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1419 タマホーム

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タマホーム Research Memo(3):2018年5月期は2期連続の増収増益を達成、利益は会社計画を上回って着地


■業績動向

1. 2018年5月期の業績概要
タマホーム<1419>の2018年5月期の連結業績は、売上高で前期比7.0%増の167,915百万円、営業利益で同19.3%増の4,653百万円、経常利益で同15.9%増の4,029百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同127.1%増の2,047百万円と2期連続の増収増益決算となり、利益ベースではすべて会社計画を上回って着地した。

売上高は主力の注文住宅事業において、地域限定商品や低価格帯商品等の販売が好調に推移し、販売棟数で前期比8.8%増の7,913棟、売上高で同7.1%増の135,410百万円となったほか、リフォーム事業や不動産事業、金融事業などもそれぞれ増収に寄与した。売上原価率が前期比1.0ポイント上昇の75.5%となったが、これは注文住宅事業における販売構成比の変化が主因となっている。一方、販管費率は増収効果のほか連結子会社の不採算事業縮小効果もあって前期比1.2ポイント低下の21.8%となり、結果、売上高営業利益率は同0.3ポイント上昇の2.8%となった。

セグメント別の増益寄与度を見ると、その他事業が全体の5割強を占めた。不採算事業の縮小や住宅周辺事業の増益で損失額が大幅に縮小したことによる。また、不動産事業や金融事業も2ケタ増益と好調に推移し、注文住宅事業やエネルギー事業については微増益にとどまった。

営業外収支は為替差損益の変動等により若干悪化し、また、特別損失として事業撤退損失802百万円を計上している。中国の飲食店事業、カンボジアのホテル事業、ハワイの不動産開発事業など海外の不採算事業からの撤退による損失となっている。

なお、会社当初計画比で見ると売上高は1.3%未達となったが、これは不動産事業とその他事業が計画に届かなかったことが主因となっている。一方、営業利益については計画を16.3%上回った。売上の未達により不動産事業やその他事業については計画を下回ったものの、減益で見込んでいた注文住宅事業が僅かながらも増益となったほか、金融事業も計画を上回る増益となったことが寄与した。

2. 事業セグメント別動向
(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前期比7.5%増の141,847百万円、営業利益は同0.3%増の2,444百万円となった。売上高の内訳を見ると、注文住宅事業が前期比7.1%増の135,410百万円、リフォーム事業が同16.8%増の5,312百万円、その他が同20.0%増の1,385百万円といずれも増収となった。

主力の注文住宅事業は、各店舗において集客向上のためのイベントを随時開催し来場者数の増加に取り組んだことや、戦略商品として展開している「地域限定商品」が顧客支持を集めたことで、受注棟数が前期比5.7%増の9,386棟と3期連続で増加した。また、販売棟数も豊富な受注残を背景に同8.8%増の7,913棟とほぼ計画通りの増加となった。平均販売単価は「地域限定商品」や低価格帯商品である「シフクノいえ」が伸張したことにより前期比1.5%減の1,711万円と若干低下したものの、数量増効果によって売上高も2期連続増収となった。

受注棟数の内訳を見ると、「地域限定商品」は販売地域を拡大したことにより、前期比で3.4倍増の6,317棟と急増、また、「シフクノいえ」も同22.5%増の1,100棟と好調に推移した。「地域限定商品」は2016年7月に九州エリアで販売を開始したのを皮切りに、同年11月に中国・東北・関西エリア、2017年2月に首都圏・北陸エリア、同年6月に東海エリアで順次展開し、2018年5月末時点では37都道府県で販売を行っている。受注棟数全体に占める「地域限定商品」の比率は前期の21%から67%まで上昇している。同社はすべての都道府県で注文住宅のトップシェアを目指す戦略を掲げており、直近では4県でトップシェアを確保したものと見られ、着実にシェアを拡大している。地域ごとの特性、顧客ニーズを分析し、競合商品と機能・品質面で同等水準を維持し、価格面で優位性を持たせた商品を提供していることが受注好調の要因となっている。売上総利益率で見れば、「地域限定商品」は既存商品よりも2~3%低く設定しているため、同事業セグメントの利益率低下要因となっているが、当面は各地域でのシェア拡大を目的に「地域限定商品」の販売を推進していく戦略となっている。

