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1419 タマホーム

東証P
4,315円
前日比
-35
-0.80%
PTS
4,314.5円
09:42 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.6 4.12 4.29 0.98
時価総額 1,271億円
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タマホーム Research Memo(7):住宅事業、金融事業の利益は上振れ余地が大きい


■タマホーム<1419>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) 住宅事業
住宅事業の売上高は前期比7.7%増の142,000百万円、営業利益は同34.4%減の1,600百万円と増収減益を見込んでいる。前述したとおり、注文住宅事業における販売構成比の変化による平均単価下落や、人件費及び外注費の増加が減益要因となる。また、高価格帯商品となる循環型木造住宅「KOTT」の本格販売を開始するため、2017年10月に直営1号店(東京都立川市)をオープンするなど、新商品立ち上げの費用増なども織り込まれている。

注文住宅事業の受注棟数は前期比5.2%増の9,336棟、販売棟数は同10.0%増の8,004棟を計画している。第2四半期までの進捗状況からすると、受注棟数についてはやや下振れ懸念があるものの、販売棟数については豊富な受注残があることから達成可能な水準と見られる。販売の内訳を見ると、地域限定商品を含む既存ライン商品が前期比4.6%増の7,169棟、ベーシックライン商品が同93.9%増の820棟、高価格帯のハイライン商品が15棟となる。

既存ラインについては地域限定商品のエリア拡大により増加基調が続く見通し。また、ベーシックライン商品についても、2018年1月に「シフクのいえV」(600棟限定)の販売を開始しており、需要も旺盛なことから達成可能と見られる。一方、ハイラインの「KOTT」については展示場のオープンが当初の計画から2ヶ月遅れたこともあり、計画の達成は厳しそうだ。当面はSNSなども活用して認知度の向上を図り、着実に実績を積み重ねていく方針としている。なお、ベーシックラインの商品については、店舗への集客を図るための呼び水的な商品と位置付けており、販売構成比については今後も全体の1割程度の水準にとどめる方針となっている。

リフォーム事業の売上高については前期並みの水準を会社側では計画しているが、第2四半期累計で27.1%増収と好調に推移したこともあり、通期でも2ケタ成長が予想される。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比9.2%増の19,300百万円、 営業利益は同39.6%増の1,600百万円を見込んでいる。収益増加要因の大半は戸建分譲事業とサブリース事業の拡大によるものとなる。

戸建分譲については販売棟数で前期比2.6%増の355棟と微増となるが、販売単価の高い都市部での仕入れを強化しており、売上高では前期比10%前後の増収となる見通しだ。一方、マンション分譲については下期の販売物件が「KURUME THE MID TOWER(全88戸)」(福岡県久留米市)のみとなるため、通期では前期比40%前後の減収となる見込み。マンション分譲の落ち込みを戸建分譲やサブリース事業の拡大でカバーしていくことになる。

なお、2016年1月より開始した不動産仲介事業については苦戦しており、現在、戦略の見直しを行っている段階にある。第1号店として出店した「タマショップ新宿」については客数が増加せず、収益化が困難と判断して既に閉店、本社ビル内に機能を移転している。

(3) 金融事業
金融事業の売上高は前期比3.8%増の1,100百万円、 営業利益は同3.4%増の400百万円を見込んでいる。通期計画を達成するためには下期は売上高で前年同期比7.7%減、営業利益で同7.7%減の水準で済むが、下期も住宅販売棟数の増加を背景に火災保険や生命保険商品、住宅ローンの取扱手数料収入などの伸びが見込めることから、通期でも2ケタ増収増益となる可能性が高いと弊社では見ている。

(4) エネルギー
エネルギー事業の売上高は前期比0.1%減の900百万円、営業利益は同8.5%減の300百万円とほぼ前期並みの水準となる見通し。太陽光発電施設の発電能力が変わらないため、天候状況による発電量の差が収益変動要因となる。

(5) その他事業
その他事業の売上高は前期比26.1%増の6,900百万円、営業利益は100百万円(前期は475百万円の営業損失)と増収、黒字化を見込んでいる。売上高については下振れ懸念があるものの、営業利益については不採算事業からの撤退を進めたことで計画どおりの黒字化が達成できそうだ。

なお、ホテル関連事業において第2弾となる「タマキャビン大阪本町」を2018年3月に開業する。自社ビルを改築したものでキャビンタイプの低価格料金が特徴となっており、ビジネスマンや海外観光客などを顧客ターゲットとしたホテルとなる。立地は大阪中心部にあり、最寄駅から徒歩5分圏内と利便性も良く、開業当初から高稼働率が見込まれる。料金は平均で3,000~5,000円/泊となっており、90%の稼働率であれば年間売上高で1.5?2.0億円となる見通し。「タマディアホテル 羽田」同様に早期の黒字化が期待される。

3. 成長戦略
同社では2019年5月期から始まる新たな中期経営計画を現在、策定している。基本的な成長戦略は継続していく見通しで、住宅事業の拡大並びにその周辺事業への展開を推進していくことで更なる成長を目指していくことになる。

2018年5月期を最終年度とする中期経営計画では、住宅事業について「層の拡大」をテーマに取り組んできた。ベーシックライン商品や地域限定商品の投入などでは一定の成果を得られたものの、ハイライン商品についてはやや遅れ気味となっており、また、不動産仲介事業についても戦略の見直しを迫られるなど課題を残した格好となっている。

次期中期経営計画では、地域限定商品の販売強化を推進し、各都道府県でトップシェアを目指していくことになりそうだ。現在、トップシェアを獲得している県は長崎県(既存商品のみ販売)だけだが、今後さらに増やしていくことになる。シェア拡大戦略を推進していくため、地域の有力な工務店等をM&Aでグループ化していくことも考えられ、今後の動向が注目される。

一方で、ハイライン商品「KOTT」に関しては、立ち上げがやや遅れているものの、今後もSNS等を通じて認知度の向上を図り、地道に育成していく考えだ。「KOTT」は、木材を通常の2倍以上使用する板倉工法を採用しており、冬は暖かく夏は涼しい循環型木造住宅をコンセプトとしている。100%国産材を使うことで日本の森林資源循環や林業の活性化など社会貢献にもつながる事業として育成していきたい考えだ。東京である程度の実績が積み上がれば、名古屋や仙台などにも直営店を開設し、将来的にはフランチャイズ展開も視野に入れている。

住宅周辺事業としては、リフォーム事業やサブリース事業が今後も安定収益基盤として収益増に貢献すると予想される。特に、リフォーム事業については年間の販売棟数からすると、あと2倍程度の売上成長余力はあると見られる。また、ホテル関連事業についても、羽田、大阪に続いて福岡でも自社ビルの再開発予定があるほか、京都でホテル運営受託の引き合いもあり、今後の事業拡大が見込まれる。

同社の業績は2014年5月期から2016年5月期まで3期連続で営業減益となるなど厳しい収益環境が続いてきた。消費増税の反動減もあるが、ローコストビルダーの台頭による市場シェアの浸食も影響したと見られる。ただ、前述したように、地域限定商品を投入することでシェアは各地域で回復しつつあり、今後も同戦略を推進していくことで更なるシェア拡大が見込める状況となってきている。リフォーム事業やホテル関連事業の成長に加え、不採算事業からの撤退も進めたことから、同社の業績は再成長局面に入ったと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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