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2986 LAホールディングス

東証G
5,450円
前日比
-40
-0.73%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.0 2.07 4.40 9.04
時価総額 344億円
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新築マンション高騰で出番到来、「不動産再生」ビジネス躍動へ <株探トップ特集>


―バブル期超えの沸騰価格、次の一手はリノベーション活用の購入大作戦―

 新築マンションの価格が高騰している。バブル経済時代を彷彿させるが、経済状況はというと、名目GDP(国内総生産)が円安の影響が大きいとはいえドイツに抜かれ世界第4位に転落。更に実質賃金が低下傾向を続けるなど、当時とは似ても似つかない。こうしたなか、庶民にとって新築マンション・住宅の購入は、極めてハードルの高い状況だ。日銀の超緩和的政策の転換が囁かれ今後金利上昇も考えられるとはいえ、新築マンション価格の高騰は当面収まりそうもない。ここで注目を集めているのが、中古マンション・住宅を買い取り、 リノベーションにより改修を加え再販売する「不動産再生」ビジネスだ。購入者にとっては、販売価格がリーズナブルなことに加え、魅力的に生まれ変わった物件を購入できるのも大きな利点だ。攻勢をかける不動産再生ビジネスを追った。

●コロナに円安が助長

 バブル経済時代、不動産の価格は果てしなく値上がりするという“土地神話”に人々は踊った。しかし好景気は終了、日本経済の凋落とともにこの神話は跡形もなく消え去った。しかし、いま再び「新築物件は高すぎて手が出ない」という声が聞かれる。ここ数年、新築マンションの価格は足もとバブル期を上回る急激な値上がりを続けているが、こうしたなか注目度が増しているのがリノベーション物件だ。

 いわゆるリノベ物件はコロナ禍で注目が集まった。テレワーク推進で生活や住環境に大きな変化が生じたことが、同物件への関心につながった。ここ数年は資材価格に加え人件費の上昇などで新築マンションが高騰。更に、中国富裕層をはじめ、円安を反映し海外投資家などの物件購入が価格高騰を助長した格好だ。こうしたなか、比較的安く新たな付加価値をまとったリノベーション物件に、購入希望者の視線が向かった。

●2030年には市場規模45%増

 この変化を、企業も見逃しはしない。従来からの“専業”だけではなく、最近では大手ハウスメーカーやデベロッパーの参入が増えており、競争も激化している。拡大を続ける買い取り再販市場でのリノベーション物件を巡る攻防は激しさを増している。

 市場調査会社の富士経済「住宅リフォームと住生活関連サービスの市場を調査」によると、「新築住宅の販売価格高騰に伴って、リノベーション済みの安価な中古住宅の需要が高まっている」とし、2022年の市場は21年比で10.3%増の7885億円となったという。更に、消費者意識の変化に伴い、買い取り再販物件に注力する企業も増加しているため、30年には22年比45.0%増の1兆1437億円と大幅な市場の拡大を予想している。同社では、競争が激化するなか「差別化を図るためにデザイン性や品質の高い物件の供給が増加しており、消費者の認知度が高まるとともに、中古住宅への認識にもポジティブな変化がみられる」と、分析している。

 急速に拡大する不動産の買い取り再販市場だが、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられない。競争激化などが企業業績にも影を落とし、株価が冴えないものも少なくない。ただ、当分は新築マンションの価格上昇に歯止めが掛かりそうにもなく、リノベーションマンションへの更なるニーズ拡大が予想されるだけに、いずれ株価も見直し買いへと向かう可能性がある。差別化で商機をつかむ関連銘柄を探った。

●LAホールデ、独自ポジション確立へ

 LAホールディングス <2986> [東証G]は、新築不動産販売、再生不動産販売、不動産賃貸を3本柱に成長ロードを快走している。再生不動産販売は、主力である戸別リノベーションマンション販売に注力しており、1戸当たり1億円以上の「プレミアム・リノベーション」シリーズや、1戸当たり10億円以上というハイグレードな邸宅「BILLION-RESIDENCE」も手掛けている。価格競争に巻き込まれることのない競争優位性の高い高付加価値の商品を提供しており、独自のポジション確立を目指す。24年12月期は、連結営業利益で前期比2.7%増の57億円を計画しており、4期連続で過去最高を更新する見込みだ。

