セキュア Research Memo(5):2023年12月期売上高は前期比50%超。売上高と各利益ともに過去最高(1)
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
セキュア<4264>の2023年12月期の連結業績は、売上高5,191百万円(前期比53.4%増)、営業利益187百万円(前期は169百万円の損失)、経常利益175百万円(前期は183百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益168百万円(前期は227百万円の損失)となった。2022年12月期は売上高が前期並みであったものの、将来の成長に向けた戦略投資(207百万円)が負担となり最終損失となっていた。しかし、2023年12月期は、新型コロナウイルス感染症の5類移行等に伴う企業のオフィス関連投資の回復や、同社の積極的な営業活動により前期比で大幅な増収増益となり、売上と各段階の利益ともに過去最高を記録した。売上面では企業の物理セキュリティに対する需要の拡大を取り込み、入退室管理システム、監視カメラシステムともに前期比約5割増の増収、画像解析サービス・その他は商業施設への人出の回復などを背景に前期比約3割の増収を果たした。これは、通常規模の受注案件数が伸びたことに加えて、数千台規模の監視カメラを設置し一元管理する案件や、企業内の多拠点にわたる入退室管理を行うなどの大型案件の受注が大きく伸びたことによる。物理セキュリティに対する高いリテラシーを持つ企業のニーズは高度化、複雑化、大規模化する傾向にあり、2023年12期はそのような顧客ニーズを的確に捉えて案件化に成功したと言えよう。利益面では、2022年12月期に続いて202百万円の戦略投資を行った一方で、多くの大型案件を受注したことによる増収効果で、営業利益は前期比357百万円増と大幅な増益を達成した。
2. 入退室管理システム(SECURE AC)
2023年12月期の売上高は、前期比49.5%増の1,471百万円と大幅増収となり、期初計画値(1,350百万円)を達成した。従来から推進してきた、顔認証などの高機能な入退室管理システムの営業活動や、データセンター及び商業施設などの中・大型案件への積極的な取り組みが奏功して案件単価が上昇したことも増収に結び付いた。
入退室管理については、企業のセキュリティ意識の高まりや、新型コロナウイルス感染症拡大による接触への意識の変化を受け、従来のカードキーや指紋認証から、非接触でセキュリティ強度の高い顔認証への注目度が高まった。顔認証の採用は、セキュリティの高度化以外にも、入退室用のカードキーの紛失防止やカードキーの発行に係る事務負担の削減、なりすまし防止、認証スピードの向上といった利点があり、企業にとってのメリットが多い。企業の意識の変化が同社への追い風となり、顔認証による入退室管理システムの成約件数は、前期比44%増と大きく伸びた。今後も、売上の柱とすべく、入退室管理システムの付加価値をさらに高め、販売拡大に注力する考えだ。
3. 監視カメラシステム(SECURE VS)
2023年12月期の売上高は、前期比56.4%増の3,547百万円と大幅増収となった。期初計画値(3,600百万円)には僅かに届かなかったが、期中を通じて好調な売上を継続した。ドラッグストアやコンビニエンスストア向けの案件に注力することで確実に受注を拡大したほか、引き続き中小型案件を取り込むことで導入企業数を拡大した結果、導入件数は4,482件と前期比60.2%増の伸びを示している。
4. 画像解析サービス(SECURE Analytics)・その他
2023年12月期の売上高は、前期比30.5%増の171百万円と、期初計画値(150百万円)を大幅に達成した。新型コロナウイルス感染症の5類移行を受けて客足の回復したショッピングモールなどの商業施設において、全体あるいはフロア別の客数分析や交通量分析を活用してマーケティングに活用するなどの案件が増加し、全体売上の押し上げに貢献した。同サービスは監視カメラシステムとのセット販売により導入されるケースが多いことから、監視カメラシステムの増収にも結び付いたと考えられる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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提供:フィスコ