貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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2413 エムスリー

東証P
1,905.5円
前日比
+21.5
+1.14%
PTS
1,894円
23:47 04/24
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.9 3.84 1.10 26.96
時価総額 12,940億円
比較される銘柄
ソニーG, 
ポート, 
ケアネット
決算発表予定日

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雨宮京子が読む!2021年中盤の投資戦略 <GW特集>


●時間とともに膨らむ上方修正期待

 日経平均株価は底打ち感が生じた後、下値を固める動きとなってきた。その一方で米国株式市場は強さを増しており、日米間の株価格差は広がるばかりとなっている。米国株式は一時、長期金利の上昇によって調整色を強めたものの、今では金利を気にするような雰囲気は感じられない。グロース株の比重が高いことで、10年債との比較で割高と指摘されたことから大きく下落したナスダックさえ、いつの間にか過去最高値を更新したほどだ。

 本来であれば、これだけ米国株が強ければ、日経平均株価は3万円台を固めるなど高値圏で推移しているはず。ところが、日本株は置いていかれる一方だ。その要因として大きいのは、やはりワクチン格差だろう。1回目のワクチン接種を国民の4割が終えたとされる米国に対して、日本は医療従事者を中心に1~2%というレベルに過ぎない。ワクチン接種が遅れれば、それだけ経済の正常化も遅れるため、その分、日本株は安心して買えないということになる。変異株が猛威を振るい始めたこともあり、国内では3回目となる緊急事態宣言が発令されたが、これが株価の重石になったのは間違いないだろう。国内でワクチン接種が進むまで、株価はもたつく可能性がありそうだ。

 一方、コロナ禍は企業業績にも当然、悪影響を及ぼす。正常化が遅れるだけで、その分の利益は後ずれし、いずれは収益が上向くとの見方があるものの、それを織り込むような株価形成とはなっていない。ここに来るまで期待先行で業績向上を株価に織り込んできたことを背景に、決算発表シーズンの株価動向に異変が生じた。

 いつもであれば、好決算が期待される銘柄については先取り買いが活発化するが、今シーズンについてはそうした動きがほとんどみられない。発表された数値については、たとえ大幅増益予想であっても、市場のコンセンサスを下回る予想であれば、発表翌日は売られてしまう。ここに来るまで、安川電機 <6506> 、日本電産 <6594> などがその代表例で、エムスリー <2413> のように今期見通しを非開示とした銘柄については真っ先に売られる対象となる。 

 市場予測を下回る銘柄が多いが、その理由は簡単だ。通期の収益計画を立てるこの時期に、コロナ禍が不透明感を増したため、先行きに対して企業が保守的にならざるを得ないのである。実際に、日本電産の永守会長は見通しについて「保守的にみる必要がある」と説明していた。最初から、いい数字が期待できないのであれば、先取り買いなどできようはずもない。

 だが、時間の経過とともに話は変わりそうだ。業績見通しについて最初は保守的でも、時間が経つにつれて上方修正の期待が膨らんでくる。たとえば、12月期決算のキヤノン <7751> は、第1四半期で早くも通期見通しの大幅上方修正を公表。3月期決算の主要企業も同様のコースをたどることは想像に難くない。

 となると、現実に好調な予想を示しながら、市場予測を下回ったという理由で売られた銘柄は買いという結論を導くことができる。第1四半期決算を発表する夏ごろには、相場の景色は変わっているかもしれない。その頃にはワクチン接種も進行。ワクチン格差が売り材料でなくなる可能性もある。

 日経平均が年初来高値を付けたのは2月。期日迎えなどタイミング的にも7~8月はラリーが期待できよう。それまで株価がもたつく場面があれば拾い、サマーラリーに乗るのが今年中盤の戦略となりそうだ。

