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明日の株式相場に向けて=苛烈なSQバトル映すアドテストとSBG

 きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比73円高の5万0655円と続伸。今週はメジャーSQ算出を控えており、株価動向に関して先物絡みで需給が支配するウエートが高まっている。理屈通りには株価が動かない。日経平均は5万円台を維持し、TOPIXも高値圏で売り物を呑み込み、最高値街道への復帰を指呼の間にとらえるような状況にあるのだが、何か変調であった。眼前に敷かれたレールを走るしかないような地合いで、個別株も精彩を欠いた。年末に期待されがちな「餅つき相場」や「掉尾の一振」といったムードは感じられない。市場筋も「個人投資家にすれば、きょうあたりは拍子抜け。こうなると攻めより守りで、年末を目前に損益通算の売りをどこで出すかに思考が向いてしまっているような状況」(中堅証券ストラテジスト)という。
 
 半導体関連セクターにとっては、前日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の史上最高値更新に加え、今朝方の取引開始前に棚ぼた的な追い風材料が生じた。元来であれば、大口の資金が流れ込み、主力どころを中心に一斉高とは言わないまでも、圧倒的に強気優勢の地合いとなってもおかしくはなかった。ところが、日経平均寄与度の大きいアドバンテスト<6857>などは首を傾げてしまうような動きの鈍さであった。追い風を吹かせたのはトランプ米大統領だ。対中国との交渉で北風と太陽を使い分けるトランプ氏は、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、エヌビディア<NVDA>が製造する高性能AI半導体「H200」の対中輸出を許可することを表明、これを受けてエヌビディアの株価は時間外で2.3%を超える上昇をみせた。同社株は取引終了時点で既に1.7%高に買われていたから、合算すれば前週末終値から4%以上も水準を切り上げたことになる。

 しかし、エヌビディアを主要顧客とする関連最右翼のアドテストは不思議なほどおとなしい値動きに終始した。これはきょう売買代金で群を抜いたソフトバンクグループ<9984>にも共通する上値の重さであった。アドテストは、直近は信用買い残の整理が進捗する一方で売り残が増加傾向にあり、信用倍率が1.4倍台までタイト化していた。需給面から株価の瞬発力が高まっており、テクニカル的にも中段でのもみ合いが続いていたから、普通ならばこのエヌビディアの“H200案件”は渡りに船の材料となり、アドテストの株価を大きく押し上げたはずであった。

 言うまでもなくアドテストは日経平均構成比でトップに位置している。週末のメジャーSQ算出に向け、同社株の動向が大きな影響をもたらす。意図的に上値を押さえるような売りがぶつけられたのは、日経平均先物やオプションを巡る戦いを意識した背景があるように思われる。きょうは、日経平均構成比で上位10傑圏外にあるディスコ<6146>は、邪魔が入らず一時5%を超える大幅高を演じていた。レーザーテック<6920>も同様で一時5%近い上昇、こちらは約1カ月ぶりに年初来高値を更新している。

 今の相場は個別株の物色意欲は根強いものの、個人投資家泣かせの地合いと言ってもよい。基本的にテーマ買いの動きが続かない。日替わりで人気化する銘柄は出ても、それについて行ってしまうと翌日の相場で呆然とすることになる。年末にかけて日経平均は高いとみる向きは市場関係者には多いのだが、SQ通過後まではスイッチが入りにくい。企業業績の好調が指摘されるなか、19日の日銀金融政策決定会合での利上げとの距離感を測りつつ、ミニ金融相場ならぬミニ業績相場で日経平均は最高値を目指すというのがメインシナリオといえる。日銀会合通過まで手をこまねいていては、年内相場を堪能することは難しいが、とはいえ今週末のメジャーSQ算出前は、見切り発車的に個別株戦略に傾注するタイミングではなく、あえて森を見る時間帯といえる。

 日銀の金融政策については、最近の植田日銀総裁の発言と言外に漂うニュアンスがこれまでと明らかに変わっていて、利上げアドバルーンを上げまくっているような状況だ。来年前半は1月22~23日、3月18~19日、4月27~28日の日程で決定会合が行われるが、ここですべて音無しの構え(政策金利据え置き)で通過するケースは考えにくくなってきた。きょうはさすがに不動産株には売りが目立ったが、三菱地所<8802>は前週末に2007年6月以来18年半ぶりの高値を更新したばかりであった。伸び切った反動が怖いところでもある。タワーマンション価格は一部を除いて急落の可能性も指摘されている。チャイナマネーの退潮と日銀の利上げが出合い頭となりかねないタイミングとなっており、ここは注意が必要となる。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に開示される11月の企業物価指数に市場の関心が高い。海外では11月の中国消費者物価指数(CPI)、11月の中国生産者物価指数(PPI)が開示されるほか、カナダ中銀が政策金利を発表、この日は開催2日目となるブラジルの金融政策決定会合でも政策金利が決定する。また、米国でもFOMCの開催2日目にあたり政策金利が開示されるほか、その後のパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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