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2376 サイネックス

東証S
717円
前日比
-39
-5.16%
PTS
725円
13:47 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.6 0.53 2.09
時価総額 46.4億円
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決算発表予定日

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アドベンチャー Research Memo(8):2016年6月期は大幅な増収増益で着地、他社提携による販路も順調に拡大


■決算動向

(1) 2016年6月期決算の概要

アドベンチャー<6030>の2016年6月期の業績は、営業収益が前期比77.7%増の2,683百万円、営業利益が同80.8%増の286百万円、経常利益が同86.4%増の276百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.5%増の146百万円と大幅な増収増益となった。

多言語化などの効果により「skyticket」が順調に伸びたことに加えて、スマートフォンアプリの提供開始や他社との提携による販路拡大が奏功したことで、申込数及び取扱高がそれぞれ大きく拡大した。特に、2015年12月から開始した格安航空券検索サイト「Skyscanner」への情報提供やスマートフォンアプリによる業績貢献が大きかった。また、「skyticket」内で展開している航空券以外の売上高(手数料収入)についても、まだ小規模ながら、旅行保険やホテル予約などを中心として、利益面での貢献が目立ってきたようだ。

一方、損益面では、成長加速に向けた広告宣伝費やシステム投資(サービス及び分析機能の強化等)などの先行費用も増加したが、増収により吸収することで増益を確保するとともに、営業利益率も10.7%(前期は10.5%)とほぼ同水準を維持した。また、特別損益として、「WannaTrip」の「skyticket」への統合や、法整備が不十分で先行き不透明な民泊事業にかかるソフトウェア等の減損損失39百万円を計上している。

財務面では、売上高の拡大に伴う現預金及び売掛金の増加やシステム投資などにより総資産が2,559百万円(前期末比34.5%増)に拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより1,168百万円(前期末比13.6%増)に増えた結果、自己資本比率は45.7%(前期末は54.0%)に若干低下した。ただ、財務基盤の安定性に懸念はない。

主な活動実績は以下のとおりである。

a)他社との提携による販路拡大
世界最大級の旅行検索サイト(グローバルメタサーチ)である「Skyscanner」(2015年12月)や「KAYAK」(2016年7月)を始め、旅行総合情報サイト「Yahoo!トラベル」(2015年11月)、総合ナビゲーションサービス「NAVITIME」(2016年2月)への情報提供を開始した。

b)新商品(ラインナップの強化)への取り組み
宿泊施設予約サイトとして世界最大の利用実績を誇るBooking.comとの事業提携(2015年11月)を始め、海外レストラン予約サービス「グルヤク」を運営する(株)トラベラーズへの出資、不動産事業を展開するAMBITION<3300>との民泊事業における業務提携(2016年7月)、ふるさと納税制度の情報提供サイトを運営するサイネックス<2376>等とのふるさと納税における旅行商品の提供に関する業務提携(2016年2月)などを締結。また、子会社スグヤクによるマッサージ・リラクゼーションサロン予約サイト「スグヤク リラク」を開始(2016年4月)するとともに、「skyticket」内において全国32社を一括で比較検索する国内レンタカー予約サービスも立ち上げた(2016年7月)。直近では、海外Wi-Fiルーターのレンタル予約サービスも開始している(2016年8月)。

c)スマートフォンアプリの提供開始
スマートフォンアプリについては、広告宣伝費の積極投入などにより通算ダウンロード数が100万件を突破するとともに、足元でも大きく伸びている。また、アプリユーザーのリピート率は高く、収益性の向上にもつながるものと考えられる。

d)クレジットカード取扱会社の増加(2016年6月)
既存のVISA、MASTERに加え、JCB、American Express、Diners Clubのカード取扱を開始した。その結果、入金率※が約2%増加し、広告効果やリピート率を高めるに至った。今後も決済手段の多様化を図る方針である。

※申し込みがあってから実際に入金があった割合(決済手段の問題から入金がされないケースもあり、そこを解消する狙いがある)。

e)海外LCC(64社)の取扱開始(2016年6月)
訪日外国人だけでなく、日本人利用者を含めた海外から海外への航空券予約の増加を見込んで、海外LCC(64社)の航空券取扱を開始した。

以上、前期業績について総括すると、広告宣伝費の積極投入を含め、今後の事業拡大に向けた戦略的な打ち手が一定の成果に結び付いてきたことについては、狙いどおりの着地と評価することができる。ただ、申込数の伸びに比べて、取扱高の伸びが緩やかなことに関しては、やや懸念材料として挙げることができる。1件当たりの取扱高(単価)の低下は、LCCの影響等によりANAやJALなど大手航空会社の運賃が下がっていることが要因となっており、同社にとっては不可抗力と言えるが、今後も同社業績への影響を含め、動向を注視する必要があるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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