TKP Research Memo(6):需要回復を受け、新規出店・既存施設の増床を積極化
■ティーケーピー<3479>の主な活動実績
1. 新規出店・大型増床の実績
今後の事業拡大に向けた最大テーマとして取り組んでいる仕入れ(スペースの確保)については、既述のとおり、第2四半期までに7施設の新規出店や大型増床を実施したほか、第3四半期に入ってからも品川駅付近で2施設、秋葉原でビル一棟型施設(都内でのビル1棟丸ごと契約は10年ぶり)、4年ぶりとなる関西エリアでの出店(大阪梅田)など積極出店を継続しており、年間目標1万坪の増床を早くも達成することができた。特に、注力エリアである品川駅周辺については合計7施設(総面積2,954坪)となり、東京駅周辺と並ぶドミナント化※が顕著に進んでいる。また、今後に向けても都内・関西のビジネス地区を中心に来期オープン施設を含めた出店案件のほか、新規ホテルの運営開始に向けた複数案件も進行中のようだ。
※同社では、地方中核都市も含め、主要なターミナル駅を中心に周辺エリアへ集中して展開していくことで、立地の利便性(集客力)はもちろん、貸会議室に留まらない空間利用の多面的な可能性を追求していく戦略である。なお、最も注力する東京駅周辺エリアについては現在9拠点を運営している。
2. リリカラの持分法適用関連会社化
2023年4月12日には、独自開発によるインテリア事業やスペースソリューション事業を展開するリリカラの持分法適用関連会社化※を公表。貸会議室・宿泊施設の内装工事の継続的発注に加え、リリカラのスペースソリューション事業とTKPの施設運営・不動産活性化の知見を生かした、空間サービス・施設の共同開発などのシナジー創出を目指していく。
※株式取得資金は約16億円(保有比率25.92%)。
3. 事業提携・新規事業の進捗
2023年1月20日に公表した識学との資本業務提携については、販売提携(同社施策を利用した研修サービスの共同開発など)に向けた研修が完了し、営業活動をスタートすると、大企業向け管理職研修案件などで受注実績をあげているようだ。また、識学グループが有するハンズオン支援ファンド・VCファンド事業にLP出資し、投資先の検討も開始している。
2023年7月13日には、三菱地所<8802>のワーケーション事業である「Work×ation」において、予約問い合わせ窓口業務及びそのサービスの一環として旅行代理店業務を受託した。同社では、働き方やオフィスの在り方が多様化するなかで、宿泊や移動、アクティビティを付随させた、付加価値の高い宿泊研修・オフサイト会議を提案してきたが、本件を通じて双方の顧客へのサービス強化や業務の効率化(ワークフローや手続きの整理)を図っていく。
一方、2022年10月に設置等予定者に選定された大分県別府市Park-PFI事業「上人ヶ浜公園整備運営事業」については、公園の整備に向けた計画案の調整が進捗し、2024年2月に着工できる見込みとなった(2025年春ごろの運営開始を予定)。同社としては、空間再生流通事業の一環として取り組んでおり、ここで得られた知見やノウハウをさらなる事業の発展に活用していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