貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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1605 INPEX

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揺れるマーケット、“北朝鮮+シリア”地政学リスク二重奏の行方 <株探トップ特集>


―米軍、シリア攻撃で日経平均は乱高下、原油・ゴールドに上昇観測―

 世界の金融市場が相次ぐ地政学リスクに揺れている。北朝鮮問題の不透明感が強まるなか、7日には米軍がシリアに対しミサイル攻撃を行った。これを受け一時、日経平均株価はマイナス圏に沈み、為替は急激な円高が進む場面があった。結局、売り一巡後、日経平均株価は前日比67円57銭高の1万8664円63銭で引けたものの、依然、市場には強弱感が対立する。中東情勢が混乱すれば原油価格の上昇懸念も膨らむ。北朝鮮問題にシリア情勢が加わった「地政学リスクの二重奏」の行方を探った。

●米軍のシリアへのミサイル攻撃で中東情勢混乱を懸念

 7日の東京株式市場は乱高下。午前10時過ぎに「米軍がシリアの空軍基地にミサイル攻撃した」との報道が流れると、それまで上昇していた日経平均は一時、マイナス圏に転じた。為替相場も一時、110円10銭台へ急激な円高が進んだ。北朝鮮情勢への警戒で神経質なトレードが続いていた金融市場に、新たにシリア問題が追い打ちをかけた格好だ。中東情勢の混乱も懸念され市場は再度、リスクオフに傾いた。ただ、売り一巡後は値を戻し、日経平均は前日比プラスで引けた。

 シリア問題は中東情勢の緊迫懸念につながり、原油相場は時間外取引で一時、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近5月物が1バレル=52ドル半ばに上昇。金先物価格も一時、1トロイオンス=1250ドル台へ急伸した。

●原油1バレル56ドル、金1トロイオンス1270ドル前後に上昇も

 急浮上したシリア問題に対して、原油・金市場にとっては強気材料との観測が出ている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「原油価格は、米軍のシリア攻撃でレンジがやや切り上がった可能性がある」と指摘。WTI価格の上値メドを、当面は1バレル=56ドル程度とみている。「シリアのアサド政権は粘り強くすぐには崩壊しない。米軍の攻撃は長引く可能性があるだろう」と同氏はいう。原油市場は需給調整の遅れも懸念されていたが、シリア情勢が弱気材料を打ち消し当面強含み基調となるとの見方だ。

 また、有事に強い金の価格も「当面、1トロイオンス1270ドル前後へ上昇する可能性も」と同氏は指摘する。北朝鮮問題にも絡み地政学リスクが高まるなか、リスクオフで資金の流入が期待される原油・金市場は当面、強含み相場となることも予想される。

●「北朝鮮・シリア問題の連動性」指摘の声

 一方、急浮上する地政学リスクに対して、市場には今回の米軍のシリア攻撃が北朝鮮リスクにはプラスに働くという見方もある。いちよしアセットマネジメントの秋野充成・執行役員は「シリアを攻撃したことで米国が北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛けるリスクは減っただろう」と指摘する。米国はシリアと北朝鮮の2方面作戦を取る余裕はない、との見方だ。また、シリアのアサド政権を支援するロシアとの関係も考慮し「米国はシリアにミサイル攻撃は行っても地上軍まで派遣することはないのではないか」と予想する。

 北朝鮮リスクやシリア懸念も徐々に後退することが見込めるだけに、「過度にリスクを織り込んだマーケットは戻りに転じる。日経平均は1万9000円回復まで、さほど時間はかからないだろう」と秋野氏は指摘する。この日、日経平均は前場の急落後、後場に切り返したが「シリアへの攻撃を市場はある程度、織り込んでいたようだ」(アナリスト)との見方もある。

 前出の芥田氏も「米軍はシリアの軍事基地を攻撃した後は、しばらく状況を確かめる可能性もある。北朝鮮に対する先制攻撃も当面は様子をみるかもしれない」という。こうしたなか、米中首脳会談の行方次第の面もあるが、当面の市場は不安心理が後退するとの期待も出ている。

●内需系主力株は強含み、当面はリスクオン・オフ両にらみも

 とはいえ、市場には今回の地政学リスクは「そう簡単には収まらない」との見方も少なくない。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「米軍のミサイル攻撃は北朝鮮に対する威嚇の面もあったのではないか」と分析。きょうは米雇用統計が発表されるが、内容が良くても悪くても短期売買にとどまり来週にかけて様子を見る可能性もでており、「フランス大統領選も視野に当面リスクオフ姿勢は続く」と予想する。

 芥田氏も「トランプ政権はシリア攻撃をためらいなく決行したようにみえる。北朝鮮もシリアと同様に攻撃するのではないかという不安を市場に与えた」ことを懸念する。また「米軍は北朝鮮とシリアの2方面作戦に打って出てこないとは限らない」といい、リスクオフは当面の一服はあっても中期的には継続するとみている。

 この日の東京株式市場では、国際石油開発帝石 <1605> や石油資源開発 <1662> など原油関連株とともに、ニトリホールディングス <9843> や花王 <4452> 、三井不動産 <8801> のような内需主力株が買われた。当面、株式市場もリスクオンとリスクオフの両にらみの相場が続く可能性がある。

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