018年11月2日に2018年12月期第3四半期(以下、3Q)決算を発表した。本レポートは2018年12月期の上期業績レポートを中心に、3Q業績についてもフォローアップを記載している。


2018年12月期の業績予想(IFRS)について同社は、期初予想を据え置き、売上収益を前期比26.0%増の290,000百万円、営業利益を同21.5%増の13,800百万円と、9期連続の増収により過去最高の利益を更新する見込みである。人材獲得に向けた独自の取り組み(KENスクールやPEOスキーム等)の進展に加えて、米軍施設向けの展開加速、公務の民間委託事業のグローバル展開によりオーガニックな成長を想定している。弊社でも、外部要因(法改正で発生する派遣ニーズの拡大や業界淘汰の取り込み、公務の民間委託市場の世界規模での拡大等)及び内部要因(独自戦略の進展やグループシナジーの実現等)から判断して、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。特に、上期業績の進捗が計画を上回ったことに加えて、2018年5月に連結化したOTTO Holding B. V.や新たに実施したM&Aによる効果を勘案すれば、期初予想を上振れる可能性にも着目したい。

同社は、2020年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。国内では成長性及び付加価値が高く、人材不足が課題となっているIT及び土木建築分野(技術系)や参入障壁の高い米軍施設向け(サービス系)、海外では公的サービスの民間委託分野などを大きく伸ばす方針である。特に、いかなる環境変化にも打ち克つ企業になるべく、製造分野と異なる景気サイクル分野の拡充や景気の影響を受けにくい公共事業のアウトソーシングの強化、グローバルな人材流動化への対応などに取り組む。2020年12月期の目標として、売上収益を4,410億円、EBITDAを344億円と意欲的な水準を掲げており、海外事業においては、引き続き、M&Aを重要な成長戦略の軸とする方針である。

弊社でも、外部要因及び内部要因の両方がプラスに働くことにより中期経営計画は十分に達成可能であると判断している。特に、今回の公募増資による財務基盤の強化は、更なる成長に向けて大きな前進と言えるだろう。また、相次ぐ大型M&Aに伴って増加してきた「のれん」に対する減損リスクを懸念する見方もできるが、同社のM&Aは各国政府や米軍施設向けのアウトソーシング分野など、固定資産を保有せず、キャッシュ・フローが安定的にプラスとなっている企業を対象としており、回収期間が短く、景気変動の影響を受けにくいことから、財務リスクは小さいものと捉えている。今後もM&Aを含む成長戦略の進捗に注目していきたい。

■Key Points
・2018年12月期上期の業績は期初予想を上回る増収増益を実現、3Q進捗も順調
・2018年10月には更なる成長に向けたエクイティ・ファイナンスを実施
・今後もM&Aを含む成長戦略の推進により事業構造の変革を進めながら高い成長性を継続する計画
・特に、グローバルでの人材流動化への対応等を見据え、世界No.1を視野に入れた体制構築に取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《MH》

 提供:フィスコ

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