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明日の株式相場に向けて=「エヌビディア通過後」の投資戦略を考える

 きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比62円安の3万8352円と反落。全体相場は方向感の定まらないどっちつかずの相場展開が続いている。3万8000円台前半で収斂(しゅうれん)する13週・26週移動平均線近辺での攻防だが、ここは一つの分岐点ともいえる。そうしたなかも、決算発表シーズンを通過したことで個別株の決算プレーに特化した地合いからは解放され、テーマ買いの動きが戻ってきていることは、投資家サイドにとってはポジティブだ。個別銘柄ごとの丁半博打的な動きに支配されている頃よりは、はるかに相場との距離感がつかみやすくなったとはいえる。

 ロシアのプーチン大統領が核ドクトリン改定による戦術核使用の可能性を示唆する動きをみせていることは新たな地政学リスクを想起させるが、一方で表現は悪いが防衛関連株を刺激する切り口が一つ増えたという見方もできる。三菱重工業<7011>のほか、防衛省と取引関係のある川崎重工業<7012>やIHI<7013>、東京計器<7721>といった銘柄が投資マネーを誘引した。そして動兆しきりのIMV<7760>については、あくまで仮説に過ぎないが、 防衛関連として見た場合に、世界首位級の振動シミュレーションのノウハウを持つ時価総額わずか150億円足らずの会社を傘下に収められるとしたら、それに躊躇する企業やファンドは存在しないのではないか。

 米国ではエヌビディア<NVDA>決算発表を日本時間あす早朝に控え、東京市場でも思惑が錯綜しているが業績の高変化は疑いのないところで、事前コンセンサスを上回る伸びを示せるか否かで株価のベクトルの向きが決まるという状況に変わりはない。コンセンサスは8~10月期の売上高ベースで前年同期比8割増、データセンター部門の売上高はほぼ100%増、つまり倍増が予想されている。最終利益も9割の伸びが期待されるなど、これだけ高いハードルに足を引っ掛けることなく、エヌビディアが成長ロードを邁進し続けるとすれば凄いの一語に尽きる。

 そして、今回のもう一つのヤマは同社の新たなドル箱商品に位置付けられるAI用次世代半導体「ブラックウェル」の動向だ。同社のジェンスン・ファンCEOが常軌を逸しているほど強いという需要を裏付ける見通しが開示されるのかどうか。マグニフィセントセブンの中でも時価総額の伸びで群を抜く同社にとって、ブラックウェルは新たな成長加速装置としてマーケットの視線を独り占めにしている状況だ。しかし、弱点もある。膨大な電力消費とそれに伴うサーバーラックの過熱問題などが取り沙汰されている。エヌビディアにとってはアキレス腱だが、これは前日の当欄で取り上げたように、冷却システムや構造的な電力への依存軽減といったテーマで新たな活躍企業を生むことになる。

 このほか、今は好業績株で人気素地を開花させる前段階にある銘柄を探していく作業が大切といえる。候補としてはまずエネルギー関連の一角である丸運<9067>が挙げられる。25年3月期上期(24年4~9月)営業利益は前期比2.6倍化を達成し通期では77%増益を見込む。また、トヨタ系自動車部品で防振ゴム世界屈指の住友理工<5191>も4~9月期は営業43%増益と好調で株価指標面でも割安さが際立つ。

 意外なところでは味の素<2802>。同社は先端半導体の製造プロセスで必須の電子材料として注目される「ABF」を手掛けており、半導体関連の位置づけで実需買いが観測される。AI関連ではフィックスターズ<3687>が良い動きだが、このほか7~9月期営業66%増益達成で大底からのトレンド大転換を果たしたブレインパッド<3655>も目先買い場を提供していると判断したい。防衛関連の新たな穴株としては防衛省との取引関係で実績豊富なアジア航測<9233>に着目してみたい。業績は変化率こそ目立たないが増収増益基調を堅持しており、4%近い高配当利回りも魅力だ。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に10月の白物家電出荷額が発表される。また、20年物国債の入札も行われる。午後取引時間中には10月の食品スーパー売上高が発表される。なお、この日はボージョレ・ヌーボーの解禁日となる。海外ではトルコ中銀が政策金利を発表するほか、米国では週間の新規失業保険申請件数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、10月の中古住宅販売件数などにマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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