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2303 ドーン

東証S
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ドーン Research Memo(1):「NET119緊急通報システム」は自治体への地方交付税の対象に。導入加速に期待


■要約

ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災関連のクラウド型サービスで業績を伸ばしている。

1. 注目事業・サービス
同社の近年の成長の原動力となっているのが、クラウド型サービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やケガ、地震災害や火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、兵庫県神戸市や埼玉県川口市などを皮切りに導入が進み、2015年12 月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。同システムが導入されている消防本部の管轄人口は約3,961万人(2018年5月末現在)、人口カバー率は約31%であり、2020年5月期に50%まで高めたい、さらには東京五輪・パラリンピックを控え同システムの全国的な普及推進を加速するという政府の方針にも応えていきたい考えだ。2018年3月に、総務省は同システムの早期導入を進めるために、地方自治体の各消防本部が同システムを導入した際の運用経費を地方交付税で賄う措置を通知しており、未導入の自治体においても導入が加速されることが期待できる。同システムはクラウド型サービスであり、顧客である自治体にとっては自前で運営する場合と比較してコストが安く運営の手間もかからないというメリットがある。

2. 2018年5月期通期の実績
2018年5月期通期の売上高は836百万円(前期比6.2%増)、営業利益162百万円(同29.3%増)と増収増益となった。売上高に関しては、「NET119緊急通報システム」をはじめとする防災・防犯関連のクラウド利用料収入が順調に増加したのに加え、クラウド案件の初期構築や鉄道の走行動画閲覧・検索システム等の受託開発が堅調に推移し、過去最高の売上高となった。利益に関しては、増収効果に加え、地図などの仕入れが減少し売上総利益率が2.5ポイント上昇。営業利益率は19.5%と高い水準。全体として3年連続の増収増益と好調を維持した。

3. 2019年5月期の業績予想
2019年5月期通期の業績予想は、売上高で前期比5.3%増の880百万円、営業利益で同11.1%増の180百万円と4年連続の増収増益を予想する。クラウドサービスの利用料収入は既存顧客(自治体)の定常収入に加え、新たな契約の獲得に伴う増収を見込む。受託開発に関してもクラウドサービスの新規契約に伴う初期構築売上が固く見込める。2018年3月には、総務省から各都道府県の消防に対して「NET119緊急通報システム」の早期導入についての通知が出ており、普通交付税措置などのバックアップ体制も整ったため、各自治体において導入がさらに加速する可能性がでてきた。また、全国的に自然災害が発生しているなか、同社のクラウド型災害情報システム「DMaCS」の有効性が検証されており、自治体での横展開が進む可能性にも期待が持てる。

4. 次代を担う事業・サービス
災害救助、鉄道保守など様々な分野で同社の地図連動クラウドサービス・システムが浸透し始めている。災害救助分野では、災害救助犬による人の捜索を遠隔モニタリングするWebシステムを東北大学と共同開発した。災害時の被害情報を把握し、情報共有し、避難所・物資管理を目的とした自治体向けのシステム「DMaCS(ディーマックス)」は、この夏の水害・土砂災害において有効活用された事例も伝えられている。鉄道分野では、列車の走行動画や軌道内設備の状況等、鉄道沿線の保守や安全確認に関する情報を電子地図にリンクさせ、管理できる「走行動画閲覧・検索システム」が開発された。

5. 株主還元策
同社は、安定的・継続的な株主還元を方針としている。2018年5月期は、期初の配当予想は年4.5円だったが上方修正され年6円(前期比1円増配)となった。配当性向は16.7%。クラウド事業が軌道に乗った2016年5月期から3年連続の増配である。2019年5月期も、増益予想を背景に普通配当6.5円(同0.5円増配)を予想する。

■Key Points
・クラウド型サービス「NET119緊急通報システム」が成長ドライバー。各自治体への地方交付税の対象となり導入加速に期待
・2018年5月期通期は3年連続の増収増益。過去最高売上ととも高い営業利益率(19.5%)を達成
・災害救助、鉄道保守など様々な分野で同社の地図連動クラウドサービスが浸透中
・2018年5月期は普通配当6円(前期比1円増)、3年連続の増配を達成

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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