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【植木靖男の相場展望】 ─平成バブル相場を想起する


「平成バブル相場を想起する」

●最高値挑戦か三尊天井形成か、難しい局面に

 日経平均株価はここへきて保ち合いを強めている。振り返ると、前日の衆院選の結果が与党過半数割れの大敗であったにもかかわらず、10月28日の東京市場は691円高と大幅反発に転じた。すでに与党惨敗は株価に織り込まれていたとして買い戻しが入ったからだ。

 11月1日は日銀の追加利上げを巡る思惑から半導体株中心に売りが出て、日経平均株価は1027円安と急落したが、翌5日は421円高、さらに6日はトランプ氏の大統領選優位が伝わり1005円高と直近の下落幅を埋めている。米長期金利上昇もあってドル高・円安となったことも株価を押し上げた格好だ。

 では、今後、株式市場はどう展開するのか。トランプ氏大勝の祝儀もあって6日の米国市場ではNYダウナスダック指数ともに大幅続伸となったが、7日はナスダック指数が上昇したものの、NYダウは小幅反落と早くも冷静さを取り戻しつつあるようだ。

 このため、日本株にも一服感が出始めているかにみえる。こうした値動きをチャートからみると、4万円突破がとりあえずの目標ながら、厳しい状況にあることがうかがわれる。また、下値では3万8000円処が支えとなっている。つまり、4万円と3万8000円の僅か2000円の間に挟まっているのだ。

 仮に4万円を突破すれば、7月高値の4万2426円を試すことも可能となるはず。だが、3万8000円を割り込めば三尊天井を形成することになり、さらに下値を探るという展開も十分あり得る。

 このように、チャートでは目下、難しい局面にあるようだ。

 理屈でみるとどうか。まずは米国市場がどう動くか。依然として日本株は米国株の動向に左右される。いまはトランプ新大統領の政策次第で波乱もあるかもしれない。法人税引き下げや移民問題に対する姿勢など、これまでの民主党の政策とは大きく異なる。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き下げたが、市場金利はインフレ懸念から逆に上昇するリスクもある。だとしたら、日銀も利上げせざるを得ないが、利上げするといってもごく小さな上げ幅しか手を打てないだろう。ならば、日米金利差は拡大し、円安が進む。更なる円安は、日本経済にとってプラスかマイナスか、議論は高まることになろう。

ともあれ、トランプ政権が始動するのは、2025年1月20日の大統領就任からであり、その政策による株式市場への影響が本格化するのもそれ以降となる。

●目が離せない三菱自、愛知鋼、京急など

 当面、株式市場の先行きを判断するにあたっては、理屈よりもチャートを読み取るしかないが、現在の状況は平成バブルの時と酷似していることは留意しておきたい。

 当時、1987年のブラックマンデーで東京市場は急落したが、半年後には急落前の高値を突破し、バブル相場をひた走っている。

 今回、再び半年を目安とすれば、25年1~2月には7月高値4万2426円を上抜くと期待している。また、当時のように、その後にバブルが起こるかどうかは、常々指摘している通り、海外に流出した1000兆円以上のマネーが国内に戻るかどうかで決まるはずだ。

 さて、今後の物色対象はどうか。長期的には各業界のトップ企業、それもバリュー株という点では、平成バブル時とあまり変化はなかろう。たとえば、鉄鋼の日本製鉄 <5401> [東証P]、損保の東京海上ホールディングス <8766> [東証P]、防衛の三菱重工業 <7011> [東証P]、IT(情報技術)のNEC <6701> [東証P]など。これらは年内にも芽生えるのではないか。

 一方、決算発表が本格化している足もとではバリュー株、ハイテク株を問わず好業績銘柄が物色されるのはいつものことだ。だが、そうした環境にあって業績面がよろしくない自動車株の中で上昇している三菱自動車工業 <7211> [東証P]や、依然出遅れ感のある京浜急行電鉄 <9006> [東証P]などが面白そうだ。出直り急の富士通 <6702> [東証P]や野村総合研究所 <4307> [東証P]なども注目されそうだ。

 さらに旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが買い増している愛知製鋼 <5482> [東証P]なども目が離せない。

2024年11月8日 記

株探ニュース

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