リフォーム事業は、同社が販売してきた住宅のうち入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長工事等の受注活動を積極的に展開したことが増収要因となった。受注単価は平均で150~200万円となるため、リフォーム件数としては3,000棟前後になったと見られる。同社が販売した築10年以上の住宅は累計で2.7万棟を超え、2018年5月期は1年間で9,558棟が新たに10年目を迎えたことになる。一般的に戸建住宅のリフォーム時期としては10年目が目安となっていることを考えると、潜在的な売上成長余地は依然大きいと言える。また、リフォーム事業の収益性は案件によってばらつきがあるものの、事業全体で見れば注文住宅事業よりも高い収益性を維持していると見られる。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比2.0%増の18,019百万円、営業利益は同20.6%増の1,383百万円となった。事業別の売上動向(グループ間取引を含む)を見ると、戸建分譲は販売棟数が前期比14.7%増の397棟、売上高が同15.4%増の12,596百万円と好調に推移した。また、その他の売上高についてもマンション開発用地を売却したこと等により同552.2%増の1,924百万円と大幅増収となった。一方、分譲マンションについては開発プロジェクトが一巡したことにより同54.5%減の1,472百万円となり、サブリース事業も同35.0%減の2,180百万円と2ケタ減収となった。サブリース事業の減収については2017年5月期にオフィスビル売却が含まれていた反動減と見られる。

営業利益については、戸建分譲が好調に推移したことや販売構成比の変化に加えて、不動産仲介事業におけるコスト削減を進めたことも増益要因となっている。前期は新宿に不動産仲介の店舗を1店舗出店していたが、収益力強化のため本社に機能を集約化した。

(3) 金融事業
金融事業の売上高は前期比9.8%増の1,163百万円、営業利益は同33.2%増の516百万円と2期ぶりに増収増益に転じた。注文住宅の販売棟数増加に伴い、住宅火災保険の契約件数が増加したほか、フラット35の提携金融機関利用率の増加に伴い住宅ローン手数料も堅調に推移した。なお、2017年5月期の収益が落ち込んだのは、火災保険商品で契約期間10年超の長期商品の販売が停止となったことによるもので、その影響は既に一巡している。

営業利益率が前期比7.9ポイント上昇の44.4%となったが、これは取扱保険商品として生命保険の販売にも注力したことで、ファイナンシャルプランナー1人当たりの収益性が向上したことが主因となっている。

(4) エネルギー事業
エネルギー事業は太陽光発電設備の発電量が安定して推移したことで、売上高は前期比2.3%減の880百万円、営業利益は同0.8%増の330百万円とほぼ前期並みの水準となった。

(5) その他事業
その他事業の売上高は前期比9.7%増の6,004百万円、営業損失は53百万円(前期は475百万円の損失)となった。売上高は住宅事業における販売棟数の増加に伴い、子会社で展開する家具・インテリア販売など住宅周辺事業が好調に推移したことが増収要因となった。一方、利益面では住宅周辺事業の増収効果に加えて、海外子会社における不採算事業の縮小を進めたことで、損失額が縮小した。具体的には、中国の飲食店事業、カンボジアのホテル事業、ハワイの不動産開発事業から撤退し、2018年5月期において事業撤退損失802百万円を計上している。

なお、国内のホテル関連事業に関しては2016年3月に開業した「タマディアホテル羽田」(客室数160室、宿泊料8,000~12,000円)の稼働率がインバウンド需要の効果もあって90%超と引き続き好調に推移しており、若干の黒字となっている。また、ホテル関連事業の第2弾として「タマキャビン大阪本町」(客室数88室(122床)、宿泊料は平均で4,000~8,000円)を2018年3月に開業している。自社ビルを改築したものでキャビンタイプの低価格料金が特徴となっており、ビジネスマンや海外観光客などを顧客ターゲットとしたホテルとなる。立地は大阪中心部にあり、最寄駅から徒歩5分圏内と利便性も良いため、今後の稼働率上昇による収益貢献が期待される。

3. 財務状況と経営指標
2018年5月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比7,435百万円増加の90,785百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が同4,921百万円増加したほか、手持棟数の増加によってたな卸資産が同3,570百万円増加した。また、固定資産では、有形固定資産が同328百万円減少したほか、投資その他資産が同143百万円減少した。

負債合計は前期末比6,010百万円増加の75,272百万円となった。有利子負債で同2,609百万円増加したほか、手持棟数の増加により未成工事受入金が同3,333百万円増加した。また、純資産は前期末比1,424百万円増加の15,513百万円となった。配当金の支払いで449百万円支出したが、親会社株主に帰属する当期純利益2,047百万円の計上が増加要因となった。

経営指標を見ると、収益の拡大に伴って自己資本比率が前期末の16.7%から17.1%へ上昇したほか、有利子負債比率も前期末の225.0%から219.1%と若干低下するなど財務体質はやや改善した。自己資本比率については依然低水準ではあるものの、現預金が300億円以上と潤沢で有利子負債もほぼ同程度の水準にあることから、財務面で問題となるような状況にはないと判断される。不採算事業の撤退もほぼ完了したこと等から、今後は業績の拡大とともに財務体質も改善傾向が続くものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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