日本電技 Research Memo(10):産業システムが苦戦の一方、空調計装は引き続き引き合いが強い
■業績動向
3. セグメントの状況
セグメント別では、空調計装関連事業の業績は非常に好調だったが、産業システム関連事業は苦戦した。空調計装関連事業の受注高は選別受注している分1ケタ台の増加にとどまっているが、引き合いは強く、不採算工事がほとんどなくなった模様である。産業システム関連事業は、繁忙な空調計装関連事業への人材支援などにより、期初の業績予想を達成できなかった。
日本電技<1723>の空調計装関連事業の業績は、受注高が37,276百万円(前期比5.7%増)、売上高が34,864百万円(同17.0%増)、セグメント利益が9,659百万円(同39.0%増)となった。受注高については、新設工事では工場や医療施設向け物件などが好調で15,686百万円(同11.4%増)、既設工事では事務所や医療施設向け物件などが増加して21,589百万円(同1.9%増)となった。売上高については、新設工事が大型の半導体関連工場や首都圏オフィスビルなどの物件が増加して13,473百万円(同31.1%増)、既設工事は大型のオフィスビルや公共施設などの物件があって21,391百万円(同9.6%増)となった。新設工事、既設工事ともに引き合いが強く大型化と高採算化が進行しているが、次期繰越工事高も23,370百万円(同11.5%増)と引き続き引き合いが強い状況にある。
産業システム関連事業の業績は、受注高が3,795百万円(前期比0.0%増)、売上高が4,029百万円(同10.8%減)、セグメント利益が256百万円(同43.8%減)となった。受注高については、電気工事などが減少したものの、食品工場向け生産管理システムの増加などにより前年並みを確保した。売上高は、電気工事や産業用ロボット関連工事などが減少して苦戦した。苦戦の要因は、繁忙の空調計装関連事業に人材を拠出したこと、当期受注・当期売上という小型案件メインから、これは良い傾向なのだが、工場全体やシステム設計、フィールド工事といったスケールの大きい提案を要求されるようになり、事業としての難易度が上がってリードタイムも長くなってきたことが考えられる。次の成長ステージへの産みの苦しみと言うこともできるのだろうが、次期繰越工事高も電気工事などが減少、1,768百万円(同11.7%減)と厳しいものとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