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6619 ダブル・スコープ

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今がハンティングチャンス、「業績好調・超割安EV関連」厳選5銘柄 <株探トップ特集>


―“400兆円”自動車産業のパラダイムシフト、米テスラ復活でEV新時代の黎明近づく―

 世界的な脱炭素への取り組みを背景に自動車業界も大変革期を迎えている。ガソリン車から電気自動車(EV)をはじめとする電動車への代替が加速度的に進み、市場規模400兆円とされる巨大産業のパラダイムシフトが本格化してきた。

 欧米や中国などEVの普及促進に向け国を挙げて取り組んでいるが、相対的に出遅れていた日本も自動車業界の盟主トヨタ自動車 <7203> [東証P]が新たなEV戦略を明示し注力の構えをみせるなど、ここにきてEVシフトの流れが勢いを増してきた。株式市場でも、ここから関連銘柄への視線が熱を帯びることになりそうだ。

●テスラ大復活と2番手BYDの台頭

 米国株市場ではEV世界最大手のテスラ<TSLA>の株価がここ2カ月にわたって急速な上昇トレンドを描き、昨年9月以来約10カ月ぶりの高値水準を回復してきた。もちろん、これには業績面からの裏付けがあり、好調なEV販売の実態が観測され株高の原動力を担っている。今月2日に同社が発表した4~6月期の世界販売台数は46万6140台と前年同期比で8割強の大幅な伸びを示した。これは販売価格の引き下げ効果と米政府の販売補助金による影響が大きく、額面通りにEVの普及加速局面を示唆したものとはいえないものの、価格さえ折り合いがつけば、EVに対する消費者の潜在的なニーズは極めて強いということを証明している。

 一方、このテスラを猛追するのが中国のEV最大手BYDだ。EV販売台数では世界2位だが台頭著しく、同業界では無双とみられていたテスラの地位を脅かす存在となっている。テスラの昨年1年間のEV販売実績は約131万台。対してBYDは91万台あまりで、まだ40万台ほどの開きはあるが、伸び率で見るとテスラが2021年比で40%増であるのに対し、BYDは同2.8倍という驚異的な拡大ペースを示している。近い将来に、この両社は販売台数でトップ争いを繰り広げる局面が訪れる可能性が高い。

●国内自動車大手もEV戦略加速へ

 国内ではトヨタが佐藤恒治新社長のもとで強力なEV戦略を打ち出している。社長就任早々の4月7日に新計画を発表、26年までにEVを新たに10モデル投入し、年間150万台の世界販売を目標に掲げている。あくまで、ハイブリッド車(HV)燃料電池車(FCV)などを含めた“全方位戦略”の推進を継承するが、これまで以上に世界的なEVシフトを視界に入れた現実的な戦略を練り上げた感がある。

 一方、ホンダ <7267> [東証P]は30年までに年間200万台超のEV生産を目標としている。また、ソニーグループ <6758> [東証P]と連携したEV戦略の布石も話題となった。両社は折半出資で設立したEV会社を拠点に25年の販売開始を目指す。EVはガソリン車と比較して部品点数が少ないため参入障壁が低く、ソニーGは自社製EVの投入に野心を燃やしていたが、ホンダとの協業で実現させる方向にある。EVへの取り組みで先行している日産自動車 <7201> [東証P]は、30年までに19車種のEVを含む27車種の電動車投入を計画している。足もとでは軽EV「サクラ」が人気で1~6月期の販売台数が1万9589台でEVとしては断トツの販売実績を誇っている。

●いよいよ現実買いのステージへと移行

 国際エネルギー機関(IEA)によれば昨年のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた販売台数は1017万台強に達し、前年比56%増という高い伸び率で過去最高を記録したが、この成長の勢いは今年以降も継続するとの見通しを示している。グローバルベースでは自動車全体に占める比率は20%近くまで高まるとの見通しだ。国内では昨年ベースでEVの全体に占める比率は2%未満で、普及の遅れが目立つが、それだけにここからの伸びしろは大きいともいえる。株式市場でもEV関連株への人気再燃は時間の問題で、いよいよ現実買いのステージへと移行することとなる。

