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MDNT Research Memo(7):開発した「グルコース誘導体」が種々の免疫細胞治療の基盤となる可能性を秘める


■事業活動の進捗状況と今後の取り組み

2. 再生医療等製品事業
(1) 主なトピックスと進捗状況
メディネット<2370>と大阪大学大学院医学系研究科との免疫再生制御学共同研究講座(2020年3月で終了)の研究成果が海外学術誌「The Joumal of Immunology(2020年2月号)」に掲載された。そこで特筆すべきことは、本研究開発のグルコース誘導体(2DG)が、がん免疫細胞治療の基盤技術になる可能性を秘めていることである。

同社ではこれまで、免疫細胞の分化・増殖・活性化・遊走に細胞内エネルギー代謝制御が重要なことから、T細胞の培養の際に代謝調節作用を有する“2-dexoxyglucose(2DG)”を培養液に添加して培養することにより、これまでにない抗腫瘍効果を高めたT細胞を誘導することに成功している。これにより、“2-dexoxyglucose(2DG)”を利用して現在注目されている抗原受容体(CAR-T)や抗原特異T細胞受容体(TCR-T)を培養すれば、高品質かつ高効率な生産ができる可能性がある。今後は、グルコース誘導体(2DG)の性能実験を重ね、がん免疫細胞治療の基盤技術になれるようであれば、海外ライセンスアウトや共同研究を加速化しグローバル展開と事業化を推進していく予定である。

また、製品開発セグメントの主力開発品である自家細胞培養軟骨NeoCartRは、同社と米国ヒストジェニックスで自家同製品の開発・販売を目的としてライセンス契約を交わしていた。米国ヒスジェニックスは米国FDA(米国食品医薬品局)の第3相臨床試験まで駒を進め、膝軟骨の主要評価項目に近い形で追加項目まで進んだが、米国ヒストジェニックスの企業体力が続かなかったため、米国Ocugenと合併した後、米国Medavate社への資産譲渡を検討している。当初の予定では米国での第3相臨床試験の追加試験評価結果を受けて米国で製造・販売承認、そのエビデンスデータを持って日本国内で第3相臨床試験を開始することになっており、国内第3相臨床試験は1年程度所要、早ければ2021年には製造販売承認を得て、国内販売予定であった。今後は、米国Medavate社への資産譲渡の完了を待って、同社と「日本における自家細胞培養軟骨(開発番号MDNT01)」に係る協議を進める予定である。

(2) 開発パイプライン動向
再生医療等製品事業セグメントでは、前述した「グルコース誘導体(2DG)によるT細胞の免疫細胞治療技術」(大阪大学との共同研究開発)、「慢性心不全治療に用いる再生医療等製品の実用化」(九州大学との共同研究開発、次相試験に向けた治験製品の製造準備中)、「HSP105に関連したがん免疫療法」(国立がん研究センターとの共同研究開発)、「キメラ受容体遺伝子を導入した免疫細胞の開発」(京都府立医科大学との共同研究開発)などの研究開発を進めている。早期に製品化が可能な開発候補の選定を進める予定である。米国の自家細胞培養軟骨NeoCartRの資産譲渡の進捗にもよるが、それらの研究開発4テーマは初期的な開発段階にあり、可能性を見極めるには時期尚早である。早急に個々の研究テーマの開発ステージアップすることを期待したい。

また、現在未公表で取り組んでいる研究開発のテーマを正式な開発テーマとして昇格させたり、国内・海外に目を向けて、出口が見えている他社の開発テーマを探索・目利きして、即刻でライセンスインまたは当該企業・研究機関へ出資するといった、同社の動きが今後あるかどうかにも注目したいところである。

3. 次期中期経営計画について
2021年9月期を最終年度とする「ACCEPT2021戦略」において、細胞加工業の事業構造改革は2019年9月期営業利益89百万円の黒字化を達成し、大きな成果があった。現在、新たな“攻めの戦略”を現在策定中であると考えられるが、新しい中期経営計画が“実現性のある戦略を確実に実行・効果を上げる”会社へ向かう方針を示すことになるのではないかと弊社では考えている。

4. 会社が変わるために
同社はこれまで2003年の上場以来、医療機関や大学、研究機関などのアカデミアから再生医療等製品や治験用の製品製造受託(累積実績18.6万、2020年9月期第2四半期現在)及び細胞培養加工施設の運営受託などを含めた関連サービスを提供し、日本の再生・細胞医療の発展に大きく貢献してきた。細胞加工業事業は今期黒字転換となり、今後は安定的高収益が期待されるが、一方で再生医療等製品事業では収益化に一定の時間を要するため、これまで短期的に株主や投資家の期待に応えることが難しかった。

現在、日本の各企業では新型コロナウイルスの影響により“ニューノーマル(新常態)”に向けての企業変革のロードマップを検討段階にあり、今が「会社が変わる」絶好のチャンスとも言える。

「会社が変わる」ための具体策としては、
・“新”中期戦略(ACCEPT2021戦略)のアップデート…“地に足の着いた確実性のある戦略”を盛り込む
・現場サイドが具体的なアクションに落とし込み、着実に実行していく
・目標・計画のPDCAを回し、進捗状況と対策を可視化し、全社(経営者、ミドル、現場)で共有化
・株主・投資家向けIR管理の徹底… 経営課題と課題解決への道筋の明確化など
・戦略代替案(プランB)を準備しておき、状況変化に応じいつでも戦略チェンジできる柔軟な意思決定体制
などが挙げられる。

同社の経営姿勢でもある「患者さんのために、患者さんのQOLを最優先」を全面に掲げ、全社一丸となって“実現性のある戦略を確実に実行・効果を上げる”ための施策、意識変革や行動変容といった同社の今後の取り組みについても、弊社は注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

《EY》

 提供:フィスコ

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