明日の株式相場に向けて=内需株の地殻変動、噴き上げる「DX関連」
週明け9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比69円高の3万9160円と反発。スタートダッシュを決めた師走相場だが、前週末あたりから上値追いにやや懐疑的なムードも出てきた。きょうも変動幅こそそれほど大きくはないが、寄り付き天井を形成し、その後は上下に不安定に揺れた。しかし、米国ではハイテク株中心にリスクオン相場が続いており、ナスダック指数が最高値圏を快走するのを横目に足もとで弱気に傾く道理もない。今週は週末にメジャーSQ算出を控え、先物主導で全体相場の流れが急変することも考えられるが、中小型株への物色意欲が再燃している点は個人投資家には追い風といえる。
今週は11日に11月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えているが、米株市場ではここを無風通過と読んでいるのか、前週末時点で12.77と13%を割り込んだVIX指数をみても、かなり楽観に傾斜していることが分かる。来週17~18日のFOMCでは0.25%の利下げが既定路線となっている雰囲気だが、問題はドットチャートで、来年のFRBの金融政策の舵取りがどうなるかに世界の関心が高い。いまのところ年間で1%もしくは0.75%の引き下げ予想が本線のようだが、「毎会合連続ということではなく、様子をみながらボチボチ引き下げる、景気も強いしそれで十分というイメージ」(ネット証券ストラテジスト)とする。そうした声を聞くほどに、楽観の中で成熟した上昇相場が陶酔の中で消えていく件(くだり)とならないかと不安がよぎる。
東京市場で懸案となっている半導体関連株の低迷脱出は、レーザーテック<6920>が象徴するように株式需給がカギを握る。高水準の信用買い残の整理が進むどころか、株価を下げながら買い残が増勢一途となっており、需給悪を見込んで新規の買いが入ってこないという悪循環に陥っている。これだけ下げれば、レーザーテクなどは逆張りで食指が動くのが人情だが、株価水準よりも需給的な観点が必要で、今は戻っても吹き値売りで対処するよりない時間帯だ。また、皆がそう考えるからこそ吹き値売りもそう簡単ではない。
流れは内需の中小型株に向いている。にわかに動意が相次いでいるのが、 DX関連の銘柄群である。こちらはしばらく「投資家の視点から姿を消していた」という点が、半導体セクターと異なる。株価が下落トレンドを強いられる過程で、逆張りで信用買い残が膨張するような状況にはなかったため、テーマ物色の波が起きると戻り足も軽い。
DX関連も業績面で選別していくのが基本だが、足もとの進捗率で騙されるケースもある。例えば下期回収型の銘柄は、上期の収益がパッとしなくても、後半追い込みがかかる「まくり」パターンで帳尻が合うことが多い。もちろん、その逆のケースもあるが基本的にITソリューション関連は大型案件の計上一発で景色が変わるので、安易に進捗率で判断しないことが肝要だ。「相場は相場に聞け」というが、これは個別株にもそのまま当てはまり、チャートの値動きはある意味、その銘柄の鼓動であり息遣いである。同様のコンセプトで、より実践的に「強い株につけ」という格言もある。
最近の動きでは派遣型研修のDX支援ビジネスを展開するインソース<6200>が現在進行形で強さを発揮。また、独立系で自治体に強いアイネス<9742>なども大勢2段上げを思わせる動きだ。このほか、官公庁向けで実績の高いクロスキャット<2307>が拾い場を提供している感触。ビッグデータ・AI関連の成長株としては、既に動兆著しいがFinatextホールディングス<4419>などの押し目買いに妙味がありそうだ。このほか、ネットリサーチを祖業に、近年はデジタルマーケティングなど高付加価値分野に舵を切り業績を変貌させているクロス・マーケティンググループ<3675>も目が離せない。
あすのスケジュールでは、11月のマネーストックが朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に5年物国債の入札が行われる予定。午後3時以降に11月の工作機械受注額が発表される。また、この日はGENDA<9166>の2~10月期決算発表が予定されている。海外では、豪中銀が政策金利を発表するほか、ブラジルの金融政策員会が11日までの日程で開催される。また、11月の中国貿易統計にマーケットの関心が高い。米国では11月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観度指数が開示され、7~9月期労働生産性指数の改定値も公表される。米債券市場では3年物国債の入札が予定されている。なお、タイ市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