 関連銘柄の裾野は広いが、主力銘柄ではEV駆動モーターシステムに力を入れるニデック <6594> [東証P]のほか、モーターの鉄心部分にあたるモーターコアを製造する三井ハイテック <6966> [東証P]などが代表格。また、リチウムイオン電池用セパレーターの専業メーカーであるダブル・スコープ <6619> [東証P]や、アルミ電解コンデンサー用セパレーターで圧倒的世界シェアを誇り、車載電池用も展開するニッポン高度紙工業 <3891> [東証S]、電解銅箔の専業メーカーで車載電池向けの需要獲得が進む日本電解 <5759> [東証G]などもマーケットの注目度が高い。EV向け急速充電器を手掛ける東光高岳 <6617> [東証P]や、駐車場向けを軸にEV充電事業を展開するENECHANGE <4169> [東証G]も折に触れ物色人気を博す。また、リチウムイオン電池正極材の専業メーカーである田中化学研究所 <4080> [東証S]は同分野の代名詞的な銘柄だ。

 今回のトップ特集では、構造的に進むEV市場の拡大で活躍が期待される銘柄群の中から、今期業績好調でなおかつ株価指標面で割安感の強い有望株を5銘柄厳選した。

●割安・好業績で上値期待膨らむEV関連5銘柄

【指月電はEV用コンデンサー増産に向け本腰】

 指月電機製作所 <6994> [東証S]は三菱電機系のコンデンサーメーカーで、村田製作所 <6981> [東証P]も同社の大株主に名を連ねている。大型コンデンサーで高い実績を誇るほか、小型・軽量のコンデンサーにも展開を図っている。業界トップシェアのフィルムコンデンサーは自動車向け中心に受注を獲得しているが、今後はEVやHEVなどの電動車向けで中期的に高水準の需要獲得が見込まれる。

 同社はこうした状況を勘案し、EV用コンデンサーについては国内生産拠点に工場2棟を段階的に増設するなど、生産能力の倍増を図る方針を打ち出している。このほか、メガソーラー用コンデンサーでも海外で収益機会を広げており、業績貢献が期待される状況だ。24年3月期は営業利益が前期比71%増の16億円を見込むなど急拡大が予想されている。にもかかわらず、PBRは0.4倍台と解散価値の半値以下の水準に放置され、株価見直し余地は大きい。

 事業拡大に向けた成長投資に加え、配当性向30%程度を意識した株主還元などでROEの上昇を図る計画にあり、これが低PBRの是正にもつながっていく。株価は早晩三角もち合い上放れが想定され、トレンド転換を果たせば5月10日の年初来高値525円奪回は上昇過程の単なる通過点となる可能性が高い。

【カワタはEVの軽量化ニーズで商機拡大】
 
 カワタ <6292> [東証S]はプラスチック成形関連機器のトップメーカーだが、自動車業界向けで強みをいかんなく発揮しており、今後は車体軽量化がテーマとなるEV分野で同社の活躍機会が増えそうだ。EV用リチウムイオン電池関連ではスーパーミキサー(乾式混合技術)で高い実績を有する。海外売上高比率は全体の4割を占めるが、米国はもちろんアジア各国の幅広いエリアで営業拠点を設立し、生産設備も中国やインドネシアで確保している。

 また、技術開発力の高さは注目され、得意とする微粒子分散技術では粉体・粒体の高精度な計量技術を駆使して、自動車軽量化に貢献する装置開発などで優位性を浮き彫りにしている。24年3月期は営業利益が前期比倍増の12億8000万円予想と急回復を見込むほか、26年3月期に15億8000万円の目標を中期経営計画として開示している。

 株価指標面ではPER8倍台でPBRが0.6倍台とフローとストック両面で非常に割安感が強いため、見直し余地が大きい。中期視野で1000円トビ台は絶好の拾い場と判断される。6月16日につけた年初来高値1281円奪回を第1目標に、21年10月の高値水準である1400円どころへのチャレンジが期待される。

