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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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2412 ベネフィット・ワン

東証P
2,164.5円
前日比
-1.5
-0.07%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
61.7 15.28 3.84
時価総額 3,446億円
決算発表予定日

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ベネ・ワン Research Memo(4):会員数3,000万人でパラダイムチェンジを起こす


■事業環境の変化と事業戦略

(2) BtoC事業

2014年から第3ステージとして「BtoB市場の深掘り」と「BtoC市場への本格参入」を開始した。BtoC事業では、定額課金(サブスクリプション) と在庫共有(シェアリング・エコノミー) を武器に経営ビジョンの「サービスの流通創造」を進める。

○会員制インターネットモール
ベネフィット・ワン<2412>は、会員制インターネットモールで、ユーザー課金型サービスマッチングによる「サービスの流通創造」を進めている。サービスのリアルタイムマッチングは、航空券とホテルから始まった。システム化で先行した航空会社やホテルは、予約がインターネット経由に変わり、需給バランスに応じた価格変動システムを取り入れた。以前、インターネットにつながる端末がパソコンであった時代は、インターネットは情報検索ツールであった。それがスマートフォンに置き換わったことで、情報のプッシュ通知から、予約・申込、決済、チケットとしての利用など完結型サービスに進化し、他の業種にも広がる環境が整ってきた。同社は、特にグルメ、エンタメ、ヘルスケア分野で定額課金によるサービスマッチングの浸透、強化を図る。

月額課金型のビジネスモデルでは、一般サイトに対しサービスの差別化を図らなければならない。会員にとって一番訴求力が強いのは、価格になる。ここでは、在庫(座席)情報の共有化と価格変動システムがキーワードになる。お得な会員価格で利用できるのは、大きな会員数を背景とするスケールメリットと、サービス提供者の繁閑の差を平準化するための価格設定による。多くの宿泊施設やレストランにとって、平日の閑散期の売上増加が長年の課題になっている。低い稼働率を解消するために、会員限定価格として50%オフ等の割引を提供することで、同社会員を誘引し課題解決の成果を上げている。

グルメは、在庫情報の共有化と変動価格システムによる割安な優待料金を実現する。同社が提供するグルメサービスでは、日常使いに最適な「食べタイム」のほか、2015年10月より高級店のみをラインナップし、オンライン予約、事前決済を可能にした「Premium Dining」を開始した。東京、大阪、名古屋、福岡を中心に、接待、会食、記念日等にふさわしい、厳選した高級店700店舗を用意している。

エンタメは、チケットレス化と自主興行拡大が目玉となる。チケットレスでは、2015年9月に(株)イーティックスデータファームと資本業務提携をした。同社のオンラインチケット販売システムを活用することで、現券発送やコンビニ発券の手間を省き利便性を高める。会員企業向けで提供してきた会員制プレイガイドを、今後は個人会員にも対象を広げる。ユーザー課金型のビジネスモデルであることから、プレイガイドの手数料を取らない。需要と供給に応じた価格変動により、チケット流通の改革を目指す。また、興行主との連携や自主興行イベントを強化し、プレミアム感を出す。舞台のバックステージ観覧付きチケットやグッズ特典を付けた限定チケットなど、付加価値を高める。

○日本型シェアリングエコノミー
欧米を中心に、シェアリングエコノミー(共有型経済)が拡大している。個人が保有する遊休資産の貸出しを仲介する新しいサービスである。宿泊施設や自動車、タクシーなどが代表的なものになる。一方、同社が注目しているのは、サービス業界の有効活用されていない在庫である。サービス提供者には、以前からサービス稼働率の平準化を目的に価格を変動させる意向があったが、それには在庫情報の共有が必須であり、実現するIT環境が整備されていなかった。スマートフォンの普及やサービス業におけるIT活用経営の進行を背景に、同社の考える効率的な経済の実現が可能になりつつある。

これまでのホテル、グルメなどにおけるマッチングサイトは、ユーザー課金ではなく、収入を広告やサプライヤーからのコミッションに依存したビジネスモデルであった。短期間に無料会員を集めやすく、店舗開拓もしやすいというメリットがある。コンテンツの幅が狭いブティック型が多く、ターゲット客はライトユーザーになる。