今週は11日に11月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えているが、米株市場ではここを無風通過と読んでいるのか、前週末時点で12.77と13%を割り込んだVIX指数をみても、かなり楽観に傾斜していることが分かる。来週17~18日のFOMCでは0.25%の利下げが既定路線となっている雰囲気だが、問題はドットチャートで、来年のFRBの金融政策の舵取りがどうなるかに世界の関心が高い。いまのところ年間で1%もしくは0.75%の引き下げ予想が本線のようだが、「毎会合連続ということではなく、様子をみながらボチボチ引き下げる、景気も強いしそれで十分というイメージ」(ネット証券ストラテジスト)とする。そうした声を聞くほどに、楽観の中で成熟した上昇相場が陶酔の中で消えていく件(くだり)とならないかと不安がよぎる。
東京市場で懸案となっている半導体関連株の低迷脱出は、レーザーテック<6920>が象徴するように株式需給がカギを握る。高水準の信用買い残の整理が進むどころか、株価を下げながら買い残が増勢一途となっており、需給悪を見込んで新規の買いが入ってこないという悪循環に陥っている。これだけ下げれば、レーザーテクなどは逆張りで食指が動くのが人情だが、株価水準よりも需給的な観点が必要で、今は戻っても吹き値売りで対処するよりない時間帯だ。また、皆がそう考えるからこそ吹き値売りもそう簡単ではない。
流れは内需の中小型株に向いている。にわかに動意が相次いでいるのが、 DX関連の銘柄群である。こちらはしばらく「投資家の視点から姿を消していた」という点が、半導体セクターと異なる。株価が下落トレンドを強いられる過程で、逆張りで信用買い残が膨張するような状況にはなかったため、テーマ物色の波が起きると戻り足も軽い。
DX関連も業績面で選別していくのが基本だが、足もとの進捗率で騙されるケースもある。例えば下期回収型の銘柄は、上期の収益がパッとしなくても、後半追い込みがかかる「まくり」パターンで帳尻が合うことが多い。もちろん、その逆のケースもあるが基本的にITソリューション関連は大型案件の計上一発で景色が変わるので、安易に進捗率で判断しないことが肝要だ。「相場は相場に聞け」というが、これは個別株にもそのまま当てはまり、チャートの値動きはある意味、その銘柄の鼓動であり息遣いである。同様のコンセプトで、より実践的に「強い株につけ」という格言もある。
最近の動きでは派遣型研修のDX支援ビジネスを展開するインソース<6200>が現在進行形で強さを発揮。また、独立系で自治体に強いアイネス<9742>なども大勢2段上げを思わせる動きだ。このほか、官公庁向けで実績の高いクロスキャット<2307>が拾い場を提供している感触。ビッグデータ・AI関連の成長株としては、既に動兆著しいがFinatextホールディングス<4419>などの押し目買いに妙味がありそうだ。このほか、ネットリサーチを祖業に、近年はデジタルマーケティングなど高付加価値分野に舵を切り業績を変貌させているクロス・マーケティンググループ<3675>も目が離せない。
あすのスケジュールでは、11月のマネーストックが朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に5年物国債の入札が行われる予定。午後3時以降に11月の工作機械受注額が発表される。また、この日はGENDA<9166>の2~10月期決算発表が予定されている。海外では、豪中銀が政策金利を発表するほか、ブラジルの金融政策員会が11日までの日程で開催される。また、11月の中国貿易統計にマーケットの関心が高い。米国では11月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観度指数が開示され、7~9月期労働生産性指数の改定値も公表される。米債券市場では3年物国債の入札が予定されている。なお、タイ市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS