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1961 三機工業

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PTS
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18:46 03/28
業績
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時価総額 1,190億円
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三機工業 Research Memo(4):2020年3月期は減収も営業利益は増加。次期繰越高も高水準を維持(1)


■業績動向

1. 2020年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業<1961>の2020年3月期の業績は、受注高194,018百万円(前期比10.6%減)、売上高207,684百万円(同2.2%減)、売上総利益32,110百万円(同1.3%増)、営業利益10,674百万円(同0.3%増)、経常利益11,224百万円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,576百万円(同16.2%減)となった。次期繰越高は136,163百万円(前期末比8.9%減)と前期末比では減少となったが高水準を維持した。

事業環境が良かったことに加え、継続的な原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などの利益改善施策の効果により、売上総利益率は前期比0.6ポイントアップの15.5%となり、売上総利益は32,110百万円(前期比1.3%増)となった。後述する中期経営計画“Century 2025”Phase2初年度(2020年3月期)の当初目標は売上総利益率15.0%であったが、この目標を大きく達成した点は評価に値するだろう。

一方で販管費は、STeP<Sanki Techno Park>計画完了に伴う減価償却費増などにより21,436百万円(前期比1.9%増、同389百万円増)となった。減収となったことから、対売上高比率は前期の9.9%から10.3%へ上昇したが、売上総利益の増加により、営業利益は前期比で増益を維持した。

受注高については、建築設備の受注高は前期比では減少となったが絶対的な水準は依然として高い。プラント設備の受注高は、機械システム事業は前期比で減少となったが、環境システム事業は大型案件を受注したことなどもあり前期比11.7%増となった。その結果、受注高合計は同10.6%減の194,018百万円となったが、水準としては高いと言える。また、次期繰越高は前年同期末比8.9%減の136,163百万円となり、依然として手持ち工事高は豊富であると言える。

(2) セグメント別損益状況

建築設備事業の売上高は171,501百万円(前期比4.3%減)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は前期比1.1%減の70,756百万円となった。産業空調は67,736百万円(同7.8%減)と前期比では減収となったが、前期に大型案件が計上されたことによる影響が大きく、前々期(2018年3月期、46,556百万円)に比べれば依然として水準は高い。電気は同5.7%減の21,889百万円となり前期比では減収だが、絶対水準としては20,000百万円超を維持しており好調と言える。ファシリティシステムは同0.8%増の11,119百万円となった。

プラント設備合計の売上高は前期比6.7%増の34,431百万円となった。機械システム事業は11,169百万円(前期比5.3%減)であったが、環境システム事業は以前に受注した大型DBO※案件が進行したことなどから23,261百万円(同13.6%増)となった。これら設備事業以外では、旧大和事業所跡地の一部を日本生命保険(相)へ賃貸開始したことなどから、不動産事業の売上高が同14.7%増の2,210百万円、その他が同29.7%増の931百万円となった。

※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。


またセグメント別の利益については、2020年3月期から売上総利益及び経常利益で開示されている。当レポートでは、売上総利益の数値を用いることとする。建築設備事業が25,781百万円(前期比0.7%増)となったが、内訳としては、ビル空調衛生・産業空調・電気が23,610百万円(同0.4%減)、ファシリティシステムが2,170百万円(同15.6%増)であった。プラント設備では、機械システム事業が2,316百万円(同8.4%増)、環境システム事業が3,314百万円(同8.5%減)となった。また不動産事業及びその他の売上総利益は、各々673百万円(同18.8%増)、200百万円(同12.4%増)となった。

(3) セグメント別受注状況

建築設備事業全体の受注高は157,659百万円(前期比13.6%減)となり、前期比では減少であったがこれは前期の水準が突出していたためであり、前々期(2018年3月期)の受注高153,443百万円と比べれば依然として高水準であると言える。サブセグメント別では、ビル空調衛生は62,095百万円(同5.4%減)、産業空調は58,391百万円(同29.4%減)となった。産業空調は、2019年3月期に半導体関連の大型物件を獲得したことから前期比ではマイナス幅が大きくなっているが、ほぼ2018年3月期(58,907百万円)並みであり水準としては高いと言える。電気は25,000百万円(同7.1%増)、ファシリティシステムは12,171百万円(同12.5%増)と堅調であった。

プラント設備事業では、機械システム事業の受注高は10,351百万円(前期比14.1%減)となったが、2019年3月期及び2018年3月期の受注が大型案件により高水準であったことを考慮すれば、比較的好調な結果だったと言える。一方で環境システム事業の受注高は2つの大型受注を獲得したことなどもあり、24,247百万円(同11.7%増)と好調を維持した。この結果、プラント設備事業の受注高は34,599百万円(同2.5%増)となり、建築設備事業と合わせた設備事業全体の受注高は192,258百万円(同11.1%減)となった。

また設備工事以外の受注高は、不動産2,210百万円(前期比14.7%増)、その他917百万円(同4.4%減)となり、調整額を含めた2020年3月期の総受注高は194,018百万円(同10.6%減)となった。この結果、2020年3月期末の次期繰越高は136,163百万円(前期末比8.9%減)となった。

大型案件(10億円以上)の受注は、計13件、31,945百万円であった。前期に比べて受注件数、金額ともに減少しているが1件当たり金額は2,457百万円と前期(2,396百万円)を上回っている。特に環境システム事業において、廃棄物処理場、上・下水処理場と異なるタイプの大型案件を受注したことは今後の業績にとって好材料と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《EY》

 提供:フィスコ

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