【エフテックは成長加速し超低PBR返上へ】

 エフテック <7212> [東証P]はホンダを筆頭株主とする自動車部品会社。サスペンションやサブフレームなど高機能の足回り製品の供給をグローバル展開し、海外売上高比率は9割に達している。自動車全般にデジタライゼーションの波が押し寄せるなか、自動運転技術の進展とEVシフトの動きが同時進行しており、同社はハイレベルの研究開発力や最新鋭の設備導入による生産技術力で商機を捉えている。

 米EV大手のテスラ<TSLA>との取引実績が同社のEV向け製品の需要開拓の礎となっている。業績も目を見張る回復トレンドを示しており、営業8割増益を達成した23年3月期に続き、24年3月期は前期比2.7倍の56億円を見込むなど絶好調といってよい。25年3月期も2ケタの利益成長トレンドが有力視される。

 株価は6月13日に1020円の高値をつけ年初から2倍化した。その後は900~1000円のゾーンでのもみ合いを経て、直近は調整色をみせているが、6月12日に開けたマドを埋めたことで反発の機が熟しつつある。PERは10倍台だが、注目されるのはPBRが0.3倍近辺と群を抜いて割安圏にあることで、増配などの株主還元や成長投資に期待が募る。中期計画では26年3月期に営業利益80億円の数値目標を掲げている。

【モリテックはEV用充電器で活躍本番近づく】

 モリテック スチール <5986> [東証S]は自動車向けを主力とする板金加工の大手で、鋼材を扱う専門商社と金属加工メーカー2つの機能を併せ持っている。EVの普及を促進するうえで、インフラ面から充電設備の拡充は欠かせないが、同社はEV充電器で業界を先駆しており、今後は更に同分野での活躍機会が増えそうだ。

 充電器は壁掛け型とケーブル自動巻き取り型の2つの型式を手掛け、最近では従来の出力3キロワットから6キロワットにパワーアップした商品を開発し、ホテルや物流会社、家電量販店向けなどで引き合いが極めて旺盛な状況にある。業績面でも前期に買収した鉄鋼商社など2社のフル寄与でトップラインが急拡大、24年3月期は売上高が前期比43%増の520億円と大幅な伸びが予想されている。原料やエネルギーコストを吸収して、営業損益も1億5000万円(前期は7500万円の損失)と黒字化を果たす見込みにある。

 株価は6月下旬以降、戻り足を明示しているが、依然として300円未満と値ごろ感があるうえ、一株純資産が570円程度あり、PBRに換算して0.5倍前後とようやく解散価値の半値水準まで浮上してきたところだ。テクニカル的には、日足一目均衡表の雲抜けから一段の水準訂正期待が膨らむタイミングにある。

【フタバは超割安でトヨタEV戦略にも対応】

 フタバ産業 <7241> [東証P]は、トヨタ自動車を筆頭株主とする自動車部品メーカーでトヨタ向けの売上高が約77%を占める。骨格プレス部品を手掛け、自動車のマフラーでは国内トップシェアを有している。もちろん、トヨタのEV戦略への対応にも抜かりはなく、バッテリー性能に貢献する製品開発を漸次進めており、アルミ製やステンレス製のバッテリー冷却プレートや、大型バッテリーケースなどの拡販に注力する構え。また次世代燃料技術では、燃料改質器や水素エンジン排気系などの開発に取り組んでいる。

 収益も回復色を強めており、24年3月期営業利益は前期比17%増の90億円と2ケタ成長を見込み、20年3月期以来の利益水準となる見通し。株主還元に積極的な点はポイントで、年間配当は前期に前の期比5円増配の15円を実施したが、今期は更に3円増配となる18円を計画している。

 株価指標面ではPER8倍台、更にPBRは0.5倍前後とフロー、ストック双方から株高修正余地の大きさが際立つ。配当利回りも今期計画ベースで3.3%台と高いが、株主還元姿勢の高さを考慮してインカムゲインに対する魅力は今後更に高まる可能性がある。テクニカル的には25日移動平均線へのサヤ寄せ場面は押し目買いのチャンスとなりそうだ。

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