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2173 博展

東証G
604円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.4 3.54 2.81 10.81
時価総額 97.7億円
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決算発表予定日

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博展 Research Memo(6):17/3期2Qは減益となるも、すべてのサービスで増収となった


■決算動向

(1) 2017年3月期第2四半期決算の概要

博展<2173>の2017年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比6.7%増の3,977百万円、営業損失が245百万円(前年同期は35百万円の利益)、経常損失が250百万円(同33百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が184百万円(同15百万円の利益)と増収ながら減益となり、営業損失に転落した。また、期初予想に対しても、売上高、利益ともに下回っている。

営業体制面でややもたつきがあった「商環境」以外では、すべてのサービスで増収を確保したものの、総じて意欲的な期初計画に対しては出遅れとなった。特に、主力の「展示会」及び「イベントプロモーション」の伸び悩みによる影響が大きかった。景気動向の不透明感に伴う出展規模の見直し(小型化)や、異業種からの新規参入等による競争激化が新規案件の積み上げにブレーキをかけたようだ。

損益面では、収益性の高い「展示会」の売上構成比率の低下に加えて、外注原価率の高止まりや価格競争の激化(コンペ案件の増加)などにより原価率が76.5%(前年同期は74.9%)に上昇したものの、増収により売上総利益はほぼ横ばいを確保した。ただ、販管費が人材の獲得費用やオフィス環境整備費用(人員拡大に伴う増床等)のほか、AI・コグニティブ投資関連費用、戦略的M&A関連費用(のれん償却費やスプラシアの完全子会社化に伴う費用等)により拡大したことが利益を圧迫した。

もっとも、同社がマーケティング・パートナーへと進化を図るために重視している顧客単価、リピート顧客売上高、指名受注売上高は高い水準を維持しており、成長戦略は着実に進展しているものと評価することができる。

弊社では、上期実績が計画を下回り、営業損失に転落したのは、内部要因(営業体制のもたつきによるスタートダッシュの遅れ)と外部要因(案件規模の見直しや競争の激化等)が重なったことで売上高が伸び悩んだところに、スプラシアの完全子会社化やAI・コグニティブ関連費用等の追加的な先行費用を増やしたことによる複合的な要因であると捉えている。ただ、外部要因(特に、新規参入の増加に伴う競争の激化)による今後の影響を考慮すると、他社との差別化(キラーコンテンツの開発等)を図るための先行費用を積極投入している同社の戦略には合理性があるものと評価しており、今後の具体的な成果に注目していきたい。

(2)過去の業績推移

過去の業績を振り返ると、売上高は2010年3月期にリーマン・ショック等による景気後退の影響を受けて一度落ち込んだが、その後は6期連続で増収基調を続けている。特に、2013年3月期以降は、景況感の回復など外部環境の好転や新規事業の伸長等により業績は順調に拡大してきた。なお、2015年3月期第4四半期からは、アイアクトの子会社化により連結決算に移行している。

損益面についても、2010年3月期に営業損失を計上したものの、売上高の伸びとともにV字回復を実現した。ただ、2014年3月期以降は、今後の売上成長に向けた先行投資的な費用負担が営業利益率の低下を招き、連結決算に移行した2015年3月期についても、外注原価率の上昇や成長基盤整備のための先行費用(人材補強費、M&A関連費用等)の増加等により営業利益率は1.3%にまで低下した。2016年3月期は増収効果により改善したものの、先行費用の高止まりが依然続いている。

財務面では、自己資本比率は40%前後で推移してきたが、連結決算に移行した2015年3月期以降はやや低下傾向にある。また、ROEも同社の収益力の高さを反映して高い水準を確保してきたものの、2014年3月期以降は利益率の低下に伴ってROEも低下してきた。ただ、2016年3月期は利益率とともに改善している。

(3) 2017年3月期の業績予想

2017年3月期の業績予想について同社は、上期実績や足元の状況等を勘案して、売上高予想を据え置く一方、利益予想を減額修正した。修正後の業績予想として、売上高を前期比16.2%増の9,400百万円、営業利益を同29.6%減の120百万円(修正幅:?100百万円)、経常利益を同31.9%減の110百万円(修正幅:?100百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益を同28.3%減の70百万円(修正幅:?55百万円)と増収ながら減益を見込んでいる。

売上高では、すべてのサービスが伸長する見通しである。上期実績では、主力の「展示会」や「イベントプロモーション」のほか、「商環境」や「デジタル・コンテンツ&マーケティング」にも進捗の遅れがみられるものの、営業体制の強化等により下期での巻き返しを図る方針である。

一方、利益予想を減額修正したのは、上期における追加的な先行費用等を反映したことが理由である。

弊社では、上期の売上高に伸び悩みがみられたものの、案件自体は増えていることから営業体制の確立と一層の差別化を図ることにより下期での挽回は可能であると判断している。特に、アイアクトによる「デジタル・コンテンツ&マーケティング」は、下期偏重であることにも注意する必要がある。また、完全子会社化したスプラシアとのシナジー創出(プラットフォーム構想)についても、早期立ち上げにより下期業績に貢献する可能性があり、その動向にも注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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