円高進行を背景に輸出関連株を中心に売り優勢【クロージング】
26日の日経平均は3営業日ぶりに反落。254.05円安の38110.22円(出来高概算13億1000万株)で取引を終えた。ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を映して、円相場が1ドル=143円台半ばへと円高に振れるなか、自動車など輸出関連株を中心に売りが先行。日経平均は前場中盤にかけて37825.31円まで下落幅を広げた。また、中東情勢の緊迫化も投資マインドを悪化させた。一方、円高による輸入コスト低減が期待された内需関連株の一角が物色され、下げ渋りを見せた。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が800を超え、全体の過半数を占めた。セクター別では、パルプ紙、空運、不動産、水産農林など12業種が上昇。一方、輸送用機器、銀行、ゴム製品、保険など20業種が下落し、倉庫・運輸は変わらずだった。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、ニトリHD<9843>、信越化<4063>、ダイキン<6367>が堅調だった半面、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、TDK<6762>、トヨタ<7203>、テルモ<4543>が軟調だった。
注目のパウエルFRB議長の講演では、「金融政策を調整する時が来た」などと述べたことから、9月の利下げ開始が確実視され、米長期金利が低下。円相場が円高水準になったため、輸出関連企業の業績懸念が相場を冷やした。また、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが25日、イスラエルに大規模な攻撃を開始したと発表したことから、地政学リスク懸念も投資家心理を委縮させ、リスク回避の動きが先行した。
米国の年内の利下げ回数は3回が織り込まれているが、来週の8月米雇用統計が市場予想を大きく下回れば、0.5%の利下げも考えられる。また、今週は28日の取引終了後に米半導体大手エヌビディアの決算発表も控える。国内半導体関連企業の出直りのきっかけになるかが注目される。日経平均は5日に31000円台まで急落したあと、順調に値を戻してきただけに、利益確定の売りも出やすく、目先は38000円を中心にしたレンジ内の動きが続くことが予想される。
《CS》
提供:フィスコ