貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7011 三菱重工業

東証P
2,309.0円
前日比
-1.0
-0.04%
PTS
2,319.9円
23:58 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
33.8 3.44 0.95 2.78
時価総額 77,898億円
比較される銘柄
IHI, 
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カナデビア

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1兆ドルの巨大市場が待つ、夢を乗せる「宇宙開発」関連が爆速上昇へ <株探トップ特集>


―民間企業からニューヒーロー輩出、日米連携のアルテミス計画など国策の追い風本番―

  宇宙開発は人類にとっての夢であり、近年は世界的に旋風が巻き起こっている。宇宙関連の世界市場規模は2022年時点で日本円にして約55兆円と推算されているが、これが40年には145兆円、つまり1兆ドル規模に膨張するとみられている。1兆ドル市場の内訳は人工衛星の製造・打ち上げよりも、衛星通信によるインターネットの高付加価値化と普及加速といった 衛星サービス分野の経済効果がはるかに大きいと試算され、このほかインフラ面では地上設備なども巨大市場を形成する。

●スペースX登場から始まった新たな歴史

 宇宙という領域において、かつては米ソ冷戦下の国家主導での開発競争の色合いが強かったが、今は政府の宇宙開発予算よりも、民間の衛星サービス市場の方が金額規模で上回る状況となっている。双璧をなすのも米ソではなく米中に変わっている。今後もこの2強の構図は変わらないとみられるが、米国を筆頭に先進国では民間企業の参入が活発化していることで、産業の裾野も広がり経済波及効果が大きくなっている。

 米国では民間企業でテスラ<TSLA>創業者のイーロン・マスク氏が設立したスペースXが米国の宇宙開発をリードする存在だ。スペースXは20年に民間初となる国際宇宙ステーションへの有人宇宙飛行を実現した。23年の世界のロケット打ち上げ回数は212回で、このうち96回がスペースX開発の商業用打ち上げロケット「ファルコン9」などであった。中国も国が主導する形で、同年に68回の打ち上げに成功している。

●小型ロケットで優位性を発揮する日本

 日本は米中やロシアなどと比べて打ち上げ実績はまだ比肩するレベルにはないが、それでも23年は2回成功、24年に入ってからも大型基幹ロケット「H2A」の後継機である「H3」2号機(2月)、3号機(7月)と連続で成功している。小型基幹ロケットについてはJAXA(宇宙航空研究開発機構)とIHI <7013> [東証P]が共同開発中の「イプシロンS」の打ち上げがそう遠くないタイミングで実施されるほか、スペースワン(東京都港区)は小型衛星打ち上げ用ロケット「カイロス」の2号機を今年12月に打ち上げる予定にあることを発表している。日本の場合、米国とは土俵が違う強みもある。衛星打ち上げに際し、搭載数が数十機レベルに及ぶスペースXの大型ロケットであるファルコン9とは異なり、小型ロケットによる機動力を生かした顧客ニーズに対応しやすい点が日本のビジネスチャンスとなり、今後、宇宙開発分野で開花する可能性がある。

 米国が出資する「アルテミス計画」は約半世紀前の「アポロ計画」以来となる人類の月面着陸を目指したもので、日本も参画している。今年4月に作成された日米間での合意文書では、有人月面探査車についてはJAXAがトヨタ自動車 <7203> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]などと開発を進め、月に送ることが決まっている。

●近視眼的にならず夢を買うのが株式投資の真骨頂

 株価は企業のファンダメンタルズの集大成ではあるが、それは今ではなく未来を見据えた評価を反映する。未来に希望が大きければそれだけ株価に加わる浮揚力は大きくなる。「株は夢を買うもの」というが、その象徴ともいうべきテーマの一つが「宇宙開発」といってよい。東京市場では、ここ同関連株の一角に株価を激しく動意させる銘柄が相次いだが、これは宇宙開発というテーマが「高市関連銘柄」として先取りで買われた背景がある。

 目先はその反動が出ることも予想されるが、4月の日米間の合意でも明らかなように、宇宙開発分野は米国との協業による国策としての位置付けに変わりはない。もとより、自民党新総裁となる石破茂元幹事長は政界きっての軍事通で航空宇宙にも精通している。関連銘柄の上値余地は中期的に一段と広がっていくことが予想される。

●新政権下でも注目が怠れない宇宙開発関連6銘柄

◎キヤノン電子 <7739> [東証P]

 キヤノン電はデジタルカメラ用のシャッター製造やレーザービームプリンターのスキャナーユニットなどを手掛け、キヤノン <7751> [東証P]が同社の過半の株式を握る親会社。宇宙分野への積極展開でも知られ、2012年から小型衛星の開発製造を手掛けるなど確かな実績を持ち、打ち上げに成功した新型H3ロケット2号機では同社が製造した人工衛星が搭載されていた。また、宇宙スタートアップのスペースワンにも出資しており、小型ロケット「カイロス」2号機を12月に打ち上げる計画にある。業績面でも23年12月期営業利益は前の期比14%増益を達成、続く24年12月期は前期比微増の92億5000万円を見込むものの保守的で、9期ぶりの100億円大台乗せが視野に入る。なお、24年12月期上期(1~6月)は94%営業増益と前年同期比で倍増した。株価は目先2300円近辺のもみ合いを抜け戻り高値圏に突入しているが、PBRなど割安で年初来高値2610円奪回を目指す動きに。

