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2337 いちご

東証P
426円
前日比
-5
-1.16%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.4 1.79 2.35 1.72
時価総額 2,153億円
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いちご Research Memo(1):2019年2月期は中期経営計画の最終年度、営業利益250億円を目指す


■要約

いちご<2337>は、オフィスやホテルなどを対象に不動産価値向上技術を強みに投資・運用を行う不動産会社である。2000年に不動産ファンド運営及び資産流動化事業をスタート。2002年には大証ナスダック・ジャパン市場(現東証JASDAQ市場)に上場し事業拡大を加速。リーマンショックを契機にいちごトラストが大株主となり、資産運用ビジネスをコアとした事業の選択と集中を行った。その後、2008年に持株会社制に移行し、2011年にJ-REITの2社を子会社化(現いちごオフィスリート投資法人<8975>)。2015年11月にはいちごホテルリート投資法人<3463>、2016年12月にはいちごグリーンインフラ投資法人<9282>を上場させ、既存不動産に新しい価値を創造する心築(しんちく)事業を発展させている。2015年11月に東証1部に昇格、2016年8月にはJPX日経インデックス400の構成銘柄に選定され、現在は200位以内を目指している。

1. 事業の特徴とトピック
主な事業セグメントはアセットマネジメント事業、心築(しんちく)事業、クリーンエネルギー事業の3つである。アセットマネジメント事業は、3つの投資法人に対して、投資対象資産の発掘及び供給、運営・マネジメントなどを行う。いちごオフィスリート投資法人、いちごホテルリート投資法人、いちごグリーンインフラ投資法人ともに運用資産残高を増やしており、同社の運用フィーも成長している。心築事業は同社事業の柱であり、不動産価値向上ノウハウは同社のコアコンピタンスである。保有不動産の賃貸収益(ストック)と譲渡収益(フロー)がバランスよく成長しているのが同社の特徴。中規模を得意としてきた同社だが、2017年3月に設立したいちごオーナーズ(株)では、個人の不動産オーナーや富裕層向けに中小規模不動産を扱う。初年度は当初計画の2倍強の物件の取得に成功し(214億円)、新領域でも滑り出し好調だ。

2. 業績動向
2018年2月期通期は、売上高が前期比47.1%減の57,846百万円、営業利益が同4.2%減の20,858百万円、経常利益が同2.9%減の19,185百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.9%減の14,018百万円と減収減益となったが、期初の各利益における業績予想を超えて着地した。セグメント別には、心築事業の寄与が大きく、粗利益で22,159百万円(前期比9.5%増、予想比0.8%減)である。内訳としては、不動産賃貸10,111百万円、不動産譲渡で12,047百万円とストックとフローのバランス良く稼いでいる。アセットマネジメント事業、クリーンエネルギー事業ともに堅調。全般的には、過去最高益だった2017年2月期には及ばなかったものの、安定的に収益をしっかり稼ぎ、昨年度に匹敵する高い利益水準を確保した決算と言える。

2019年2月期通期の業績予想は、営業利益で前期比19.9%増の25,000百万円、経常利益で同14.7%増の22,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.0%増の15,000百万円と過去最高益の見通しだ。2年前に掲げた同社の中期経営計画「Power Up 2019」の最終年度である2019年2月期に、営業利益25,000百万円、経常利益21,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益14,800百万円を目指してきたが、それを若干上回る予想となる。業績の柱は心築事業。保有する不動産の期末時点の含み益(鑑定ベース)は45,439百万円であり、実際の売却時には、これまでも含み益を大幅に上回る売却益を実現してきたことに加え、いちごオーナーズの拡大も見込めるなど好材料が多い。

3. 成長戦略
2017年3月設立の連結子会社「いちごオーナーズ」は現不動産オーナーやこれから不動産オーナーを目指す個人や法人を対象とし、10億円以下のレジデンスやオフィス物件を中心に扱う戦略子会社である。開業1年目を終えて、出だしはすこぶる好調である。初年度の物件の仕入れ目標約100億円に対し、実績は214億円と2倍強となり、新たな鉱脈を掘り当てた形だ。2019年2月期は前年並みの200億円の仕入れ、売却も200億円、粗利で20億円(粗利率10%程度)を目標とする。心築事業セグメントの第4の柱になることが期待できる。

また、同社は2017年6月に不動産会社(株)セントロをM&Aにより連結子会社化し、その100%子会社でセルフストレージ事業(トランクルーム事業)を行うストレージプラスを傘下に入れた。ストレージプラスのセルフストレージは「安心・安全・きれい」をテーマに、女性が24時間使える都市型の施設で差別化をする。最大の特徴はIoTを駆使した無人化システム。利用者は電子キーで入館し、常に防犯カメラが監視する。業界の成長率を大幅に上回るペースで積極出店し、2016年12月時点で14件、約1900室であったが1年2ヶ月後の2018年2月時点では、27件、約3600室(開発予定含む)まで増やした。いちごオーナーズとの相乗効果にも注目したい。

4. 株主還元策
同社は「累進的配当政策」を導入しており、「原則として減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針としている。2018年2月期の1株当たり配当金は年間6円、配当性向は21.3%だった。2019年2月期は年間7円、配当性向23.3%と増配を予想する。2017年の4月と10月に総額約30億円分の自社株を取得した。株主価値の向上策として注目したい。

■Key Points
・主力の心築事業では、物件取得の工夫と取得後の価値向上、含み益を超える売却益が特長
・2019年2月期は中期経営計画「Power Up 2019」の最終年度、営業利益250億円を目指す
・いちごオーナーズ、セルフストレージ事業など有望事業の成長加速
・増配か配当維持を原則とする累進的配当政策。2019年2月期は7円、7年連続の増配を予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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