●ムゲンEは商圏エリア拡大

 ムゲンエステート <3299> [東証S]にも注目したい。同社は首都圏をエリアに中古マンションをリノベーションして販売するなど、不動産買い取り再販ビジネスで高水準の需要を捉えている。業績も絶好調だ。23年12月期決算は、連結売上高が前の期比65.3%増の516億4000万円、営業利益が同2倍となる59億3600万円と大幅な増収増益を達成。続く24年12月期も売上高が前期比17.9%増の608億9600万円、営業利益が同15.6%増の68億6100万円と2ケタ増収増益を計画している。営業エリア拡大を目指し、地方展開にも力を注いでおり、今年1月には札幌営業所、名古屋営業所、福岡営業所の3店舗を開設。全国で商圏エリア深耕を進めている点も見逃せない。株価は最高値圏でもみ合っており、ここからの展開に目が離せない。

●買い取り再販事業強化のAndDo

 And Doホールディングス <3457> [東証P]は、中古買い取り再販事業を強化している。同社は「ハウスドゥ」ブランドで不動産売買仲介のフランチャイズ運営をするが、年間約1800件にも及ぶ豊富なリフォーム実績を持ち、そのノウハウを生かし買い取り再販事業で攻勢に出る構えだ。24年6月期上期(7~12月)の連結営業利益は前年同期比23.4%増の21億5800万円となり、通期計画の36億円(前期比13.3%増)に対する進捗率は59%に達している。また2月には、連結子会社であるフィナンシャルドゥが、リバースモーゲージ保証事業の提携金融機関数が50に達したことを発表。高齢化社会が急速に進むなかリバースモーゲージは、持ち家の購入資金やリフォーム資金、老後の生活資金などさまざまな使途に活用できる資金調達方法として注目されており、同事業の展開にも目を配っておく必要がありそうだ。

●インテリクスは豊富な実績

 中古マンション再生販売の大手インテリックス <8940> [東証S]は、主力のリノベーション事業では、ここリノヴェックスマンションの販売が好調だ。同マンションでは年間1000戸以上、販売累計2万戸を超える実績を持っている。2月1日には、良質な実物不動産を一口100万円単位で所有できる新たな不動産小口化商品「アセットシェアリング+(プラス)」の出資募集を開始するなど切り口も多彩だ。1月に発表した、同社の24年5月期上期(6~11月)は連結経常利益が1億400万円の黒字(前年同期は1300万円の赤字)に浮上するなど、ここからの巻き返しに期待も。リノヴェックスマンションの販売件数が前年同期比11.6%増の652件と伸長したほか、平均販売価格も同9.5%増の2856万円に上昇している。

●スターマイカ、幅広い消費者層へ展開

 スター・マイカ・ホールディングス <2975> [東証P]の23年11月期の連結営業利益は前の比20.5%減の48億4600万円となったが、続く24年11月期の同利益は前期比3.8%増の50億2800万円と増益路線に復帰する見込みだ。主軸のリノベーションマンション事業は、主に賃貸中の中古分譲マンションに対して投資を行い、ポートフォリオとして賃貸運用しながら、不動産価値を向上させ幅広い消費者層へ販売している。同社では、引き続き新築マンションの価格上昇に加え、供給減少を背景とした中古マンション需要が底堅く推移するとみている。

●コスモスイニ、ADWG、ビーロットにも注目

 コスモスイニシア <8844> [東証S]は、大和ハウス工業 <1925> [東証P]グループのマンション中堅だが、リノベーションマンションにも注力している。2月には、高齢の親と成人した子の二世帯同居をテーマにしたリノベーションマンションを発売するなど、多様化するニーズに対応した商品提供にも積極的だ。また、インバウンド需要が拡大するなか、訪日家族・グループでの中長期滞在ニーズに応え、東京、京都、大阪で28施設・1470室を展開している都市型アパートメントホテル「MIMARU」でも成長ロードを快走しそうだ。2月には、大阪市内において新規ホテル用地2件を取得したと発表している。

 このほかでは、中古マンションなどの1棟仕入れ販売を中心に活躍領域を広げるADワークスグループ <2982> [東証P]、富裕層の幅広い不動産投資ニーズを捉え、希少性の高い1棟空きオフィスビルのバリューアップなど新たな領域へも積極投資を行い着実に成果を出しているビーロット <3452> [東証S]、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「カウカモ」を運営するツクルバ <2978> [東証G]などにも注目しておきたい。

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