一方、会員に定額課金する同社のマッチングサイトは、会員数の積上げや店舗開拓に地道な努力が必要だ。ただし、総合型コンテンツを扱い、収益構造を会員数に応じたストックビジネスとする同社のモデルは、一朝一夕に他社が模倣できるものではない。利用者にとっては、一定金額を払えば豊富なメニューを割安価格で何度でも使い放題のため、利用頻度が高いユーザーにとってメリットが大きくなる。
同社は、中期経営目標として2020年オリンピックイヤーに向けて2021年4月の会員数3,000万人の獲得を目指している。そのレベルに到達すると、ブティック型コンテンツを扱う無料マッチングサイトに対し、各カテゴリーで負けない送客力が実現できる。サプライヤーにとっては、広告費もコミッションも不要な同社のマッチングサイトは極めて魅力的だ。送客力が同等以上になった結果、同社の有料マッチングサイトの競争優位性が無料マッチングサイトを上回るパラダイムチェンジが起きることになる。

同社のサービスコンテンツは、育児・介護、スポーツ、リゾート&トラベル、ビジネス、リラクゼーション、グルメ、ライフサポート、レジャー&エンターテインメント、スクール&カルチャー、ファイナンス、健康を網羅していることから、サービスの利用自由度が高い。現在利用できるコンテンツ数は、100万を超える。リアルな店舗を必要とするモノの流通と異なり、サービスのインターネットモールに物理的な制約はなくサービスを追加することができる。予約は、コールセンターだけでなく、会員個人が自宅のパソコンやスマートフォン等から気軽にできる。

ユーザーニーズに対応するための、コンサルやコンシェルジュサービスも提供する。収入をサプライヤーに依存しないことから、個々のユーザーにふさわしいコンテンツを推奨することができる。従来は、広告の露出度が大きいサービスに目が奪われる傾向があった。広告収入をベースとするビジネスモデルでは、ユーザー目線での評価が難しい。サービス利用者個人によるレビューが発信されているが、同社は、次のステージで、グルメで言えばミシュランガイドのようなレベルの高いサービスの格付け機能を付加する計画でいる。

a)パーソナル事業
パーソナル会員の獲得が急ピッチで進んでいる。2016年4月の会員数は227万人と3年間で3倍以上になった。来年4月には、400万人への到達を計画している。

アライアンス先は、携帯キャリアやフィットネスクラブ、不動産仲介会社等になる。これらのアライアンス先は、顧客への対面販売や月額課金を特徴としており、同社の会費モデルとの親和性が高い。会員急増の原動力となっているのは、新たな協業先である。2015年2月からスタートした、ソフトバンクグループとの協業サービスである「とく放題」等が大きく会員数を伸ばしている。

携帯キャリアは、携帯電話にとどまらず、インターネット、電力など家に関するサービスをまとめて契約すると割安になる料金を提示している。2016年4月から電力の小売全面自由化へ移行したことにより、巨大企業の垣根を越えた競争が始まった。2017年4月からはガスの自由化もスタートし、競争の激化が予想される。同社は幅広いコンテンツをメニューに持つことで、クライアント先の主力商材と相性の強いサービスをアレンジすることができる。協業先にとっては、同社と同様な機能を他に求めようがないため、ネットビジネスで見られる「勝者総取り」の展開になる可能性がある。同社は、今後、携帯キャリア、エネルギー業界、金融業界、プラットフォーマーに対し、集中的に営業攻勢をかける。

b) CRM事業
CRM(Customer Relationship Management)事業は、顧客満足度向上支援サービスになる。同社クライアント企業の主力商品に同社サービスを加えることで、新規顧客の獲得や優良顧客の囲い込みを支援する。多様化する顧客の価値観やサービスのランク分けをして顧客満足度を高めることが可能になる。

c)インバウンド事業
インバウンド事業は、訪日旅行者向けのサービス提供や、社員旅行・イベントの企画運営等を行う。2015年度の訪日旅行者数は、前年比45.6%増の2,135万人となった。2020年のオリンピックイヤーに向けた観光立国政策を背景に、市場拡大が見込まれる。同社の優位性は、台湾を始めとする海外拠点で訪日旅行者へのコンタクトチャネルを有することだ。国内外のサービスプラットフォームを連携させることで、独自の商品優位性を確立する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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