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1717 明豊ファシリ

東証S
859円
前日比
-11
-1.26%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.4 2.04 4.13
時価総額 110億円
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決算発表予定日

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明豊ファシリ Research Memo(5):CM事業、CREM事業は過去最高益を更新


■業績動向

2. 事業セグメント別の動向
明豊ファシリティワークス<1717>は各社員が複数の事業案件にマルチで対応できる柔軟な体制を構築しており、各事業における顧客ニーズの多寡に応じたプロジェクトへのアサインを調整している。発注者支援事業の普及により、多様な専門性が求められる案件がほぼ毎期発生しており、全社横断型でマルチに対応し、その習熟の結果として生産性を早期にアップすることを繰り返していることが、同社の強みでもある。

(1) オフィス事業
オフィス事業の売上高は前期比25.9%減の1,144百万円、営業利益は同37.0%減の211百万円となった。売上高はここ数年減少傾向が続いているが、これはピュアCM方式を選択する企業が増えたことが主因となっている。利益面では前期に付加価値の高い大規模移転プロジェクトの売上計上があった反動で減益となったものの、2018年3月期の水準と比較すると上回っており、実質的には堅調に推移したと言える。

大企業グループのオフィス統廃合や地方拠点の集約化に伴うオフィス移転、大規模新築ビルの竣工同時入居プロジェクトなど難易度の高い案件にターゲットを絞って受注活動を進めている。また、自社開発システムである「ホワイトカラーの生産性定量化システム」を用いたアクティビティの可視化と、蓄積されたデータの有効活用について、17年の運用実績を持つ同社に対して、「働き方改革」に関する構想策定から定着化までの支援依頼が多く寄せられており、これら分野での引き合いが増加している。

(2) CM事業
CM事業の売上高は前期比27.1%減の2,228百万円、営業利益は同82.9%増の437百万円と減収ながらも大幅増益となった。売上高については、既述のとおりアットリスクCM方式で売上計上してきた大阪府立大学の学舎整備プロジェクトが2019年3月期で終了した影響で減収となったが、同要因を除けば同14.8%増収と好調に推移した。地方自治体の庁舎建替えや学校の校舎改築、空調設備の導入・更新プロジェクト等の受注が増加したこと、民間企業向けではグローバル企業の大型研究施設や教育施設等の新築・改修プロジェクト、並びに駅舎や大規模商業施設での電気・空調等設備更新プロジェクト等の引き合いが既存顧客のみならず新規顧客からも増加したことが好調要因となっている。利益面では、実質的な業務量の増加に加えて、従業員1人当たりの生産性が向上したことも増益要因となっている。

新規受注では、既述のとおりJR東日本の品川開発プロジェクトに加えて、2019年9月に東京大学から「2019年度施設整備事業における設計・工事段階コンストラクション・マネジメント業務」を受注したことも注目される。大学向けでは大阪府立大学向けで長く実績を積み上げてきたが、東京大学でも採用されたことで、今後各地域の大学でもCMの導入が活発化すると見られるためだ。東京大学についても、今回は神岡宇宙素粒子国際共同研究拠点(岐阜県)と東京・本郷にある総合研究棟の改修(工学系及び農学系)の3案件が対象だが、東京大学が保有する施設は多く、今後の継続的な受注獲得につながるものと期待される。

なお、第三者機関からの評価として、国際コンストラクションプロジェクトマネジメント協会主催の年次総会において、同社がCM業務を行った「レゴランドジャパン(愛知県名古屋市)新築プロジェクト」が、最優秀賞である「2019年度 Alliance Full Award」を受賞し、同社のPM(プロジェクト・マネジメント)力が世界最高水準であるとの評価を受けたほか、(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会が主催する「CM選奨2020」において、「市原市立小中学校空調設備導入」「資生堂<4911>グローバルイノベーションセンター」「ANA<9202>総合トレーニングセンター」「平塚信用金庫店舗競争力強化」の4件で「CM選奨」を受賞するなど、引き続き高い評価を受けている。

(3) CREM事業
CREM事業の売上高は前期比1.5%減の980百万円、営業利益は同27.0%増の254百万円となった。一部顧客において長期プロジェクトの端境期に当たり、業務量が一時的に減少したことで売上高が若干減少したものの、生産性が向上したことが増益要因となった。同社の透明なCM手法とデジタル技術を活用した顧客資産情報のデータベース化による、多拠点同時進行プロジェクトの一元管理と、プロジェクトの進捗状況を効率的に管理する同社サービスのメリットが顧客から引き続き高く評価されており、複数の商業施設、支店等を保有する大企業、金融機関から継続的に受注している。

また、公共分野においても、2017年に東京都墨田区から受注した「公共施設(建物)長期修繕計画に基づく工事条件整理等業務」、2018年に東京都練馬区から受注した「公共施設長寿命化基準作成支援業務」に続いて、2020年3月期は新たに神奈川県三浦郡葉山町から「みんなの公共施設未来プロジェクト(劣化診断調査等)支援業務委託」を受注するなど、実績が積み上がってきている。いずれも公共施設の老朽化対策に関する案件で、長寿命化のためのグランドデザインを描き、施設ごとに個別に計画を立て予算化する業務を支援していくプロジェクトで、複数年にわたり売上に貢献することになる。地方自治体に関しては、2020年度までに公共施設の老朽化対策に関する計画を策定し、国交省に報告することになっているが、老朽化した施設は設計図面がなくなっているケースもあり、劣化診断と併せて長寿命化のための計画策定やコストの適正化を図るためのプロジェクト支援業務の需要が今後も拡大していくものと見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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