明日の株式相場に向けて=「生成AI上げ潮相場」上陸へ
週明け4日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比198円高の4万109円と続伸。約34年ぶり史上最高値更新の延長線上にあった分かりやすい目標ラインを、程よいタイムラグで達成した。
この日の東京市場は日経平均4万円大台ライン突破というある意味歴史に残るメルクマールを刻んだわけだが、内訳をみると値下がり銘柄数が7割以上を占めるなど利益確定売り圧力が表面化したのも事実。プライム市場で買われているのは半導体関連の主力どころが中心で、そのほか中小型では人工知能(AI)関連株への資金流入が目立った。それ以外は蚊帳の外に置かれたような状態でかなり偏った地合いであったといえる。
足もとで形成されているウネリは米国を発信地とする壮大なスケールの 生成AI相場がもたらしたものだ。「生成AIバブル」というアイロニカルな視点もあるが、それは社会への浸透度合いが未知なるがゆえ、その存在がはっきりと把握できない畏怖に似た意味合いもある。少なくとも今の米エヌビディア<NVDA>の業績変貌ぶりを目の当たりにして、生成AIの正体をバブルと定義づけるには今の相場に乗れていない“遠吠え”にも聞こえてしまう。調子に乗って業績悪に喘いでいる銘柄を思惑で買い進むのは避けるべきだが、足もとの業績数字にこだわり過ぎて未来の成長シナリオに最初から目を瞑っては、大化け株発掘の可能性を最初から捨て去るに等しい。
前週末2日の株探トップ特集『テンバガーの萌芽「最強AI関連」7銘柄』で紹介された銘柄は、この日5銘柄がストップ高を演じたが、これには時宜を得た以外に種も仕掛けもなく、米国を起点とする今の生成AI関連相場の激流を反映したものにほかならない。「米国株市場では今の東京市場で繰り広げられているAI株人気とは比較にならないほどのパフォーマンスを上げている個別株で溢れている」(中堅証券マーケットアナリスト)という。おそらく、マーケットの原理を把握できていれば、東京市場でも突発的に規格外の強風が株式市場を駆け抜けることは十分に理解できることだが、相場のメカニズムが分かっていないと不思議に見えるケースもあるようだ。加えて今は「人間」のトレードだけではなく、まさしく「AI」によるトレードが個別株の値動きにも大きな影響を与える時代。需給面の流動性で群を抜くレーザーテック<6920>は代表的だが、中小型株でも株価が動意して売買代金が増勢となれば、AIの参戦で更に弾みがつくというケースも想定に入れておく必要がある。
今のAI関連相場の懐は深い。PERなどの伝統的な投資指標をみても理屈から掛け離れた株価に位置する銘柄は意外と少ないことに気付く。これが1999年から2000年にかけてのITバブル相場の時との決定的な違いだ。もちろん、最終赤字の企業はPER換算ができず、いわばPER無限大ということになるのだが、例えば当該企業が翌期に黒字化が想定されるような場合は話が異なり、その時の1株利益次第で市場平均並みのPERに落ち着く可能性もある。そして更にその翌年に1株利益が倍になる成長ポテンシャルが認知されれば、株価はそこに向けて走り出す。株価というのはそうした「未来を映す鏡」であることを忘れてはならない。
AI関連株は半導体関連よりも出遅れている銘柄が多い。上場がプライム市場ではない銘柄が多いこともディスアドバンテージの背景となっていた。しかし、足もとではそうした銘柄にスポットが当たり始めた。そのなか、JTP<2488>、AI CROSS<4476>、ラック<3857>、HPCシステムズ<6597>などはAI関連の有望株として改めてマークしてみたい。
あすのスケジュールでは、2月の都区部消費者物価指数(CPI)、3月の日銀当座預金増減要因見込みがいずれも朝方取引開始前に開示され、午前中に10年物国債の入札が予定されている。また、午後取引時間中には植田和男日銀総裁が「フィンサム2024」で挨拶を行う。海外では、2月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されるほか、中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕する。また、米国では2月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、1月の製造業受注などに注目。更にFRB高官の発言も注目され、この日はバーFRB副議長がパネル討議に参加する予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年03月04日 17時02分
