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2004 昭和産業

東証P
3,455円
前日比
-120
-3.36%
PTS
3,420円
21:37 03/28
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.6 0.93 2.32 0.35
時価総額 1,174億円
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昭和産業 Research Memo(6):穀物原料相場の上昇に伴う価格改定の徹底による効果


■今後の見通し

1. 2022年3月期の業績予想
昭和産業<2004>の2022年3月期の業績については、売上高280,000百万円、営業利益7,900百万円、経常利益9,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,000百万円を見込んでいる。なお、同社は2022年3月期から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、前期比は記載していない。これによる売上高減少の影響は、約200億円弱となるもようだ。ただし穀物原料相場の上昇に伴う価格改定の徹底による効果のほか、2021年3月期に子会社化したボーソー油脂、サンエイ糖化が通年で業績に寄与することなどにより、増収を見込んでいる。経常利益については、原材料価格の上昇の影響により減益となる見込み。親会社株主に帰属する当期純利益については、2021年3月期のボーソー油脂の子会社化に伴う負ののれんの特別利益(34億円)の反動により数字としては減益となるが、通常の利益水準に戻る見込みである。

2. セグメント別業績予想
2022年3月期のセグメント別業績予想については、売上高では製粉事業785億円(前期743億円)、油脂食品事業994億円(同885億円)、糖質事業470億円(同366億円)、飼料事業500億円(同516億円)、その他50億円(同49億円)を計画している。

(1) 製粉事業
製粉事業は、売上高785億円(前期743億円)、営業利益32億円(同17億円)と増収増益を見込んでいる。コロナ禍の影響としては、外食、菓子、土産品、コンビニエンスストア向け等で消費される製品群は引き続き厳しい状況を見込んでいるが、家庭内調理、テイクアウト、デリバリーなど新たな需要は拡大している。新たな需要に対しては、同社が得意とするマーケット分析力を生かすことにより顧客の新たな価値創造をサポートする「提案型営業」の強化による拡販を行う。また厳しい状況となったコンビニ向けの焼成パン事業については、収益構造改革を図ることにより通期の黒字化を目指す計画である。具体的には、アイテム数の削減、焼成ロスの改革などにより生産性の向上を図る。そのほか、子会社のタワーベーカリー(株)に新たな開発センターを設け、商品開発力強化に向けた組織再編を進めている。売り場改革に向けた力のある商品を導入することで、利益改善を図る狙いだ。さらに、2021年10月よりグループ会社である(株)内外製粉との販売統合を予定している。内外製粉の販売部門を統合し製造受託工場に特化させることにより、グループとしての効率的な製造拠点を確保していく。同社においては拡販に取り組む体制が整うことから、利益率改善に繋がっていくと弊社では考えている。

(2) 油脂食品事業
油脂食品事業は、売上高994億円(前期885億円)、営業利益21億円(同31億円)と増収減益を見込んでいる。2020年9月にボーソー油脂グループが子会社に加わったことで、2022年3月期は通期で業績に寄与する。ボーソー油脂が加わったことから米油類の販売数量が増加し、売上高は油脂食品事業全体で約100億円程度の増収となる見込み。コロナ禍の影響としては、業務用において外食、宿泊施設、イベント向け等の油脂、プレミックス製品の販売減少が見込まれる。そのほか、原料穀物価格の高騰が続いており、大幅な原価アップとなり厳しい状況にある。業務用の落ち込む市場への措置・施策として、提案型営業の強化や部門間シナジーの発揮、油脂製品の価格改定、ボーソー油脂子会社化によるコストシナジーの追求及び販売管理を徹底していく方針だ。一方、家庭用では内食需要の高まりにより、家庭用製品(食用油、プレミックス、パスタ等)は引き続き堅調であり、プレミックス、プレミアムオイル、パスタを中心に販促を実施し、販売数量の増加を目指していく。

なお、原料穀物価格の高騰による厳しい収益環境に対しては、業務用・家庭用ともに価格改定を2021年3月1日納品分から実施しているほか、2021年6月1日納品分から油脂製品の価格改定を実施している。さらに価格改定の第3弾として大豆、菜種、パーム油の油脂コストの急騰により2021年8月2日納品分より実施する予定である。穀物相場は過去にない上昇を続けており、同社は物流面や資材コスト、製造拠点等の検討を進めているが、当面は穀物相場を睨みながらの状態が続くことを余儀なくされるだろう。また、値上げについては地道に顧客説明を行い受け入れてもらうことになるだろうが、足元では順調に受け入れられている状況のようである。

(3) 糖質事業
糖質事業は、売上高470億円(前期366億円)、営業利益14億円(同16億円)と増収減益を見込んでいる。2020年12月にサンエイ糖化が子会社に加わったことで、2022年3月期は通期で業績に寄与する。サンエイ糖化が加わったことにより糖化品の販売数量が増加することから、売上高は糖質事業全体で約100億円程度の増収となる見込み。営業利益については、原料穀物価格高騰の影響により、減益を予想している。2022年3月期の施策としては、営業・研究・開発が一体となったBtoBマーケティング機能の強化に取り組むほか、他事業間連携によるシナジー提案を強化することで、粉末水あめ等の独自商品群の拡販や提案型営業を推進していく。またサンエイ糖化と販売チャネルや原料調達、技術、研究開発、マーケティング機能等を融合し、様々な分野でのオープンイノベーションを推進していくことで新たな価値の創出に繋げる計画である。さらに、敷島スターチも含め3工場体制となったことから安定供給体制を一層強固なものとし、生産性及び顧客への価値提供の向上を目指す。

(4) 飼料事業
飼料事業は、売上高500億円(前期516億円)、営業利益9億円(同10億円)と減収減益を見込んでいる。配合飼料の販売はコロナ禍による影響をほとんど受けておらず、畜産物は引き続き家庭用の需要が伸びる見込みである。一方、外食向けなど業務用の需要は落ち込んでいる状況が続くと見ている。鶏卵については、家庭用のパック卵の販売構成比率が高いことから、販売は引き続き好調に推移すると見込んでいる。2022年3月期の施策としては、複数原料を取り扱う優位性を生かした配合飼料の拡販と収益確保を図るほか、高付加価値商品である人工乳やオリゴ糖飼料のアプローチによる新規顧客獲得を目指す。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《EY》

 提供:フィスコ

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