貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7832 バンナムHD

東証P
3,279.0円
前日比
-20.0
-0.61%
PTS
3,292.4円
23:38 12/11
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.5 2.85 0.67 4.05
時価総額 21,641億円
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新成長ステージ突入、クールジャパン戦略のカギ握る「IP」関連銘柄 <株探トップ特集>


―ソニーGによるカドカワ買収協議報道で注目度アップ、メディアミックスで裾野も拡大へ―

 11月後半、IPビジネスに関する大きな話題が飛び込んできた。19日の一部報道で、ソニーグループ <6758> [東証P]がKADOKAWA <9468> [東証P]の買収に向けて協議を行っていると報じられ、これをきっかけに同日のカドカワ株はストップ高に上昇して引けた。

 ソニーGはM&Aなどを通じて、アニメやゲームなどのIP(知的財産)を積み上げる成長戦略を進めており、今回の報道もその一環としてとらえられている。コミックやアニメ、ゲームなど日本のコンテンツは海外でも人気が高く、そのもとの一つであるIPは金の卵でもある。報道を受けてカドカワでは「株式の取得に係る初期的意向表明を受領しているが、現時点で決定した事項はない」とのコメントを発表したが、IPの重要性が改めてクローズアップされた。IPビジネス関連に注目したい。

●メディアミックスで経済圏拡大

 IPとはクリエイティブな活動によって生み出されたアイデアや創作物などのこと。マンガやアニメ、小説、ゲーム、映画などのコンテンツとそのキャラクターがIPの代表例で、これらに関する著作権・特許・商標などを活用したのがIPビジネスだ。

 近年、日本初のコンテンツが海外市場を席巻している背景の一つには、こうしたIPの活用がある。一つのIPをマンガ、アニメ、映画、舞台、ゲームなどさまざまなメディアに展開する「メディアミックス」を行うことで認知度が増し、経済圏やファン層の広がりにつながりビジネスの裾野も拡大する。魅力的なIPを確保することが、エンターテインメント分野におけるコンテンツのプレゼンスを高める重要な要素といえる。

●キャラクター市場は成長中

 IPビジネス全体を網羅した統計はないものの、IPのなかでも注目度の高いキャラクタービジネスの市場は年々拡大している。

 矢野経済研究所(東京都中野区)が今年7月に発表した「キャラクタービジネスに関する調査を実施(2024年)」によると、 キャラクターを利用して商品にする「商品化権」と、キャラクターをアニメやゲームなどに使用する「版権」を合わせた23年度の市場規模は、前年度比2.2%増の2兆6969億円になったと推計されている。「【推しの子】」や「鬼滅の刃」「進撃の巨人」などのアニメ放送による効果が市場を牽引。また、「ポケットモンスター(ポケモン)」や「ONE PIECE」「スーパーマリオ」のメディアミックス展開が奏功したという。

 同社では、24年度の市場規模を2兆7464億円(前年度比1.8%増)と予測。「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」の人気が若い世代だけではなく幅広い世代へと広がっていくことに加えて、「シティハンター」や「キン肉マン」など中高年世代向け作品の商品化権や版権がともに好調になると見込んでいる。

●コンテンツ産業の振興は国策

 国による後押しも期待できる。今年6月にまとめられた新たなクールジャパン戦略では、日本発のコンテンツの海外市場規模を22年の4兆7000億円から、33年までに20兆円とすることを目標に掲げている。コンテンツ産業の振興は国策といえるが、これまでのクールジャパン戦略ではクリエイター支援や海外展開・発信などのコンテンツ関連予算額は他の戦略分野に比べて少ないといわれていた。

 これに対して、日本経済団体連合会(経団連)は今年10月15日、コンテンツ産業の拡大に向けた政策提言を発表。政府のコンテンツ関連予算を現在の数百億円規模から2000億円以上へと早期に拡充することや、コンテンツ産業振興に向けて、新たな挑戦・投資に対するインセンティブとなるような税制面の後押しも必要であるとした。

 これらにより、IPビジネスも更なる成長が見込まれており、関連銘柄のビジネスチャンスも広がりそうだ。

●IP創出企業を中心に関連銘柄に注目

 そこで今回は、IP創出企業を中心とした銘柄に注目してみたい。

 アルファポリス <9467> [東証G]はUGC(一般ユーザーが自発的に作成するコンテンツ)プラットフォーム「アルファポリス」を運営しており、「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」「月が導く異世界道中」などメディア化した作品も多い。近年、ライトノベルは「小説家になろう」をはじめとする小説投稿サイト発のものも多く、人気作品はアニメ化や舞台化などメディアミックスも盛んになっている。同社の「原作を生み出す」プラットフォームを運営する優位性が注目されている。

 IGポート <3791> [東証S]は、制作作品の制作者印税のほか、企画・原作を行った作品の印税などの収入を得る版権事業を展開している。また、月刊漫画誌(月刊コミックガーデン)及び電子書籍サイト(MAGCOMI・MAGKAN)などで連載の作品に関しては、二次利用における版権収入を得ており、「魔法使いの嫁」(現在はブシロードワークス「コミックグロウル」連載)「はめつのおうこく」などアニメ化作品も多い。

 カドカワは、ライトノベルの有力出版元で、「Re:ゼロから始める異世界生活」「蜘蛛ですが、なにか?」をはじめとして小説投稿サイト発の作品を多く書籍化しアニメ化につなげているほか、「ソードアート・オンライン」「青春ブタ野郎シリーズ」などの人気アニメ化作品の原作も多い。今回、ソニーGによる買収が話題となったが、ソニーGのほかサイバーエージェント <4751> [東証P]などとも資本提携関係にあり、メディアミックス力には定評がある。また、「カクヨム」「魔法のiらんど」などの小説投稿サイトも運営しており、更なるIP獲得にも積極的だ。

 ブシロード <7803> [東証G]は、トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」のメディアミックス展開を行っている。また、出版社ブシロードワークスを傘下に持ち、アニメ化や舞台化された「魔法使いの嫁」などの書籍展開のほか、オリジナルIPの創出にも力を入れている。

 サンリオ <8136> [東証P]は、今年で誕生50周年を迎えた「ハローキティ」をはじめ、450を超えるキャラクターを130の国と地域に展開している。同社では、中期経営計画の一環として、創造とプロデュースの幅を更に広げることによるIPポートフォリオの拡大とマネタイズの多層化に注力しており、27年3月期に営業利益400億円以上(25年3月期予想410億円)を目指している。

 東宝 <9602> [東証P]は、長期ビジョンで収益の源泉として位置づけたコンテンツの企画開発とIPの創出・展開に対する投資を強化しており、M&Aも検討。特にアニメーションを成長ドライバーとしており、国内外のアニメ制作スタジオや配給会社を相次ぎ買収している。また、今年11月にはシンガポールに子会社を設立し事業を開始したと発表しており、アジア地域におけるIP・映像作品のライセンス事業、商品事業、マーケティングなどに力を入れる。

 このほか、円谷フィールズホールディングス <2767> [東証P]は「ウルトラマン」、バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]は「ガンダム」、タカラトミー <7867> [東証P]は「トランスフォーマー」、任天堂 <7974> [東証P]は「スーパーマリオ」といった世界的な有力IPを擁しており注目される。

 また、近年は Vチューバーも有力IPとしてメディアミックス展開に力を入れており、Vチューバープロジェクト「にじさんじプロジェクト」を運営するANYCOLOR <5032> [東証P]、Vチューバー事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー <5253> [東証G]なども注目したい。

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