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1961 三機工業

東証P
2,133円
前日比
-42
-1.93%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.1 1.20 3.28 19.15
時価総額 1,209億円
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決算発表予定日

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三機工業 Research Memo(4):原価管理の徹底などによりすべての利益で増益


■業績動向

(1) 2016年3月期第2四半期の業績概要

●損益状況
三機工業<1961>の2016年3月期第2四半期の業績は、受注高99,206百万円(前年同期比22.1%増)、売上高75,480百万円(同0.0%減)、売上総利益8,103百万円(同64.5%増)、営業利益176百万円(前年同期は2,705百万円の損失)、経常利益524百万円(同2,325百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益255百万円(同1,327百万円の損失)となった。受注工事高は99,206百万円(同22.1増)、繰越工事高は125,745百万円(同10.3%増)であった。

この結果は、売上高こそ期初予想(76,000百万円)の水準であったが、各利益は期初予想(営業損失1,900百万円、経常損失1,700百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,200百万円)を大きく上回った。経常利益は前年同期比で2,850百万円改善しているが、主たる増減要因は、利益率の改善+1,971百万円、工事損失引当金繰入額の減少+1,206百万円、経費の増加▲295百万円、営業外収益の減少▲32百万円であった。

売上総利益率は10.7%(前年同期は6.5%)へ大きく改善したが、同社は売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。

・原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これにより工事損失引当金が減少し、結果として利益率が向上した。

・受注環境の改善:業界環境の好転により受注環境が改善し、低採算受注等が減った。

・現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、サイト業務支援センターによる現場業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が出始めた。

・協力会社との関係強化:これも以前から進めていた施策だが、全国協力会連絡会の実施や三機スーパーマイスター制度の制定により、各地の協力会社との関係を強化すると同時に施工品質の向上や技術の伝承を推進している。

その一方で販管費は実額で295百万円増加し対売上高比率は前年同期の10.1%から10.5%へ上昇したが、予想の範囲内であった。その結果、売上総利益が大幅増となったことから、営業損益は176百万円の黒字を計上した。営業損益が黒字であったことから、経常損益、親会社株主に帰属する四半期純損益も黒字となった。

四半期ごとの工事損失引当金の推移を見ると、この上半期(2016年3月期第2四半期)に引当金を計上した案件は2件だけであり、結果は繰戻し(益)となったため、利益率改善に大きく寄与した。

建築設備事業の売上高は65,381百万円(前年同期比1.0%増)となり、中でも電気とファシリティシステムが好調であった。機械システム事業の売上高は3,307百万円(同32.0%減)と前年同期比で大幅減収となったが、前年度受注高の減少によるもので、想定の範囲内であった。環境システム事業の売上高は6,134百万円(同13.6%増)と比較的好調であり、子会社の受注が好調であったことが主要因。その他の事業部門は金額は小さいが、おおむね計画どおりの結果であった。

またセグメント別の経常利益は、建築設備事業の経常利益が866百万円となり、前年同期の経常損失2,011百万円から2,878百万円改善した。経常利益全体の改善が2,850百万円であったので、改善の大部分は建築設備事業が寄与したと言える。

建築設備事業全体の受注高は78,642百万円(同12.4%増)であったが、全事業で受注増となった。特に同社が得意とする産業空調が25,294百万円(同15.3%増)、ファシリティシステムが6,623百万円(同37.9%増)と好調であったが、これは電機・自動車などの製造業で円安を背景に国内での設備投資の動きが出始めたことが起因している。またプラント設備では、機械システムが6,981百万円(同141.7%増)、環境システムが13,133百万円(同64.8%増)とそれぞれ大幅な受注増となったが、これは大型案件の受注を獲得したことによる。

大型案件(10億円以上)の受注は全体的に好調で、9件、16,683百万円(前年同期は4件、5,430百万円)であった。受注先の業種別も下記のとおり多岐にわたっている。

このような状況から、全受注高は99,206百万円(同22.1%増)となり、期末の次期繰越工事高は125,745百万円(同10.3%増)となった。

●財務状況
2016年3月期第2四半期の財務状況は、流動資産は93,720百万円(前期末比22,503百万円減)となったが、主に現預金の減少4,389百万円、売掛債権の減少21,443百万円などによる。固定資産は56,405百万円(同3,752百万円減)となったが、主に評価損の計上による投資有価証券の減少3,480百万円による。その結果、期末の総資産は150,126百万円(同26,256百万円減)となった。

流動負債は54,146百万円(同17,960百万円減)となったが、主に買掛債務の減少16,697百万円、未成工事受入金の増加373百万円などによる。この結果、負債は67,988百万円(同23,524百万円減)となった。また、その他有価証券差額金の減少等により純資産は82,137百万円(同2,731百万円減)となった。

●キャッシュフローの状況
2016年3月期第2四半期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローは1,330百万円の支出であったが、主に退職給付信託資産への追加拠出による支出4,244百万円による。投資活動によるキャッシュフローは5,599百万円の収入であったが、主に定期預金の払戻による収入5,600百万円による。財務活動によるキャッシュフローは1,010百万円の支出となったが、主な支出は配当金の支払い968百万円による。

この結果、2016年3月期第2四半期の現金及び現金同等物は3,209百万円の増加となり、期末残高は26,877百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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