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1723 日本電技

東証S
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前日比
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時価総額 537億円
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日本電技 Research Memo(13):戦略的人材育成やDX推進により2028年3月期営業利益65億円を目指す


■新中期経営計画

2. 新中期経営計画「第2フェーズ」
内外の環境変化に加えて、「第1フェーズ」が好調に終わったこと、ピークが2027年に後ずれするなど想定以上に都市再開発の事業環境が良好なこと、2024年問題を前に着実に対策を講じてきたことなどを受けて、「第2フェーズ」となる4ヶ年の新中期経営計画を策定、2024年4月にスタートした。「第2フェーズ」で日本電技<1723>は、成長基盤の拡大と生産性の向上を図るため、戦略的な人材の確保、育成、活用や協力会社の体制強化など人的資本の強化、および生産性向上に向けたDX推進への積極的な投資を実行していく考えである。特に中長期的な課題である人手不足に対しては、積極的に対処していく方針である。2024年4月の残業上限規制適用開始に対しては、施工余力や収益性、竣工後のメンテナンス契約可否を勘案した選別的な受注活動を継続するとともに、人材確保や人材育成、DX推進による生産性の向上を推進する方針である。人材育成に対しては、人材教育の専門部署「電技アカデミー」を2024年4月に開設した。新卒社員は本来1ヶ月の研修後に現場でのOJTが課されるのだが、現場が繁忙を極めていることもあり、本社の「電技アカデミー」で1年間集中して研修することで、効率的に新卒社員の、ひいては若年層の施工品質を引き上げ、さらには早期戦力化と離職の防止につなげていく方針である。さらに、「電技アカデミー」を協力会社の人材育成や基盤強化にまで広げ、同社の中長期成長を下支えていくことも考えている。

財務目標としては、2028年3月期にROE10%以上、売上高420億円(空調計装関連事業360億円、産業システム関連事業60億円)、営業利益65億円を目指す。空調計装関連事業が業績をけん引し、産業システム関連事業も増益体制を構築するというシナリオだが、利益については大きく伸びない予想となっている。これは、「第1フェーズ」の段階ですでに「ND For The Next 2030」の当初目標値をクリアするなど利益が非常に高い水準にあること(原材料高や円安のなかでもあり、こうした高い利益水準を維持すること自体、難易度が高いと思われる)、人的資本の強化に向けて先行的に資金を投入することが背景にある。これにより、「第3フェーズ」での飛躍や長期経営指針「ND For The Next 2030」の達成につなげていく考えである。

非財務目標としては、引き続きサステナブルな企業経営を目指し、ESG経営を加速する計画である。E(環境)では、気候変動に対応する取り組みを加速、TCFD※1に基づいた情報開示及びパリ協定が求める水準と整合したSBT※2目標の設定を目指す。そのため、2023年10月に脱炭素社会実現へ貢献することを目的に気候変動対応プロジェクトチームを設置し、グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1~3)の算定を開始、SBT目標を設定してSBTの認定取得を目指す。S(社会)では、中長期戦略として人的資本の充実と人材力の最大化を掲げ、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指して社内環境を整備し、採用拡大や離職率の低下を図り2030年度までに1,100人体制を目標としている。そのため、「電技アカデミー」の活用や初任給・ベース年収など賃金の改定、人事制度の見直しなどを進め、また、男子プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」とのオフィシャルパートナー契約で認知度やモチベーションの向上を図っていく。G(ガバナンス)では、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向け、コーポレートガバナンス・コードに準拠した実効性のあるガバナンス体制を目指す。そのため、英文開示や取材対応の充実、コーポレートコミュニケーション課を軸としたIR※3体制の充実に加え、資本コストや株価を意識した経営の推進を図る。

※1 TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースで、各企業に気候変動に対する取り組みの計画や現状を具体的に開示することを推奨している。
※2 SBT(Science Based Targets)認証:パリ協定と整合性のあるGHG排出削減目標を立てていることを示す国際認証。
※3 IR(Investor Relations):企業が株主や投資家に対して、財務状況など投資判断に必要な情報を提供する活動。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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