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2016年07月26日16時01分

サンコーテクノ Research Memo(4):ファスニング事業に工事部門を取り込みエンジニアリング本部編成


■オリンピック後を見据えた成長への取り組み

(3) 2016年3月期の実績

サンコーテクノ<3435>が2016年3月期において行った組織体制の変更は、形式的なものではなく、実質を伴ったものと評価できるものであった。具体的には、ファスニング事業に工事部門を取り込んだことを機に、それまでの開発・営業・工事の各部門の担当者を集めて約40人体制の「エンジニアリング本部」を編成した。

エンジニアリング本部の目的は前出の「市場創出」だ。“市場”とは新製品と新用途と両方のケースがある。重要なことは、顧客ニーズを待ち受けるのではなく、こちらから探りに行く、あるいは創出する、というプロアクティブな姿勢だ。エンジニアリング本部の担当者は「営業」ではなく「コンサルタント」の肩書で、直接現場に出向き、現場のニーズを把握することが、具体的な仕事になった。従来の「営業」の時代は、商流に沿って取扱問屋を回る流通営業であったことと比較すると大きな変化と言える。

エンジニアリング本部内の開発担当者を中心としたチームは、ゼネコンなどの元請けや設計コンサルタント事務所などを回っている。これは、同社の製品や技術の採用や、新技術の共同開発などを働きかける提案型営業だ。どこにどんな技術を採用するかの意思決定権者をターゲットとしている。

さらにまた、エンジニアリング本部と技術開発部門との連携チームが、業界団体や公的機関への働きかけを強めている。製品や工法に関する新技術の採用や普及について、業界動向に大きな影響力をもつ大元の存在もターゲットとしている。

エンジニアリング本部における上記のような新たなタイプの“営業活動”は、中長期的な同社の成長に、非常に大きな影響・効果をもたらすと弊社では考えている。特に、前述した2つの成長シナリオのうち、土木市場の攻略のためには、今同社が行っている取り組みが必要不可欠だと思われる。建築に比べて土木工事ではノウハウや経験則による部分が多く、需要家側が材料を探し出して買いに来てくれるという市場ではない。また、従来型の問屋営業は間接的なアプローチに過ぎず、市場参入の扉を開くのが難しい状況だった。エンジニアリング本部が今行っていることは、元請けたるゼネコンや業界団体への直接的アプローチであり、従来の営業スタイルと比較して、新工法・新製品の実現可能性は大きいと弊社では期待している。

(4)成果の具体例

同社は2016年3月期を“土台固め”期間と位置付け、組織体制変更とエンジニアリング本部としての活動方法の習熟に主としてフォーカスしてきた。同社が「市場創出」に向けて提案営業を行っている商材(新製品、新製法)は、市場・用途や、製品・技術のタイプによって、1、2年で結果が出るものから4、5年程度時間を要するものまで様々だ。2017年度から徐々に成果が表れてくると期待されるが、既に成果が出ているものもある。以下にいくつか紹介する。

a)『樹脂接着系アンカーボルトの更新工法』
同社は大林組と共同で、インフラ構造物(例えばトンネルの内壁面)に設置された古いアンカーボルトを引き抜いたうえで、その穴を再利用して新アンカーボルトを埋め込んで、リニューアル工事や耐震工事を行う工法を開発した。

技術的ポイントは、古い接着系アンカーボルトの中心部に穴をあけ、そこに加熱棒を挿入して加熱し、接着剤を無効化したうえで引き抜く点だ。引き抜いた後の穴を活用して耐熱性が高くて強度のある金属系アンカーを埋め込み、再び設備機器を取り付けることができる。この工法のメリットとしては、設備の設置位置を変更する必要がない、古い挿入孔を再利用できるので、構造体へのダメージを最小化できるなどが挙げられる。

現在までに採用実績が積み上がってきており、大規模施設のリニューアル工事にも採用が決定しているもようだ。こうした採用実績の積み重ねが数年後にはさらにまとまった収益規模に成長していくと期待される。

b)『ディスクシアキーを用いた間接接合工法』
ディスクシアキーは耐震補強工事に用いられる接合要素で、一般的なあと施工アンカーに代わって用いられるものだ。芯棒の中ほどにあるディスクの縁が曲げてあって、このふちがコンクリート壁面に食い込むように取り付けられることで、耐震補強部材へのせん断抵抗機構として働くというものだ。

当工法は2011年に飛島建設<1805>、大本組<1793>と共同開発した。2017年3月期には本格的に収益貢献が見込まれており、今期は約100百万円程度の売上高を見込んでいるものと弊社では推測している。

(5)ディー・アーススクリューとマルチスクリュー

同社は過去数年、太陽光パネル設置用架台の取り付け部材である、ディー・アーススクリューの拡販で実績を積み上げてきた。その後、太陽光関連需要にピークアウト感が出るなかで同社は、ディー・アーススクリューの多用途展開をにらみ、マルチスクリューを開発、製品化した。ディー・アーススクリューのサイズが長さ1,000~2,100mm、本体直径76mmとかなり大型となっているのに対して、マルチスクリューは長さ600~1,200mm、本体直径48mm/89mmとなっている。

具体的な新市場としては、立入防止柵の設置や農業用ビニールハウス、遊具、4号建物等への利用拡大を期待している。

上記の例はいずれも既出の技術・製品であり、過去のレポートでも取り上げたものだ。共同開発者や顧客に関して支障のないものという制約があるためだが、エンジニアリング本部は用途拡大という面で実体的な成果を挙げているということを伝えるために、改めて紹介した。同社によれば、まったくの新製品、新技術の開発・売込みや、過去に開発された技術の採用に向けた働きかけなど、水面下では複数のプロジェクトが着実に進行しつつあるということだ。将来的にそれらの詳細がどこまで公にされるかは不明だが、最終的には業績に反映されてくるため、期待をもって同製品の業績の推移をウォッチしたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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