いちご Research Memo(4):2025年2月期は、ALL-IN営業利益ベースで240億円を予想
■いちご<2337>の今後の見通し
2025年2月期通期の業績予想は、営業利益で前期比23.5%増の16,000百万円、ALL-IN営業利益で同13.2%増の24,000百万円、経常利益で同15.5%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同15.6%増の14,000百万円、キャッシュ純利益で同3.5%増の18,500百万円、1株当たり当期純利益で同19.4%増の32.10円とキャッシュ創出を拡大する計画であり、ストック収益の最高益も更新を見込む(期初予想どおり)。
アセットマネジメント事業では、セキュリティ・トークンを活用した新たな投資商品「いちご・レジデンス・トークン」による運用資産残高(AUM)の拡大、いちごホテルリートの継続的な収益成長が見込まれる。セグメント利益で1,750百万円(前期比16.9%増)と予想した。通期予想に対する上半期の進捗率は36.2%ではあるが、下半期には挽回し、前期並みの着地に目途が立っている。また、同社では投資主と資産運用会社の利益が一致する完全成果報酬制度を採用しているため、保有ホテルの利益成長は同社の運用報酬の増加に連動する。クリーンエネルギー事業では、前期末に稼働開始したいちごえびの末永ECO発電所が通期で利益貢献するため、セグメント利益前期比7.9%増の2,100百万円を予想する。通期予想に対する上半期の進捗率は58.3%で、下期は冬場に入るため、上期に比べ発電量が下がる傾向にあるものの、安定稼働により計画達成が可能である。
心築事業のセグメント利益(ALL-INベース)は、20,150百万円(前期比13.6%増)と着実な増益を予想する。ストック収益(心築事業以外も含む)では、21,343百万円と過去最高の更新を計画する。ホテルの平均客単価の上昇が継続しており、賃料・オペレーター収入の増加が期待できるのに加え、新規取得したホテルも収益貢献する。上半期のストック収益実績は11,194百万円であり、通期目標の達成(1,000百万円程度の超過)が見えてきた。フロー収益では、運用資産残高(AUM)拡大に向けた売却を加速する計画である。前期に引き続きセキュリティ・トークンを活用した「いちご・レジデンス・トークン」組成に伴う売却(通期で400億円目標)も予定する。上半期のフロー収益実績は4,886百万円と進捗率(30.8%)は低いが、「いちご・レジデンス・トークン」の第5号(114億円、第3四半期)に加えて1?2回の募集(1回100億円前後の売上高)等により下期に売却益が集中する予想である。
外部環境においては、レジデンス、ホテル、オフィスを含めて国内不動産への不動産投資家の意欲は積極的な状況が続いており、海外投資家にとっては、日本の不動産の魅力は相対的に高い。景気や金利の動向には引き続き注視する必要はあるが、金融機関の融資支援姿勢に変化は見られない。なお、同社のコーポレート借入金の金利に関しては、2025年2月期上半期に1.13%(前期末は0.89%、加重平均)と上昇してはいるものの、半分以上を固定化することで影響を軽減している。
好調なホテルやレジデンスに加え、同社が保有する中規模オフィスや商業施設は安定した需要があり、売買市場も良好であると弊社では考えている。ストック収益は過去最高水準で推移しており確実性が高い。フロー収益に関しても、グループのリートに加え、レジデンスを中心としたセキュリティ・トークンの需要が高く、多様な出口が選択できるようになっている。これらの要因から、ALL-IN各利益ベースでの目標達成は確実性が高いと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《HN》
提供:フィスコ