◆雨宮さん勝負のポートフォリオ13銘柄

○ソニーグループ <6758>
 世界のソニーもいまやゲーム、エンターテインメント、金融と幅広く展開するコングロマリットとして社名もソニーグループに変更した。22年3月期は巣籠もり需要の一巡、 半導体不足が懸念要因だが、半導体供給が解決すれば収益の上積みが期待できるようになる。

○デンソー <6902>
 今期の業績見通しは営業2.7倍増益予想。アナリストの平均予想を若干下回ったものの、立ち会い中に発表された直後から株価は上値追いを鮮明にした。上振れ余地は大きいとみられ、押し目を形成した場合は拾い場になると考えられる。

○オキサイド <6521> [東証M]
 4月に上場したばかりの直近IPOの一角。半導体を主軸に、光計測、ヘルスケアなどを手掛け、市場では半導体関連株人気の流れに乗って、上場後も人気が継続している。今期も2ケタ営業増益の見通しで、成長路線に変化はみられない。

○QDレーザ <6613> [東証M]
 半導体レーザー技術を活用したデバイス開発を主力とする。2月に新規上場した後、マザーズ市場で人気銘柄となる。上場直後には値ごろ感から「テンバガー」候補と目されるなど、成長期待が大きい。

○富士フイルムホールディングス <4901>
  新型コロナワクチンの承認動向に期待が高まる。2023年度に営業利益で過去最高となる2600億円を目指す。20年ぶりのトップ交代でヘルスケアと高機能素材の成長を加速させると明示。

○宮越ホールディングス <6620>
 アジアのシリコンバレーを目指す中国・深センで不動産開発事業に取り組むなど、中国関連として注目度がアップしている。旧クラウンから不動産賃貸・投資会社へと構造変革が進む。中国では再開発ニーズが強いことで、今後の利益成長が期待できそうだ。

○アオイ電子 <6832> [東証2]
 電子部品製造。半導体集積回路などの組み立て、製造を受託する業態が時流に乗る。チャートは着実に下値を切り上げ、年初来高値近辺の水準で強調を保っており、半導体関連株に物色の流れが向いた場合、さらなる上値が見込めそうだ。

○ヒーハイスト <6433> [JQ]
 直動ベアリングを主力製品として展開する企業で、半導体不足を受けた設備投資の活発化を背景に、製品需要の拡大が有望。株価500円前後で推移する値ごろ感が魅力であるほか、大勢的な底値もみ合いから離脱したチャートからも上昇が期待できる。

○ラクーンホールディングス <3031>
 衣料・雑貨の企業間電子商取引「スーパーデリバリー」を手掛けるが、コロナ禍によるビジネスの非対面化の進展により、ビジネスチャンスが広がる方向。チャートは着実に下値切り上げ型となり、上値指向を鮮明にしている。

○川崎汽船 <9107>
 定期船はコンテナ不足になるほど繁忙状態が続く。バルチック海運指数は11年ぶりの高値水準に到達するなど市況上昇も追い風になる。世界の経済正常化によってさらに荷動きが活発化しそうで、収益は一段の上向きが期待できそうだ。

○東洋エンジニアリング <6330>
 中期計画でカーボンフリー燃料として注目を集めている燃料アンモニアや再生可能代替航空燃料(SAF)に注力することを明らかにしたが、これらは環境への関心が高まるにつれ、脚光を浴びてきそう。環境関連株として見直すことができる。

○アサヒホールディングス <5857>
 金、プラチナの貴金属リサイクル産業廃棄物処理などを手掛ける企業。今期の経常利益見通しは横ばいとなるものの、リサイクル需要は強く、収益の上振れを期待。3月に実施した株式分割を考慮すると、実質的に今期は増配となる。

○テルモ <4543>
 カテーテルなど心臓血管分野の拡大が見込めるほか、コロナ禍においてはワクチン用の注射器需要の拡大が買い材料。米ファイザー製の新型コロナワクチンを1瓶から7回接種できる注射器の生産を開始し、この収益寄与が注目される。

(2021年4月28日 記)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。


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