◎神島化学工業 <4026> [東証S]

 神島化は建材や化成品を手掛ける中堅化学メーカーで、住宅の内外装向けに窯業系の不燃建材を製造している。宇宙関連分野の技術開発に積極的なことでも知られ、世界屈指のセラミックス透明化・緻密化技術を武器に展開を図っており、JAXAを中心に研究開発が進む「宇宙太陽光発電」では、キーテクノロジーに位置付けられるレーザー用YAGセラミックスを提供している。今年7月にはX線分光撮像衛星XRISM(打ち上げられたのは昨年9月)に搭載された「軟X線分光装置」の実現に貢献したことを評価され、JAXAから感謝状を贈られるなどその技術は筋金入りだ。業績もここ数年来急成長局面にあり、レーザー用セラミックスの引き合いも旺盛で、収益拡大に寄与。25年4月期は経常利益段階で前期比11%増の23億円を見込み過去最高を更新する予想にある。株価は年初来高値2162円の更新を果たし、2000円台後半を目指す展開へ。

◎アイネット <9600> [東証P]

 アイネットは独立系データセンターの大手として存在感を示すが、システム開発分野でも高い実力を有し、宇宙関連事業に注力している。同社の宇宙事業への取り組みには歴史があり、今から47年前の1977年に気象衛星ひまわりの開発に参画した実績が光る。これまでに数多くの人工衛星のシステム設計や制御プログラム開発、運用、評価解析など幅広く手掛け高い評価を得てきた。また、国際宇宙ステーションでは建設当初から現在の運用に至るまで一貫して貢献している。業績は24年3月期に営業36%増益を達成、25年3月期も前期比13%増の32億5000万円を見込むが、足もとで原価やコスト上昇が目立ち、会社側計画は未達の可能性がある。ただし、時価予想PERは9倍近辺とかなり割安水準にあり、配当利回りも3.6%前後と高い。信用取組は売り長状態にあり需給妙味も意識されやすい。底練りからの離脱を待つ。

◎セック <3741> [東証P]

 セックはシステム開発を手掛けるが、時間とともに変化する情報データを扱うリアルタイムソフトウェア技術に特化し需要をとらえている。モバイル通信関連や社会基盤システム、ロボット分野などで実力を発揮するほか、宇宙先端システム分野での実績が脚光を浴びている。宇宙関連では科学衛星や惑星探査機に搭載される先端分野の組み込みソフトウェアやサービスロボットの開発を手掛け、ロボットでは「機能安全」の独自ノウハウを強みに用途に応じたシステム開発やコンサルティングサービスを提供する。18年3月期以降はトップライン、利益ともに一貫して増収増益路線を走り続けている。24年3月期営業利益は前の期比21%増益を達成、続く25年3月期は同7%増益の15億7000万円予想と伸び率こそ鈍化するが増益基調を維持、市場では更なる上振れが濃厚との見方が強い。株価は5000円台指向に。

◎アストロスケールホールディングス <186A> [東証G]

 アストロHDは衛星運用が終了した際に課題となるスペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去や、衛星の寿命延長サービスなどの開発を手掛けるベンチャーで、足もとの業績は赤字ながら宇宙開発分野における将来的な成長シナリオに注目が集まっている。今年6月5日に株式公開された直近IPO銘柄だが、海外投資家などからの関心も高く、セカンダリーでは上場初日に公開価格の約1.5倍で寄り付いた後、ストップ高に買われるなど派手なデビューをみせた。しかし、その後は上値が重く公開価格を大きく下回る水準まで株価を切り下げる格好に。売り物を枯らし8月初旬を境に再浮上に転じ、同月19日にはJAXAとスペースデブリの除去に関する大型契約を締結することを発表し戻り足に弾みがついた。株価は当面は利益の捻出が見込めないベンチャーということもあって適正価格は見いだしにくいが、深押し場面はリバウンド妙味も大きい。

◎QPS研究所 <5595> [東証G]

 QPS研究所は衛星開発を手掛ける九州大学発のベンチャーで昨年12月に新規上場したニューフェース。地球観測用人工衛星の開発・製造のほか撮影した画像データの販売などを行う。小型で解像度の高さを強みとするSAR(合成開口レーダー)を駆使し、政府関係機関からの大型受注が相次いでいる。これはトップラインの著しい伸びに反映されており、現状は償却負担の拡大が利益の重荷となってはいるものの中長期的な成長余地に期待は大きい。24年5月期は初の営業黒字化を達成、今期は再び損益均衡圏に利益水準が落ちる見通しながら、26年5月期以降は再浮上し業績拡大トレンドに乗りそうだ。株価は目先急動意しているとはいえ、上場来のトレンドでみれば依然として底値ゾーンに位置していることから、押し目は買いで対処したい。

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