この日の東京市場は日経平均4万円大台ライン突破というある意味歴史に残るメルクマールを刻んだわけだが、内訳をみると値下がり銘柄数が7割以上を占めるなど利益確定売り圧力が表面化したのも事実。プライム市場で買われているのは半導体関連の主力どころが中心で、そのほか中小型では人工知能(AI)関連株への資金流入が目立った。それ以外は蚊帳の外に置かれたような状態でかなり偏った地合いであったといえる。
足もとで形成されているウネリは米国を発信地とする壮大なスケールの 生成AI相場がもたらしたものだ。「生成AIバブル」というアイロニカルな視点もあるが、それは社会への浸透度合いが未知なるがゆえ、その存在がはっきりと把握できない畏怖に似た意味合いもある。少なくとも今の米エヌビディア<NVDA>の業績変貌ぶりを目の当たりにして、生成AIの正体をバブルと定義づけるには今の相場に乗れていない“遠吠え”にも聞こえてしまう。調子に乗って業績悪に喘いでいる銘柄を思惑で買い進むのは避けるべきだが、足もとの業績数字にこだわり過ぎて未来の成長シナリオに最初から目を瞑っては、大化け株発掘の可能性を最初から捨て去るに等しい。
前週末2日の株探トップ特集『テンバガーの萌芽「最強AI関連」7銘柄』で紹介された銘柄は、この日5銘柄がストップ高を演じたが、これには時宜を得た以外に種も仕掛けもなく、米国を起点とする今の生成AI関連相場の激流を反映したものにほかならない。「米国株市場では今の東京市場で繰り広げられているAI株人気とは比較にならないほどのパフォーマンスを上げている個別株で溢れている」(中堅証券マーケットアナリスト)という。おそらく、マーケットの原理を把握できていれば、東京市場でも突発的に規格外の強風が株式市場を駆け抜けることは十分に理解できることだが、相場のメカニズムが分かっていないと不思議に見えるケースもあるようだ。加えて今は「人間」のトレードだけではなく、まさしく「AI」によるトレードが個別株の値動きにも大きな影響を与える時代。需給面の流動性で群を抜くレーザーテック<6920>は代表的だが、中小型株でも株価が動意して売買代金が増勢となれば、AIの参戦で更に弾みがつくというケースも想定に入れておく必要がある。
今のAI関連相場の懐は深い。PERなどの伝統的な投資指標をみても理屈から掛け離れた株価に位置する銘柄は意外と少ないことに気付く。これが1999年から2000年にかけてのITバブル相場の時との決定的な違いだ。もちろん、最終赤字の企業はPER換算ができず、いわばPER無限大ということになるのだが、例えば当該企業が翌期に黒字化が想定されるような場合は話が異なり、その時の1株利益次第で市場平均並みのPERに落ち着く可能性もある。そして更にその翌年に1株利益が倍になる成長ポテンシャルが認知されれば、株価はそこに向けて走り出す。株価というのはそうした「未来を映す鏡」であることを忘れてはならない。
AI関連株は半導体関連よりも出遅れている銘柄が多い。上場がプライム市場ではない銘柄が多いこともディスアドバンテージの背景となっていた。しかし、足もとではそうした銘柄にスポットが当たり始めた。そのなか、JTP<2488>、AI CROSS<4476>、ラック<3857>、HPCシステムズ<6597>などはAI関連の有望株として改めてマークしてみたい。
あすのスケジュールでは、2月の都区部消費者物価指数(CPI)、3月の日銀当座預金増減要因見込みがいずれも朝方取引開始前に開示され、午前中に10年物国債の入札が予定されている。また、午後取引時間中には植田和男日銀総裁が「フィンサム2024」で挨拶を行う。海外では、2月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されるほか、中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕する。また、米国では2月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、1月の製造業受注などに注目。更にFRB高官の発言も注目され、この日はバーFRB副議長がパネル討議に参加する予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年03月04日 17時02分