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9305 ヤマタネ

東証P
3,465円
前日比
+60
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.2 0.65 2.60 5.98
時価総額 393億円
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ヤマタネ Research Memo(5):2025年3月期は、コスト増を吸収しながら成長絵図を描く


■今後の見通し

1. 2025年3月期の業績見通し
ヤマタネ<9305>の2025年3月期の連結業績は、売上高76,500百万円(前期比18.6%増)、営業利益3,500百万円(同0.3%増)、経常利益3,310百万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,640百万円(同8.1%増)と大幅な増収、増益を見込む。

2024年3月期にグループ入りしたショクカイの通期寄与を主因に増収となる公算だ。一方、利益面ではショクカイののれん代、現在検討を加速している越中島不動産開発プロジェクトに絡んだコンサルティング費用、IR強化に伴うコスト増などが重しとなる。加えて、物価上昇の影響による諸経費の増加、人的資本投資の拡充に向けた研修費用等のほか、2024年4月に越中島開発推進室、SCM推進部を新設したこともあり人件費が増加する。また、DX推進及び情報セキュリティ対応等のIT投資の拡充等による費用の増加も織り込んだことで、営業利益は微増となる。ただし、2024年3月期に発生したM&Aに伴うシンジケートローン手数料等が剥落するほか、引き続き投資有価証券売却等を加速することにより、親会社株主に帰属する当期純利益ではやや増益率が拡大すると見込む。なお、上期計画における大幅な減益については、2024年6月に竣工した本牧埠頭新倉庫に絡んだコストや不動産取得税が要因であることから、特段警戒する必要性はないだろう。

2. セグメント別の業績見通し
物流事業では、売上高が前期比2.2%増の24,950百万円、セグメント利益が同2.3%減の2,250百万円となる計画だ。前提となる物流業界の見通しとしては、資源価格の高止まりや物価上昇により消費関連・生産関連貨物輸送量は低調に推移、建設関連貨物輸送量も減少し、総輸送量は底堅いながらも前期を下回ると予測している。同社は、料金改定を着実に進めることで増収を狙う。また、物流パートナーからSCM(サプライチェーンマネジメント)パートナーへと自社の位置づけを高めるため、2024年4月に新設したSCM推進部を中心として、物流効率化とサービス高度化を図る。生え抜きが多い同社としてはアグレッシブな動きとなるが、同領域に知見を持つ外部人財をキャリア採用して部門責任者としていることから、活動のスピード感にも期待が持てるだろう。加えて、6月に竣工した本牧埠頭新倉庫を順調に稼働させ、収益力の拡充も進める。一方、2024年問題により庸車費用をはじめとした外注コスト等が引き続き上昇するほか、本牧埠頭新倉庫稼働による一時的な費用増があり減益を見込む。

食品事業では、売上高が前期比32.1%増の45,100百万円、セグメント利益が同86.5%増の1,460百万円となる計画だ。コメ流通業界については、外食消費の増加傾向が続くなか需給が引き締まるとともに、物価上昇等の影響から取引価格のさらなる上昇を見込むが、2023年猛暑の影響で高騰した米価は徐々に落ち着きを見せると予想している。冷凍卸売業界においても、外食消費が増加するなか産業給食事業者向け需要は底堅く、中食(総菜)需要のさらなる増加を見込む。ショクカイのグループ入りにより加工食品卸売業が年間で業績に寄与するほか、コメ卸販売は量販店を中心に精米販売が堅調に推移することにより増収増益を見込む。コメ卸売販売業では、適正な利潤確保とシェア拡大に努めるとともに新規顧客の開拓に最注力する。仕入れにおいては「産地シンコウ(親交/深耕/振興)戦略」を掲げ、産地における人材不足等の課題に対するソリューションを提供することで営農と産地の活性化を実現し、産地との関係強化を一段と進める。加工食品卸売業では、給食事業得意先の業態変化への対応、デリカ事業の一層の成長とビジネスモデル確立、商品ブランドの再構築と育成等の戦略を掲げ事業を推進する。他にも物流事業のSCM推進部と協業し、特にコメ業界の物流面の課題に向き合う計画だ。食と物流の融合を実現し、競合他社からの転換需要を取り込む。

情報事業は、売上高が前期比0.9%増の1,750百万円、セグメント利益が同45.0%減の60百万円となる見込みだ。情報サービス業界において、AI活用等によるDX投資の加速を背景に、IT人財不足が進行するなか、SE派遣の常駐型ビジネスでは技術者の確保、提携先とのさらなる関係強化を図り、汎用機基盤の開発や運用業務の新規案件獲得を強化することにより、堅調に推移する見込みだ。棚卸機器レンタル事業においては、モバイルアプリサービスへの転換を進める等、さらに提供サービスの拡張を図る。一方で、インボイス対応に伴うシステム開発の特需が減少することにより減益を見込む。

不動産事業では、売上高が前期比11.1%増の4,700百万円、セグメント利益が同1.1%増の2,080百万円となる計画だ。不動産業界については、賃貸オフィスビル需要の緩やかな回復を見込む。国内の主要都市ではオフィスビルの大量供給が予測されるものの、事務所移転や拡大の需要から、賃料は底堅く推移すると予想している。中長期修繕計画に基づき、物件の付加価値や安全性の向上を図るとともに再生可能エネルギーの積極的な活用等、環境に配慮したオフィスビル運営により、既存物件の品質、サービスの高度化を図り、高稼働率を維持する。2023年6月には、地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅直結のプラザ門前仲町を新規取得しており、不動産に関する減価償却費増があるものの、好立地から安定賃料と高稼働が想定され、全体として増収増益を見込む。越中島不動産開発プロジェクトに関しては、越中島開発推進室を軸に(株)日本総合研究所など外部専門家と連携して具体的な計画・スケジュール策定を推進しており、2025年5月に「越中島グランドビジョン」を公表予定である。江東区からの期待も大きく、行政とも協議しながら、魅力的な街づくりを目指す。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《HN》

 提供:フィスコ

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